片山真理「leave-taking」
AKIO NAGASAWA GALLERY GINZA
2021年12月25日(土)
銀座 歌舞伎座にほど近い、AKIO NAGASAWA GALLERY GINZAへ、片山真理の作品を見に行ってきました。雑居ビルの6階にあります。
片山真理の作品の特徴は彼女の身体的特徴に基づく。先天的な四肢疾患により9才の時、両足を切断。身体を模したオブジェの制作、自らを被写体としたポートレートなどで独自の世界を切り拓いている。
今回は写真作品。
大きな作品が2点、小さな作品が十数点。一番大型の作品は縦1メートル半、横2メートル位の横長のプリントで、装飾のある額縁が貝殻、ダイヤ、真珠で丁寧に飾られている。
いずれの写真も室内で創り上げた一種のセルフポートレート、新作「leave-taking」シリーズからの展示となる。
部屋の中は雑然としている。
椅子、戸棚、ランプ、テーブル、大型スピーカー2台など家具めいたものはあるが、彼女の私物に埋め尽くされている。
壁一面はコラージュ作品。HARIBOのチラシ?か菓子袋?がやけにたくさんあった。ハート型のオブジェ、レターラック。それから積みあげられた収納箱。梱包されたままの包みもある。
床一面にこれまでの作品に使われた色々な手縫いのオブジェ、原寸の人型のマペット、タコのようなたくさんの手(足?)の塊、ハート型のもの。美しい模様が彩色された義足。装飾に使われる貝殻。ほか、よくわからないもの多数。
モノが溢れ返った部屋の中央で、下着姿の片山真理が両足に義足をつけている立ち姿、オブジェに埋もれそうな寝姿などを長時間露光の効果なども使いながら写真に収めている。
今年は東京でパラリンピックがあり多くの日本人の身体障害者が表に立って様々に自己表現をする姿を見た。機会を得て外に向かって自我を発散するポジティブなエネルギーは見ていても心地良いものだった。
対してこの作品は内にこもるタイプ、と言ってもネガティブな引きこもりという感じではない。ハンディのある身体性を起点として不足を補うべく始まった創作が供給過剰となり、常人の想像力を超えた妄想めいた造形が密度の濃い世界を作っている。
片山真理はその身体をてらいもなく晒し、強い眼差しでカメラを見つめて、超然とした美しさがある。どこかに隠された研究室か秘密の魔女の棲家か覗いているような気になる、そんな展示です。
↓ランキングに参加しています。ポチッと押していただけると嬉しいです!