特別展「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」
東京藝術大学大学美術館
2022年8月27日(土)
宮内庁三の丸尚蔵館と東京藝術大学が所蔵する国宝も含めた日本美術のコレクションの展示です。
四つのパートに分かれていましたので、流れにそって良かった作品を取り上げます。(全て良かったですよ。)
1章 文字からはじまる日本の美
文字というと書です。私は書はわかりませんのでアート目線でいうならこれ「和漢朗詠集」です。
11 巻子本 和漢朗詠集 伝藤原公任
和漢朗詠集の名前は聞いたことはありましたが、実物を見て得心しました。金銀箔、金銀泥を贅沢に使った料紙の巻物に優れた漢詩と和歌を載せたものです。漢詩は行書、草書で、和歌は万葉仮名で書かれている。詩だけ和漢ではなく書体も和漢。贅沢で美しい。
10 粘葉本 和漢朗詠集 伝藤原行成
この和漢朗詠集は巻物ではなく冊子の体裁です。料紙もページごとに文様が違います。開いてあるページは雲母刷りの紋様に楷書で漢詩が書いてありました。
2章 人と物語の共演
14 源氏物語図屏風 伝狩野永徳
伝狩野永徳、本当に?
源氏物語の「若紫」「蜻蛉」「常夏」3つの場面を
20 蒙古襲来絵詞
国宝です。結構掠れてます。私は見るのは初めてではありません。日本史の教科書の元寇のページに必ず載っているあの絵もあります。鉄砲が破裂して驚く馬に、しがみついている侍の姿は迫真の描写です。
27 太平楽置物 海野勝珉
明治時代初期に作られた超絶技巧の工芸品です。
甲冑を身につけた男が右手に刀をもち、天下泰平を祝う舞楽を舞う姿です。銅、金、銀、四分一、赤銅、色の違う金属を効果的に使い分け、背中の矢、左肩から下げた魚袋、兜、鎧、の装飾を緻密に表現しています。衣服のたるみと皺の表現も絶妙です。
28 官女置物 旭玉山
象牙?象ではないかもしれません。白い十二単衣を纏った官女の彫刻です。立ち姿で手に鏡を持っています。十二単衣の布はそれぞれ違う紋様、刺繍。帯や紐は細く、柔らく細部にわたるまで細かく掘り込んでいます。
3章 生き物わくわく
動物は無敵です。何を選ぶからは好みの問題でしょう。
34 唐獅子図屏風 (右隻)狩野永徳 (左隻)狩野常信
国宝です。久しぶりに観ましたがでかい。空想の動物にリアリティとか求めるのもどうかと思うのですが、桃山時代を生き抜いただけありリアルな存在感がありました。元々障壁画で屏風に直す際に孫の狩野常信が描いたという左隻はいらないと想います。
56 矮鶏置物 高村光雲
丸い?雄と雌どちらもコロコロした体型です。そういう鶏が実在したそうです。かわいいらしさ、ユーモラスさがありつつ、表情は笑っていないような。これを良いと思うのは私が高村光雲のネームバリューに引っ張られているせいだろうか。
58 軍鶏置物
軍鶏を見たことがない方には痩せた鶏と言えば、想像できるかもしれません。焼失した明治宮殿に展示していたそうです。ストイックな体型に闘うことを宿命づけられた者としての矜持を感じます。令和の日本には求められない彫刻かもしれません。
68 彩たん蟠桃文花瓶 楠部彌弌
蟠桃は三千年に一度、実をつける伝説の果物。食べると長寿になるそうです。桃と植物はレリーフのように盛り上げて色をつけて装飾しています。これを「彩たん」と呼びます。白い地の花瓶に装飾された桃が異様に目立つので惹きつけられました。
4章 風景に心を寄せる
69 浜松図屏風 海北友松
70 網干図屏風 海北友松
オシャレというか現代的なデザインセンスの絵です。どちらも海北友松の屏風絵。桃山時代のものとは思えない洗練された構図。前者は浜辺の曲線が屏風を左へ右へ行き来する大胆な形状。後者は干した網が尖った三角テントのように並び遠く風景画というより模様に見えますが、上の方の地平線に小さな帆掛船が見えます。
74 七宝寰宇無双図額 濤川惣助
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