2021年大晦日、昨年に引き続き今年もやります。

アートコラム Conceptual Cafe 「お蔵入り」の「蔵出し」。

観に行ったけれども掲載出来なかった展覧会を振り返る企画です。

 

掲載できなかった展覧会は3つあります。

それでは蔵出ししていきましょう。

 


■森美術館  「アナザーエナジー展 挑戦し続ける力 ―世界の女性アーティスト16人」 

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70代以上の女性アーティストを16人集めた展覧会です。会期を延長して2022年1月16日(日)まで開催していますので、まだ観ていない方は是非ご覧ください。

 16人16様で面白かったので全員について書こうと意気込んだのが敗因でした。筆が進まない方も何人かいて、単なる作家紹介をするのが目的ではないし、思っていないことを書くのはこのコラムの主旨、私自身のアートをみる姿勢にも反しますから、放置状態になりました。

何人か紹介しましょう。

 

・ロビン・ホワイト Robin White (ニュージーランド)

「太平洋では個人主義はあまり重要なものではありません。人間の価値は他人と親しくなり、共に働く能力によってはかられます。」

長い美しい白髪を後ろに束ねた佇まいが思慮深く知的な雰囲気の方です。

個の創造力の発露こそアートという考え方に対し、自らの手の内から創作を解き放ち、

ニュージーランドの伝統に沿った方法で、共同作業によって作品を作ります。

頭でっかちな主義ではなく、自然体で行なっているように見えるところが素敵に見えます。

 

・スザンヌ・レイシー Suzanne Lacy (アメリカ)

「玄関と通りの間」

アメリカらしい作品、作家だなあ。と思います。

2013年ブルックリンで行われたイベント形式の作品。

「ソーシャリー・エンゲージド・アート」「ソーシャル・プラクティス」という呼び方があるそうです。

いろいろな出自の人を集めてグループ分けし女性についての議論を行う、

その記録映像をインスタレーションとして展示しています。3つの映像とその間に置かれた

黄色の椅子とラベルは課題を問いかける言葉が書いてあります。

議論をイベント化するのは社会活動家のようですが、それを洗練されたビジュアルによってアートの形式で表現しています。

 

・リリ・デュジュリー Lili Dujourie (ベルギー)

「無題(均衡)」

もの派みたい。

2本の鉄の棒と鋼板をただ積み木の様に組み上げたもの。

アンバランスに見えるが実はかなり安定しているそう。

静止していても不安定なモノはエネルギーを内在している。

この人は他の作品も見てみたい。気にいると思う

 

・三島喜美代 (日本 大阪)

「命がけで遊んでいるって感じですね。」

陶器で制作した古新聞の束。でかいところが凄いと思います。

ネジが一本外れているタイプです。思いつきを形にするとき迷いがない。

野球で言うと初球からフルスイングするタイプ。

面白いものを作ろうという発想が根底にあるのだと思います。

 

 

 

■ホキ美術館 「STORIES - 永遠の人物画展」 

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昨年も、Bunkamura ホキ美術館の展覧会がお蔵入りとなりましたがなんと今年もお蔵入り。好きなので逆にまとまらないパターンです。

作家自身の作品解説もあり、その辺と整合性をとっていくと文章が支離滅裂なるんです。

自分の内側では支離滅裂でも一向に構わないし、それが自然とすら思っているのですが

人に読ませる文章としてはそうも行きません。

  

・「相韻」 塩谷亮

赤い布の上に横たわる和服の女性を上から描いた作品。

帯留めの石(?)の輝きの小さな白い点にどうしても目が行ってしまうのはなぜだろう。

 

・「横たわる男」 磯江毅

モノクロの画面。裸の男が病院の診察台のようなところに横たわっている。緻密に描きこまれたカンヴァスは汚れていて中央が糸で縫い合わされている。写実以上の生々しさがある。

 

・「言葉にする前のそのまま」 三重野慶

川に普段着のまま横たわる女性。

水面の揺らぎと輝き、服の濡れ具合と太ももが異常によい。

 

 

■六本木ヒルズ 「Media Ambition Tokyo 2021」

メディアアートは興味もあるし好きでもあるのですが、知識が浅いと書けないジャンルです。

そこで作品の背景を押さえて書こうと思って失敗しました。

作品ごとに全然違うアプローチなので、参加している作家が多いと大変なんですよね。

 

・「meltdown pt.2 "cakeshop"」 MES

青色の板状のもの、黄緑色のホールケーキのような形のものはワックスでできています。

青いワックスの板にはレーザーを用いて会期中、原子力や平和に関する言葉が刻まれます。

黄緑色に妖しく輝くワックスは、アメリカの家庭料理とウラン粉末のイエローケーキを表現しています。

原子力をめぐる対立する思想がお店のような姿で視覚化されています。

 

・「物化する地平線」 落合陽一

店頭のPOPに使われる扇風機のような形の映像装置を真横に配列して横長の映像を空間に映すインスタレーション。

実物はブーンという音がうるさくて、解像度が高くないのでテレビ番組などで紹介映像の方が神秘的に見えます。

今できる技術でちゃっちゃっと実現するのも大事だなと思いました。

 

・「サイバー和菓子」 OPEN MEALS

テクノロジーを駆使して新しい食の形を提案するプロジェクト。

プロが本気で遊んでいるような細部までこだわったつくりこみが楽しい。

四季の変化をとりこむ和菓子の伝統を、リアルな気象データを活用して和菓子の形状に反映させる。そのため和菓子作りは3Dプリンター使用。

本当にこんな未来が来るのでしょうか。




さて、ダラダラ書いて来ましたが、

2021年はこれが最後となります。

来年はもう少し遠くへ行きたいと思っております。

皆さまにおかれましては、お身体に気をつけて

良いお年をお迎えください。

 


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