ヒストポリス:絶滅と再生
GYRE GALLERY
2020年9月12日(土)
入場無料
Histopolis: Extinction and Regeneration
GYRE GALLERY
しかし重要なテーマは他にもある。
「生命」だ。
「生命」は決して人間が避けて通ることのできないテーマ。
そして、科学の進歩は、科学や哲学しか扱えなかった「生命」を現代アートの世界に持ち込んだ。
今や現代アートの作家にとって「生命」は重要なテーマであるだけでなく、新たな絵筆となった。
現代アートにおいて「デジタル」という言葉は肯定的に響く。人間の社会を発展的な方向へ導く可能性を感じるから。
「生命」はどうだろう。生命を思いのままに作り変え「不死」の実現すら視野に入っても、未だ進む先は正しいのかわからない。研究者、思想家は現状に警鐘を鳴らしている。
一般的にはアートに役割を求めるのは違うと思うが「生命」をテーマにする限り、より広く見る者に問いかけをする役割があると思う。リアルに生命をいじくり、実験のようなことを行って創り出した作品こそが、生命や未来にもたらす明暗を、直感的で端的なメッセージにして発信する力がアートにはあるから。
ここに展示されている6組の作家は「生命」を扱う現代アートで斬新で独創的な作品を創り出している。作品の説明が少ししかなく予備知識なしだと理解するのは大変だが、名前だけでも知っておいた方がいい。
やくしまるえつこ
「わたしは人類」
微生物のDNAを楽譜替わりに使い、遠い未来に人類の音楽の記録として残そうという作品。音楽はクラシックとかでなくポップミュージック。微生物の培養は今も続いている。
ジャリラ・エッサイディ
「2.6g 329m/s」(もしくは「防弾皮膚」)
人間の皮膚にバイオ技術を施し弾丸を防げるまでにした作品。もはやサイボーグ、超人もSFの話ではない。完成目標を防弾とした点がキャッチーでアート的。
他にも4組。
Synflux
BCL / ゲオアグ・トレメル
カイ・ベン=アリ
須賀悠介
どの作品も研究論文のような所があり、迂闊に感想を述べにくいので、詳しく書くのは別の機会に。
どこかの現代アートの展覧会でまた見ることはできるでしょう。