徳川美術館展 尾張徳川家の至宝
サントリー美術館
2024年8月3日(土)
この展覧会、見どころは2つです。
(3つじゃないの?と思う方、いいんです。2つで。)
- 豪華な大名の婚礼調度
- 国宝
徳川美術館は名古屋にあります。東京に住んでいると、なぜかあまり聞くことがないのですが、コレクションがとても充実している立派な美術館で、絶対に行くべき美術館です。
今回は尾張徳川家の所蔵していた品々のほんの一部がきています。さすが御三家の筆頭である尾張徳川家という内容です。
10 太刀 銘 長光 名物 津田遠江長光
丁子の刃文が特徴的。織田信長の所蔵していたもので、本能寺の変で明智光秀の手にわたり、色々あって尾張徳川家へ。
12 刀 銘 村正
徳川家に災いを招く妖刀と呼ばれることもありますが後世になって広まった作り話というのが専門家の見解です。刀全体に広がる花びらのような刃文が珍しい。これが気味が悪く感じられたのかも。
13 脇差 無銘 貞宗 名物 物吉貞宗
徳川家康が所有していたもので、これを帯びて戦に臨むと負けなかったそうです。物吉とは縁起がよいことを意味してます。刀身に素剣と梵字の彫刻がいれてあります。私の好みの脇差は彫刻がなく梨地で、地味によく切れそうな実用性の高いものなのでこれは違いますね。
40 柳燕図
その名の通り、柳の葉の下を飛ぶ燕の図。伝牧谿(もっけい)筆。
牧谿は中国の南宋末から元初の水墨画家です。日本では高く評価されていて、国宝、重要文化財も何点かあります。これまでも何点か見ましたが、大体紙が黄色く墨も掠れてよく絵が見えないものが多い。未だに良さがわからないので、誰かに良さを教えてほしい。
51 織部筒茶碗 銘 冬枯
織部にしてはずんどうで筒のような整った円柱のかたちをした茶碗です。この展覧会で展示されていた茶碗はどれも大きいものが多い中、これは小ぶりで織部らしい衣装。ただ釉薬は緑ではなく黒い。
148 琴
龍頭と竜尾に施された装飾が凝っていて、はめ込んである大きな鼈甲が印象に残ります。琴のほかに三味線、琵琶などの楽器も展示されていました。保存状態がどれもとても良い。
106 香木 手鑑 銘 蘭奢待 十種名香の内
蘭奢待ですよ。蘭奢待。正倉院に保管されている門外不出の伝説の香木。時の権力者たちが、手に入れるために手を回したので、ここにも展示されています。大きさは女性が貼り付けるネイルくらい。一体どんな香りがするのでしょう。
117 菊折枝蒔絵四種盤
調度品の香のセットが贅をつくしたものでした。繊細な装飾が施されていて、見るからに高価なものです。徳川美術館の大名の婚礼調度は本当に豪華です。「菊折枝」とは菊の折枝を散らしている蒔絵が施されているもの。近衛家の福君(さちぎみ)が、尾張徳川家十一代斉温(なりはる)に嫁いだ際に準備した調度品です。
142 純金葵紋蜀江文皿
143 純金葵紋牡丹唐草文皿
三代将軍家光の娘、千代姫が尾張徳川家に嫁いだ時の婚礼調度の品。素材を調査した結果、金95%、銀5%、23金の皿と判明しました。表面と裏面の両方に施された牡丹や唐草などの繊細な模様が見事です。
125 銀檜垣に梅図香盆飾り
先ほどの香のセットは蒔絵を施したものでしたが、こちらはヨーロッパで作られるような洋食器っぽい銀細工。日本の職人は腕がいいです。
175 源氏物語絵巻 橋姫
国宝です。現存する源氏物語の絵巻としては最も古い。三巻の巻子として伝わりましたが傷んでいたので、明治の初めに額装に直しました。その後、空気に触れるのが保存上よくないとわかり、改めて15巻
巻物となって今日にいたります。
展示されていたのは宇治十帖の「橋姫」。薫が八の宮の屋敷を訪ねて、その姉妹を覗き見る場面。繊細な極細の線で描かれた人物像、色彩豊かな姫君たちの着物。やまと絵の代表的なものです。
170 胡蝶蒔絵将棋盤・駒箱
その名の通り、将棋盤と駒。将棋盤の盤面と駒は普通に地味な通常の仕様ですが、盤の側面な蒔絵の飾りがすごい。建築、柵、木々、宝珠、岩がきっちり描かれた凝った将棋盤です。
全体的な感想は権力者って金持ちなんだと納得した展覧会でした。茶道具も展示されていたのですが、侘び寂びとか忘れてしまうのは贅沢な雰囲気に包まれているからでしょう。ハイソなカルチャーもこれはこれはでいいモノです。
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