オープニング展

UESHIMA MUSEUM  植島ミュージアム

2024年8月10日(土)


 


2024年6月1日、東京・渋谷に現代アートの美術館がオープンしました。実業家、投資家の植島幹九郎氏の現代アートコレクションを核にした私立美術館で名品揃い、期待以上でした。

 

建物は元々ブリティッシュインターナショナルスクールだったものを改装。地下1階から5階まで、展示スペースで、作品点数もなかなか多いです。



Ryan Gander By Phisical or cognitive means (Broken Window Theory 13 May)

 

ライアン・ガンダーはイギリス生まれのアーティスト。以前、東京オペラシティ・アートギャラリーで個展があり、とても良かったのでよく覚えています。これは見ての通りガラスを割った作品です。裏と表から飛び散らないようテープで留めています。ガラスといえば割れもの。モノの特性をそのまま作品にしています。

 

 

Olafur Eliasson  Eye see you

 

オラファー・エリアソンの作品を所有している日本人コレクターがいるとは。単色の光源が置いてある部屋が丸ごとアート作品。左は実物の光源、右側に並んでいるのは鏡に映る鏡像。この部屋に入るとどんな色もオレンジとその陰影でしか見えなくなります。テクノロジーを用いて新しい視覚空間、視覚体験を生み出すのがエリアソンの特徴です。

 

 

Andreas Gursky   Bangkok Ⅸ

 

パッと見たら抽象絵画に見えるかもしれませんが、実は写真です。下の部分をよく見ると、水面にゴミのようなものが浮かんでいるのがわかるでしょう。それがわかると全体が大きな水面に見えてきます。写真というものの新しい可能性を感じさせる作品です。

 

  

名和晃平 PixCell-Shrape’s grysbok

 

海外のアーティストばかりではありません。動物の剥製にクリスタルの球体を貼り付けた作品が有名な日本人アーティスト名和康平。鹿は可愛く見えますね。1階の壁面にも鹿のハンティングトロフィーに球体を被せた作品がありました。

 

 

塩田千春   State of Being (Two Chairs)

 

塩田千春はベルリン在住のアーティストで世界的に活躍しています。糸を使った立体作品が有名で、このコラムでも取り上げたことがあります。四角いフレームの中に糸で閉じ込められた椅子。このような処理をすることで時が止まり、見ることはできるが触れることはできない場所に永遠に保存されたような気がします。2つの椅子は誰かが大切に使っていた思い出のものでしょうか。それともどこにでもある他愛もない椅子でしょうか。

 


村上隆 × Virgil Abolh     Our Spot 1

 

ヴァージル・アブローはファッションデザイナー。黒人で初めてルイヴィトンのディレクターを務めた人です。村上隆の骸骨のキャラクターを背景に、ブランドのオフホワイトのロゴをかぶせたコラボレーション作品。お互いのリスペクトが伝わってきます。

 

 

teamlab  Matter is Void - Fire

 

暗闇に浮かび漂う炎のCG。チームラボの映像作品にしては地味だなあと思って解説を読むと、NFTアートでした。作品のデジタルデータは誰でも入手できますが、炎の形の設定を変える権利をもっているのは購入者一人なのだそうです。

 

 

Theaster Gates     Walking on Afroturf

 

シアスター・ゲイツは、ちょうど森美術館で個展が開催されています。(詳しくは別の回で。)これは解体した建物の建築材料を細かく分けて、アート作品に仕立てたもの。これを売買して社会活動の資金にあてるなど、制作の枠に留まらないアプローチの作品をつくるアーティストです。

 

 

宮島達夫  Counter Fragile no.4

 

以前、全く同じ作品を別のギャラリーの展示で見たのですが、購入したのは、この方だったのですね。

 

  

杉本博司     Manatee

 

階段の壁にさりげなく、杉本博司のモノクロ写真作品が何点もかけてありました。「劇場」シリーズもありましたが、こちらの方が珍しいのでこちらを取り上げます。「ジオラマ」シリーズです。本物の野生の動物写真に見えるこれはアメリカ自然史博物館のジオラマをそのまま撮影しています。

 



他にも取り上げたい作品、深く掘り下げたい作品がいくつもあったのですが、今回はここまでにします。今後の楽しみに。現代アートが好きな方は必見の美術館です。


 

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