※夏希は男装中は一人称がオレなので注意してください。
それでは、スタート!
面倒くさい仕事を押し付けられて、イライラしている隊士共を連れて、オレは町へ見回りに出た。
後ろで隊士達がブツブツ言ってるのが聞こえる。
いつもなら、
夏希:オラァ、さっさと動かんかいコラ!!
とか、
夏希:文句あんのか!?
と言う所だが、今日ばかりは仕方がない。
恥ずかしい話、高杉相手に1人じゃ敵うはずない。
ここは隊士達の力も借りなければ…
沖田:フワァ~…
沖田は文句を言うことはなかったが、やる気のない表情で辺りを見廻している。
夏希:沖田隊長。
私が招いたこととはいえ、さすがに仕事はしっかりやらなきゃダメですよ…!
沖田:じゃあ、やるからさァ…
沖田の目が甘味屋の看板に泳ぐ。
目は口ほどにものを言う。
まさにこの人のためにあるような言葉だ。
夏希:奢って欲しいんですか…
沖田:団子10本とチョコレートパフェ、あとオレンジジュースお願いしまさァ。
隊士:えっ、じゃあオレたちにも奢ってくださいよ!
夏希:ちょっと、冗談言うなよ!
勝手に決めんな!
隊士A:だって篠原さんが決めたことじゃないですか!
隊士B:なんで沖田さんはよくてオレ達はダメなんですか?
夏希:わ、わかったよ!
隊士達が一斉に甘味屋に走っていく。
夏希:まったく!
店員:お兄さん羽振りがいいんだね~。
夏希:ええ、まぁ…
(あたしの給料、パーだっつーの!)
そうやって話している時も、辺りに不審な人物はいないかどうかを確かめていた。
真撰組の制服が目立つから、制服を見てすぐに逃げ出す輩もいるのだ。
すると 裏通りから怪しい輩が逃げていくのが目の隅に見えた。
明らかに攘夷派の連中だ。
夏希:お前らはそこで待ってろ!
沖田:どうかしましたかィ?
夏希:いや、怪しい奴らがいたから。
沖田:オレも行きまさァ。
夏希:あ?
お前らまだ食い終わってねーだろうが…
せっかく俺が奢ってやったのに残す気かよ?
ブルーグレーの瞳ににらまれて、隊士達の動きが一瞬止まった。
隊士達:すいませんでした!!
夏希:安心しろ。
ちょっとでも危ないとおもったら、すぐに助けを呼ぶからよ!
そう言うとさっきの路地裏を走っていった。
そう遠くへは逃げていないはずだ。
するとさっきのやつらが私の方を見ていた。
逃げすにいるとはいい度胸してるじゃねぇか…
更に足を早めようしたその瞬間、誰かが私の背中を取った。
刀が突きつけられる。
夏希:しまっ…
そこまで都合よく行くわけがないか。
私は覚悟した。
?:待て、離してやれ。
志士:しかし こいつは真撰組ですよ?
?:仮にもお前らの先輩だぞ?
今は訳あって、真撰組にスパイとして潜り込んでいるが。
そいつらは、私から剣を離した。
そして、その声の主を見上げる。
清涼な雰囲気を持つ男。
夏希:………ヅラ……!
篠原夏希③~完結~ に続く→