石川真生 ー私に何ができるかー 

東京オペラシティ アートギャラリー 

2023年11月19日(日)



石川真生は写真家だ。


今回コラムがとても書きにくいと感じたのは、それが理由だろう。


 沖縄芝居 ー 仲田幸子一行物語


 沖縄と自衛隊


沖縄に生まれ、沖縄を撮る。

自分の身の回りのリアルを写真におさめる。


アニメ界の巨匠、宮崎駿監督は自分の生きる半径3メートル以内の世界を作品にするのだと述べたという。石川真生も同様だ。


沖縄ならでは不遇な境遇と振れ幅の大きい人生がファインダーに宿る。



 ヘリ基地建設に揺れるシマ



目の前の被写体を撮影するのが、カメラの機能である以上、写真家は宿命として目の前ものから作品を生み出すしかない。


初期の写真の米国兵士や労働者の生々しい姿は、時代の問題とは別の人間のオーラのようなものを切り取って見せていて、アートとして見やすい。


その後の写真は思想的な意図が入り、アートらしくなくなる。


 日の丸を視る目



本人は変わらず真っ直ぐなメッセージをカタチにしているだけで、見る方がアートという色眼鏡で捻じ曲げて受け止めているだけかもしれない。



 大琉球写真絵巻




非力でも守るため闘う母


石垣島の自衛隊


宮古島陸上自衛隊保良訓練場



この展覧会の後半は半分のスペースを使って「大琉球写真絵巻」が展示されている。今まさに続いている基地問題を撮っている。


展覧会のタイトル「私に何ができるのか」というのは、ファインダー越しに見える見過ごせない現実に口を閉ざしてはいられないということだ。


このコラムはアート目線でものを見ることをテーマとしていて、政治的な主張をするのは本意ではない。ならば、そもそも取り上げなければいいという判断もあるが、等身大の被写体に思わず目が止まる。




こういう家族愛に満ちた写真を見ると取り上げたくもなる。


アートに社会課題や政治的メッセージが入るのは私は苦手だ。どうもアートに見えなくなってしまう。


ジャーナリズムはジャーナリズムとして価値がある。政治家は政治家として役割を果たす。


アートはいかに?


実は作る方の課題ではなく、見る方の課題だったと今さら気づいた。


答えはまだ見出せない。


 

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