越後妻有 大地の芸術祭 オフィシャルツアー
「JIKU #013 HOKUHOKU-LINE」コース
2022年9月17日(土)
「越後妻有(えちごつまり)大地の芸術祭」は、地方のアートイベントの先駆的な存在です。
新潟県十日町市のあたりを「越後妻有」と呼び、琵琶湖の面積と同じくらいの760km2のエリアに300点を超える現代アートの作品が展示されています。2000年7月に第1回が開催され、今年で8回目を迎えます。山間部で自然に囲まれた環境が大きな特徴です。
以下の6つの地域があります。
- 十日町(とおかまち)
- 川西(かわにし)
- 中里(なかさと)
- 松代(まつだい)
- 松之山(松之山)
- 津南(つなん)
コース名は
「JIKU #013 HOKUHOKU-LINE」コース
(じくう ほくほくらいんこーす)
料金、13,000円。昼食代込み。芸術祭パスポート代4,500円は別です。お高い気もしますが、それに見合うものを期待しましょう。
集合は、越後湯沢駅 午前10時。
バスに乗って出発です。コロナの影響か、参加者は10名。人数が多いとガイドの方の話が聞きにくいので私としてはラッキーでした。
最初の会場までは、大地の芸術祭の話、地元の話など聞きながら、50分程度で到着です。
クリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマン「最後の教室」
廃校を丸ごとアート作品にしています。体育館、校舎の1階から3階まで。薄い室内に浮かぶ電球の光、風、香り、音、五感に訴える作品には自己を内省に向かわせる効果があります。見る時間が30分ないのでサッと見るしかないのはツアーの辛いところです。
越後妻有松之山「森の学校」キョロロ(建築:手塚貴晴+手塚油比)
錆びたような材質のたてもの、キョロロという名前といい、これは何なのだろうと気になっていましたが、謎が解けました。蝶や小動物を展示する自然博物館です。特に蝶の展示は豊富でそれだけでも、時間がつぶせます。豪雪地帯のセオリーを無視した独創的なデザイン、蛇のような細長い形で頭の部分にあたる塔は階段で上まで登れます。登るは大変ですが眺めがいいです。
クリスチャン・ボルタンスキー「森の精」
キョロロのすぐ裏の森の中にあります。ボルタンスキーの生前の計画を、亡くなった後に形にしたもので、遺作とも言える作品です。地元、松代の方々の顔写真のアップをプリントした布を吊り下げています。このペラっとした布が風にゆらゆらなびくのが森の気配を感じさせ、自然とここに生きる人の魂の調和を見ます。ボルタンスキーの作品でも屋外だと暗くならず心が和みます。
奴奈川キャンパス
廃校になった学校を、主要5教科以外を学べる場所として蘇らせました。アートの展示スペースでもあり、活動拠点でもあり、レストランもあります。ここで昼食です。
地元の食材を使い素材の味を活かした料理です。野菜の味が濃厚で美味でした。
昼食の後は校内な展示作品を見て回ります。
天上大風 コウ・ユウ
墨で書いた書を使い作った無数のタコを使ったインスタレーションです。文字を天に飛ばすというのは世界を支配するのは言葉であることを知っている中国人らしい発想だと思います。
まつだい「農舞台」
大地の芸術祭が始まった当時から芸術祭に前向きだったこの地域にアートのための拠点があります。北越急行ほくほく線まつだい駅の前にある「まつだい「農舞台」」です。この建物の向かいの山も屋外展示エリアですが、今日は行っている時間はないのでこのあたりの作品を見て周ります。
関係ー黒板の教室 川口龍夫
教室全体が黒板の素材でできている部屋です。チョークを購入すれば落書きもできます。(もちろん、落書きでなくとも良いですが。)黒板には不思議な懐かしさがあり落ち着きます。(先生もいないし、宿題もないからか。)
棚田 イリヤ&エミリオ・カバコフ
