時代劇「ライジング若冲 天才かく覚醒せり」
2021年1月2日(土)19:20〜20:35
NHK総合/BS4K
江戸時代の京都の絵師 伊藤若冲を主人公としたアートエンターテインメントドラマ。
若冲の大作「動植綵絵」誕生の物語。
「動植綵絵」は動植物の絵三十幅からなっており、これと「釈迦三尊像」の絵を三幅を合わせ
全三十三幅でひとつの世界観を構成している。
最近では2016年に東京都美術館の「若冲展」で、三十三幅が公開された。ひとつの大きな展示室に360度ぐるりと全ての絵を並べるという画期的な展示で、私も見に行きましたが、凄い作品でした。
「動植綵絵」は虫や魚、野菜といった画題にならないものまで全く手抜きもなく、対象ときちんと向き合って描いている。その質と量に誰もが圧倒された後、どうしてこんなものを描いたのか?描けたのか?と思わずにはいられない。その謎に迫るドラマです。
<ネタバレあります。>
物語は京都・錦市場の青物問屋の主人である
桝屋源左衛門(伊藤若冲)が隠居するところから始まる。隠居後、趣味の絵を描き続ける毎日だが思うように描けない。
ひょんなことから臨済宗の高僧大典顕常と知り合い道が開けていく。書、詩、絵画に深い造詣をもつ大典は、若冲の絵の技量がこの世の森羅万象を明らかする力を秘めていることを見抜き、交友を持つようになる。
その大典の計らいで寺にある名画の模写を始め、技量は目覚ましい進歩を遂げるものの更なる壁に突き当たる。
他人の描いたものをいくら模写しても
他人の絵しか描けない。
若冲は、絵師仲間である池大雅、円山応挙らと野に出て写生に取り組むようになる。身近な対象、鶏を飼って観察を始め、ついに生きるものの神気が見えるようになる。若冲の腕は大典の想像を越える高みに達していた。
若冲の絵師としての開眼に触発された大典は、寺を出て雲水修行の旅に出ることを決意。
別れの時、若冲は自分のために、そして大典のために、釈迦三尊像の絵を三幅、動植物の絵を三十幅、全三十三幅描くことを決意する。
十年後、相国寺呼び出された大典は、若冲と再会、完成した「釈迦三尊像」「動植綵絵」全三十三幅を目にする。その時、二人の間には分かち難い絆が生まれていた。
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面白かったです。
実物の「動植綵絵」から私が感じる印象と、ドラマの中で若冲、大典が願いを込めた理想の絵に隔たりは少ないと感じたからです。森羅万象の全てを絵の中に宿したい、絵画の探求心と仏の道とが一致しているのですから、十年に及ぶ制作も続けられたのでしょう。
若冲の創作の動機にBLのニュアンスを入れたのも、若冲が生涯独身で絵以外に興味を持たなかったということから想像がかき立てられ面白いです。崇高な理想よりも人間的な感情が原動力となることもあるでしよう。
円山応挙が狂言回しなのは御愛嬌ですが、
お正月なので楽しんで観ました。
若冲が生きた時代はタレントが多いので、また違う絵師、違う作品を題材に別のドラマを制作してほしいです。
来年は寅年ですから、リベンジで円山応挙の
虎の絵を題材にしてはどうでしょう。
NHK様、私は受信料払う派なので、
どうぞ宜しくお願いします。