イラクに独裁者として君臨したサダム・フセイン。
イラクのクェート進攻で始まった湾岸戦争から、
アメリカによる介入(戦争)で、独裁政権が終了した。
その後のイラクの混乱は収まってないが、
この「デビルズ・ダブル」が描くのは、フセインの息子ウダイの素顔。
ウダイはまさに「悪魔」だったという事だ。
この映画のもう一人の主人公は「ダブル」。
つまり影武者にさせられた若者ラティフ。
この2人の主人公を「マンマ・ミーア」のドミニク・クーパーが演じている。
これが見事。
まさに悪魔のような所業を続けるウダイの悪魔性と、
そんな所業に戸惑いながら、巻き込まれてゆく青年の純情さを見事に表現している。
あの「マンマ・ミーア」のお兄ちゃんにこんな演技力があるなんて。
監督はニュージーランド・マオリ出のリー・タマホリ。
「ワンス・ウォリアーズ」で世界的に注目を浴びてハリウッドに進出した監督。
その後「007・ダイアナザーディ」や「トリプルX」などを発表。
女装スキャンダルなどもあって、ハリウッドでは仕事はしにくいのか、
この映画がベルギー国籍。
ヨーロッパの資本が入ったことで、イラク、アメリカどちらにも偏らない映画になっているのではないか?
このウダイの行い。
本当にここまでなのか?それとももっと凄かったのか?
それは定かではない。
でも独裁国家というものは、そういう悪魔の所業を生む体質があるのだろう。
そんな国に生まれてしまった国民の悲劇。
そして、その独裁国家が終わっても平和が訪れない重なる悲劇。
国家に対して、懐疑的な姿勢を貫くこの監督らしい骨のある娯楽作。