イリヤ&エミリオ・カバコフは今回とても印象に残ったアーティストです。以前も見ているのですがあまり覚えていませんでした。落ち着いて読んでいかないと入って来にくい所があるからだと思います。特にこの作品は後ろの景色がうまく収まるいい場所に立たないと伝わりにくい。「農舞台」には他にもカバコフの作品がありますので、別の日にまた見に来ねばと思いました。
花咲ける妻有 草間彌生
屋外展示作品は周りの環境に負けて目立たなくなったり、妙に浮いてしまうこともあるのものですが、その点、草間彌生の作品は別格です。外来種がその土地を駆逐してしまうような、暴虐な強さがあります。ただ水玉がカワイイだけの作品ではありません。
パノラマティクス/齋藤精一「JIKU #013 HOKUHOKU-LINE」
次はバスから列車に乗り換えます。ほくほく線のまつだい駅を出発してトンネルの中央にある美佐島駅で止まると、ここで降りて作品鑑賞です。トンネル駅のインスタレーションです。
オフィシャルツアーのタイトル名でもあるこの作品は、Perfumeのライブのステージ演出でも有名なパノラマティクス(ライゾマティクスと言った方がわかりやすいか。)の制作です。Perfume のライブや東京都現代美術館のライゾマティクス展にも行っている私の期待は下回りましたが、なかなかのものでした。
中崎透「新しい座椅子で過ごす日々にむけてのいくつかの覚書」
新座にある大地主の古民家に座椅子など家具を模した光るオブジェを配置したインスタレーションです。この家の持ち主がモノを捨てられない性格で蔵に大量に保存していたモノも引っ張り出して所狭しと並べています。雑然としていて逆にゴロゴロしたくなる寛いだ空間になっています。田舎の古い家ってこんな感じでしたよね。
スノータワー 深澤孝史
少し時間に余裕ができたので、1カ所追加で周りました。七和防災センターが会場です。作品は除雪具「クマ武」のスノーダンプで作ったスノータワー。七和地区は雪まつりの雪の彫刻の入賞の常連で、ここに展示されることで、地域の結束の強さをも伝わってきます。この作品、会期が終わったらバラしてスノーダンプはみんなで使うそうです。
越後妻有里山現代美術館 MonET
十日町駅の近くにあるのが、大地の芸術祭の中心施設である越後妻有里山現代美術館MonETです。2021年に改装し、国内外の気鋭の現代アート作品が展示されグレードアップしています。
Palimpsest :空の池 レアンドロ・エルリッヒ
どこに作品があるかわからないくらい天気の良い日でした。実は建物の内側の池に映る建物と空がすべて絵です。大がかりな視覚トリックのような作品はレアンドロ・エルリッヒの得意とするところです。天と地に広がる青が気持ちの良い空間になっています。
Force 名和晃平
名和晃平は鹿の身体の全身にクリスタルの球を貼り付けた立体作品が有名ですが、素材の特性を活かした作品も数多いです。天井から黒い糸を張っているようなこの作品、実は落下するシリコーンオイルです。粘性が強く途切れることのない液体の糸は液面で微かに泡立ち静かに動きを感じさせます。
遠方の声 中谷ミチコ
以前、取り上げた銀座線虎ノ門駅にパブリックアート作品がある中谷ミチコの作品です。凹型に窪んだ少女像と小舟に彩色が施してあり透明な樹脂で固めています。繊細な作品なのでオシャレな美術館のような屋内空間の方が映えますね。
美術館の滞在時間は50分程度、サッと見でしたが、一巡はできました。16時20分に出発、17時に越後湯沢駅に到着しました。
台風14号が接近していて、暴風雨を食らったら大変でしたが、甲信越地方はまだ雨雲がかかっておらず順調に見ることができました。
このツアー、かなりコンパクトに移動のストレスもなく回れるのでオススメできます。
ただ、私は自分のペースで観るのが好きですので、残り2日間はは自分で回ることにします。
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