1ヶ月ぶりのブログ再開です。


今日はためこんでしまった業界紙をまず読みました。


どの製品カテゴリーも新商品ラッシュ現象がより過熱化しています。


ビールや発泡酒や第3のビールもすごい製品ラッシュです。


トライアルパーチェスはしてもらえるものの、


リピートパーチェス率が低く、結局は市場から消えてしまう商品が増えているようです。


業界紙を読んだ後で、久々にドラッグストアでの商品チェック。


忙しくなる前に、弊社の生活者スタッフOnionsがmixiで


食器洗剤の「泡のチカラ」の泡の持続度を討論していたばかりなのに、


いまやジョイ君もスーパー泡ジョイを出しているし、


知らないメーカーの「泡訴求」の食器洗剤が低価格で棚に陳列されています。


「泡」が持続して、経済的だし、洗剤を継ぎ足す労力が軽減するというベネフィットに


まったく新鮮味を感じなくなっていました。


話題になるけどすぐ鮮度がなくなる・・・このスピードが増しています。




機能的なベネフィットは簡単に真似されてしまいますし、


消費選択眼が鋭い消費経験豊富な現代の生活者は、


2番手のがもっと性能がいいのではないか・・という認識までもっています。


メーカーは技術を背景にもっともっとと性能にかなり力を入れますが、


これ以上あってもなくてもいい臨界値っていうのが生活者側にあることをお忘れなく。


当然、賢い生活者は、必要以上の付加価値に代金を支払う意志はゼロです。


臨界値を超えた場合に、性能以外のコトが重要になってきます。


価格が代表的なコトですが、価格戦争は泥試合になるので避けたいところです。

つくり手は価格以外のコトを探さないといけません。


コストパーフォーマンスプラスアルファのアルファが必要です。



さて、こういった状況下で、どういった商品開発が必要なのか?


どういった商品が競争優位性を保てるのか?


これが今の私の研究テーマです。


これ以上あってもなくてもいいという生活者の臨界値に性能が達した場合、


いかに消費者の心に訴求するか・・・これが大切です。


プラスアルファのアルファは、心を動かすってことだと思います。





今から5年前に、これからのマーケティングは心理学だと直感しました。


もちろん私が教科書にしてきたコトラーやアーカーやポーターなどの


マーケティングやブランドや競争戦略の理論は引き出しとしてもっていないければならないと思いますが、


それだけではもはや通用しない、それ以上の何かがもっと必要になると感じました。


理論やゼロイチで割り切れない世界、生活者の理性的判断を超えた世界が


商品開発に必要になってきているわけです。


もっと人間の心を理解するってことがマーケティングに大切な時代になってきています。




研究されている日本企業はまだ少ないかもしれませんが、


アメリカでポピュラーな五感マーケティングも、現代の商品開発に必要なことの1つです。


五感マーケティングに関して、こんな本があります。


1)五感刺激のブランド戦略 ダイヤモンド社

2)ブランドらしさのつくり方-五感ブランディングの実践 博報堂ブランドデザイン


クオリアという視点で書かれていますが、平林千春さんの

ヒトはなぜその商品を選ぶのか? (日本実業出版社)も

五感から商品開発を考える参考になります。


後は、かなりデザイン性の話ですが、ドナルドAノーマンの

エモーショナルデザインも、五感のその先にある情緒への訴求について

書かれていて、大変興味深い本です。




簡単に五感訴求の商品開発の話をすれば、


私が今気に入って使っているキュキュットという食器洗剤の若竹は、


他のものより、油汚れがすっきり落ちる感じがするんですよね。


ブログでチェックしたら、私と同じように感じる方がいらっしゃいました。


彼女は若竹はお皿のぬめり感もさっぱり落ちると言及されていました。


成分的にそんなに違いがないはずなのですが、若竹の香りがユーザーにそう思わせているはずです。


私にとって、キュキュットの魅力は、香りだけではなくもっと多次元的ですけれど。


真ん中がくぼんでてもちやすそうですし、(これも五感マーケティングやエモーショナルデザイン)


パッケージがスタイリッシュで審美的欲求を満たしてくれます。


夏だから・・・ってこともありますね。

四季を感じたいっていうマクロニーズが最近出現していますから。


とにかく、多次元価値のない商品はすぐ飽きられます。




あと、私のように飽きやすくなっている生活者に大切なこととして、


ブランドにバラエティをもつことがあります。


仕事柄、色々な方にインタビューをしますが、この傾向が強まっています。

昔の生活者は1つの商品にロイヤルだったと思いますが、


現代の生活者は、自分の商品バラエティをもっていて、


気分にあわせてその中の何かを使っています。


生活者は飽きやすくなっただけでなく、気分にあった商品を選んで


日常生活を自分なりに編集して楽しんでいるのです。


私は、元気ない日は、キュキュットのグレープフルーツ(赤いボトル)を


使って、赤い色と柑橘系の香りで元気出して食器洗いをしますし、


多忙な時は、若竹のグリーンで目を、さっぱりした若々しい竹の香りで


自分を癒しながら、お皿を洗っています。



生活者のバラエティセットに自社ブランドをより多く組み込んでもらうために、


製品戦略も、単品勝負というよりは、


同じブランドで、どんなバラエティをもたせるかを商品開発時に考えないといけない時代だと思います。


どんな生活者がどんなバラエティをどういう理由でもっていて、


どういう感情の時にどれを選ぶのか?


どうやったらそのバラエティの1つに入れてもらえるのか?


商品開発前にかつてのユサージ&ハビットだけでなく、


もっと感情的なファクツを知っていないといけません。




そして、これは戦略論ですが、


必ず特許のない商品はすぐに競合メーカーに模倣されます。


だから、その商品を出すと相手がいつ頃どうでてくるのか・・


それをきちんと予測して、


その後のブランド戦略も考えて、


一貫した戦略的シナリオを用意することも、


これからの商品開発には必要だと思います。