建物公開2025 時を紡ぐ館
東京都庭園美術館
2025年6月28日(土)
今回はこの建物を見てもらおうという展覧会。いつもは展示作品に隠されてしまう壁や床の装飾、家具など、その美しさと歴史を堪能しましょう。
この建物は1933(昭和8)年に朝香宮邸として建てられました。最初に
朝香宮(あさかのみや)って誰?
という畏れ多い質問から。
その名の通り「宮家」です。ざっくりいうと天皇、皇族の血筋で名前を賜った方。1906(明治39)年に久邇宮(くにのみや)家 第8皇子 鳩彦(やすひこ)王が「朝香宮家」を創立。その後、明治天皇第8皇女 允子(のぶこ)内親王とご成婚。お二人がパリに滞在していた時が、アール・デコの全盛期。私たちもあんな家に住みたいと作ったのがこの邸宅です。
フランス人室内装飾家アンリ・ラパン(1873-1939)が主要各室の内装設計。設計監理は宮内省内匠寮工務課が担当。
第二次世界大戦後は、所有者が変わっていきました。
1933(昭和8)年〜 朝香宮家の邸宅
1947(昭和22)年頃〜 吉田茂元首相の政務の場
1955(昭和33)年〜 国の迎賓館
1974(昭和49)年〜 民間の催事施設
1983(昭和58)年〜 美術館
あのルネ・ラリックの作品も内装に使われています。
そのほか、そこかしこに当時活躍した芸術家、デザイナーの作品が使われています。
直線と円を多用するアールデコらしい装飾です。
室内の壁には所々に庭園の情景。窓から見える庭園の景色とのマッチしていて一貫性があります。
少し抑制の効いた華やかさがアール・デコな感じです。
ワクワク感がある階段。
円形の書斎。本当に円形でコクピットのような空間。やる気スイッチが入ります。
生活空間になると、装飾は抑えめで落ち着いた部屋になります。
どこの窓からでも外の景色は絵になります。
これは手塗りの壁。部屋によって仕上げが異なり職人の腕が光ります。
昔のガラス。
暖炉に高そうなミニチュアの家具が。初めからこのように使っていたのでしょうか。
表から見ても絵になります。金持ちの邸宅というイメージそのもの。
素晴らしい日本庭園なんですが、近くに道路があって騒々しいのが残念。
他にも庭園がありますがあいにくの猛暑のため、この辺りで終わります。
元々住宅として設計されているので、落ち着く空間でした。こんなふうに写真をパシャパシャ撮るのではなく、お茶でも嗜みながら誰かと会話しつつゆったり過ごすのが正しい楽しみ方だと思います。
帰りに玄関から見える景色。風景画のようです。最後まで絵になる美術館でした。
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