【㈱グローバル・ブレイン株式会社百合本社長講演会(2008/04/18(Fri.))】
百合本安彦社長
京都大学法学部卒業。
富士銀行、シティバンク・エヌ・エイ バイスプレジデントを経て
グローバル・ブレイン・グループを設立し、現在に至る。
東京工業大学大学院非常勤講師
本日は、数々のベンチャー企業を世に送り出しているベンチャーキャピタルの代表といたしまして、グローバル・ブレイン株式会社(以下、GB社)代表取締役社長の百合本安彦社長にお話を伺いました。
IPO成功率で驚異的な実績を誇るGB社、そのインキュベーションの特徴は、アーリーステージからIPO後までの継続的な支援と、「究極のハンズオン」とも形容されるインキュベーションスタイルにあります。
近年の傾向として、日本のベンチャーキャピタルの中でもIPOに近い段階での投資であるレーターステージ投資に力を入れる企業は増加傾向にあります。その理由としては、手間と時間をかけて一生懸命支援をしても株式公開市場が低迷していて十分キャピタルゲインが得られなかったり、株式公開審査の更なる厳格化により株式公開自体が非常に難しくなっていて、投下したコストが回収できない事態に陥っていることなどがあげられます。
この様な情勢において、IPO後までの継続的な支援を行うGB社のようなキャピタルはまだまだ希薄であり、まさにここにGB社の業界内での優位性が隠されているのです。
また、GB社の特筆すべき点は創業以来支援してきた29社うち倒産企業が0社という点にあります。こうした実績は、各ベンチャー企業に対して長期的かつオーダーメイドな支援を続けてきたことに由来するものであると言えます。まさにここに、百合本氏が目指す「究極のハンズオン」と呼ばれるインキュベーションスタイルの真価が表れていると言うことができるでしょう。
また、創業以来堅実な支援によってその実績を積み上げてきたGB社は、今年度より新たな動きとしてソーシャルアントレプレナーの支援をスタートさせました。ベンチャーキャピタルで培われた知見をソーシャルベンチャーの分野に還元していこうというのがGB社の狙いですが、その根底には「日本に生まれたソーシャルベンチャーのブームを単なるブームで終わらせてはならない」という百合本社長の強い意志があります。
現在の日本におけるソーシャルベンチャーはまだまだ未開拓な分野であると言えます。米英のそれが世界をどのように変えていくかという志向性で活動しているのとは異なり、日本のソーシャルベンチャーは一地域における社会問題をいかに解決していくかの域を脱するレベルにまでは至っていません。
「ベンチャーキャピタルが支援するだけの規模を持った企業を探すのではなく、そもそも社会起業家自体の発掘から行うという長期的な視点が不可欠だ」という百合本社長、長期的かつオーダーメイドな支援によって実績を積み上げてきたGB社ならでは発想が、今まさに日本のソーシャルベンチャー界に新たな風を吹き込もうとしているのではないだろうか。そんな予感をさせてくれる講演会でした。
グローバル・ブレイン株式会社