「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」
国立西洋美術館
Masterpieces from the National Gallery London
2020年6月20日(日)
イギリスの目線から観る西洋美術、その名の通り、ロンドン・ナショナル・ギャラリー展。
コロナ対応で、入場は整理券による時間指定制。
並ぶ時はソーシャルディスタンスをキープ。入り口で、手のアルコール消毒、センサーによる体温チェックを行う。展示室に入ってからは平常通り観ることができる。
Ⅰ イタリア・ルネッサンス絵画の収集
Collecting the Italian Renaissance
Ⅱ オランダ絵画の黄金時代
Dutch Painting of the Golden Age
Ⅲ ヴァン・ダイクとイギリス肖像画
Van Dyke and British Portraiture
Ⅳ グランド・ツアー
The Grand Tour
Ⅴ スペイン絵画の発見
The Discovery of Spain
Ⅵ 風景画とピクチャレスク
Landscape and Picturesque
Ⅶ イギリスにおけるフランス近代美術受容
French Modern Art in Britain
イギリスの画家の展覧会で、よくつまんない風景画、肖像画(絵葉書とか写真館の家族写真のような)が並ぶのは歴史的にしょうがないのだなと、よく分かる。
全61点。小粒な良品を揃えた感じ。
印象に残った作品は3つ。
・カルロ・クリヴェッリ「聖エミディウスを伴う受胎告知」1486年
一点透視の構図が印象的。細かいディテールが細密に描きこまれていて騙し絵のような遊びもあり主題と違う所へのこだわりに溢れている。
そもそもこの場面にはいない聖エミディウスが街の模型を持って大天使ガブリエルの隣にちゃっかりいるというのが、ファンアート的。キリスト教ようなメジャーな物語は、ファンアート的作品がかなり多い。おかげで門外漢の私も楽しく観れる。
・アンソニー・ヴァン・ダイク「レディ・エリザベス・シンベビーとアンドーヴァー子爵夫人ドロシー」1635年頃
肖像画は興味ない方なのですが、イギリス美術史の文脈で観るヴァン・ダイクの存在の大きさは理解できた。優雅で高貴、教養に溢れ慈愛に満ちた理想的、最高の自分をプレゼンするために完成された表現技術にみんな飛びついた。要するに宣材、今時ならインスタ映えする写真。私の趣味ではないが、巨匠に1票。
・フィンセント・ファン・ゴッホ「ひまわり」1888年
ゴッホ「ひまわり」は最後に1コーナーとして展示している。全体の流れからすると強引ですが、そこはやはりゴッホ「ひまわり」ですから。
ひまわりが花瓶に入った作品は7枚ありサインのあるものが2枚。そのうちの1枚がこれ。花瓶に描いたサインがお洒落。ゴッホというと派手な色使いが特徴だが、この作品の黄色はあまりビビッドではなく渋い。タッチは激しいものの落ち着いた感じで、ゴーギャンとの関係が良好だった精神状態が反映されているかのよう。
同じ構図のSOMPO美術館の「ひまわり」はこれの複製だけども、もっと黄色い。
一体いつになるだろうか。