特別展 桃山 ー 天下人の100年
東京国立博物館 平成館
2020年10月17日(土)
 
一般 2400円は高い気もしますが、国宝、重文も多いこのラインナップなら妥当とも思います。見たことがある作品もあるので安心感はあります。いいものは何度見てもいいです。時の権力者が富を注ぎ作らせたものは何回見ても飽きることなどありません。
 
ただ「わー、すげえ」って言ってれば済むような展覧会です。気にいった作品についてダラダラ書きます。
 
 
203  銀伊予札白糸威胴丸具足
豊臣秀吉から伊達政宗に贈られた甲冑。今は黄ばんでいるが、昔はきっと真っ白だった糸に覆われて輝いていただろう。兜は前と後ろに軍配のような飾りがついている変わった意匠。
 
 
3  洛中洛外図屏風(上杉家本) 狩野永徳
洛中洛外図はすやり霞の間に細々と多くの建物や人々が描かれて何処を見ていいかわからなくなるのであまり好きではない。逆に昔の偉い人は大好きだったようで何度も描かれている。現代なら高いビルのてっぺんにオフィスを構えて街を見下ろし悦に入る感じに近いかもしれない。これは見やすい。
 
135  檜図屏風 狩野永徳筆
138  楓図壁貼付 長谷川等伯
狩野永徳の檜図の豪快さ、圧力、は戦国時代の雰囲気をよく表していると思う。そのすぐそばに楓図があると、色彩に溢れた派手さ豪華さが際立つ。檜図を意識して描いたのだろうか。一本の極太の樹木を中心に据えた構図の対照的なニ作品。ライバル関係の二人の鍔迫り合いが絵を通して伝わってくる。
 
161  胴服 白地欅牡丹唐草模様綾
パッと見真っ白だけど、よく見ると欅牡丹唐草模様というさりげなく高そうな戦国武将の普段着。
 
148  秋草蒔絵歌書箪笥
高台寺蒔絵。黒く輝く漆に洗練されたデザインの秋草の紋様はひとつのスタイルの完成形。現代的でもある。
 
108  志野茶碗 銘 卯花墻
私が志野と聞いたら頭に浮かぶのはこの茶碗。国宝ですから。ザックリとした粗削りな作りにどっぷりかかった白い釉薬、ところどころ赤茶色、サッと描いた鳥居のカタチの意匠が象徴的で一度観たら忘れない。茶碗の山に放り込んでもこれなら見つけられる。
 
57  唐物瓢箪茶入 上杉瓢箪
まず、黒と茶の釉薬が作り出す模様が美しい。茶入は他にも名品が何点か展示されていますが私は小ぶりで蓋の周りはくびれているこれが好きです。また数々の権力者、戦国武将、ー 大友宗麟、豊臣秀吉、上杉景勝と歴史上の偉人を渡り歩いて来歴が華々しい。
 
 
86  古銅角木花入
88  瓢花入 銘 顔回
89  本手利休斗々屋茶碗
91  黒楽茶碗 銘 禿
千利休のコーナーの4点。利休が作っていないのに作風に共通点を感じる。余計な飾りがなく作為が感じられない自然な歪みがあり、余白を感じる。引き算を突き詰めたマイナスの造形。この余白に茶だったり花だったり人だったりが加わりひとつの世界が生まれるのだろう。ファッションでいうとユニクロ的。無敵のベーシックアイテム。
 
95  古井戸茶碗 銘 老僧
96  茶杓
102  伊賀耳付水指
113  黒織部菊紋茶碗
古田織部のコーナーの4点。織部と言えばハメを外した歪みがあるが破綻していなくて、大胆かつユーモラスで魅力的。楽しい気分になる。特に伊賀耳付水指のひしゃげっぷりは見事。
 
 
174  重要文化財 豊国祭礼図屏風 岩佐又兵衛筆
これでもかというくらい色々描き込んでいて、岩佐又兵衛スゴイ!と言いたくなる屏風。人人の躍動感、密度、熱量があり、祭りの活気が伝わってくる。これと比べると他の作品の人物描写が記号的、説明的に見えてくる。
 
191   鶴下絵三十六歌仙和歌巻
本阿弥光悦筆 俵屋宗達筆
書の達人と絵の達人のコラボ企画というだけでカッコよく聞こえる。最初から最後までクルクルしながら観たい一巻。
 
194  舟橋蒔絵硯箱 本阿弥光悦筆
これは特別な作品。同じようなものがあったとしてもこの完成度には到達しないだろう。山のように盛り上がった形状が独創的。でもこの作品の主題は和歌。蓋に描かれた?和歌と絵で和歌の世界観を表現している構造が複雑な作品。雑な説明ですみません。詳しくはググッてください。
 
 
そう言えばポスターになっている唐獅子図屏風は後期展示で、見れませんでした。
 
今回はこのくらいで。