- 湯気(ユゲ) -


子供の頃は大好きだったけれど、


今はそれほど欲しなく、あまり食べなくなった食べ物があります。


皆さんにもあるでしょうか?


僕の場合、それは、グラタン。


グラタンと言っても色々な種類がありますが、


子供の頃にグラタンと言えば、間違いなくマカロニ・グラタンでした。


急にどうしても、マカロニ・グラタンを食べたくなったので、


昨晩いただきました。


やさしい味でした。


違っているのは、脚付きグラスが横に鎮座していること。


どうして食べたくなったかと言うと、


それは、一昨日のNHKの朝ドラ『てっぱん』、


その1シーンが印象的だったためです。


『てっぱん』、面白いのだけど、ストーリー的にはいくらなんでもが多くて、


「うぁ~ベタやな」と、随時思うのが最近の正直な感想。


一昨日もやりすぎと思うシーンもありましたが、


大家である富司純子さんが、下宿人が集まったところで、大皿のグラタンを出し、


それをとりわける時の湯気。


これに、ものすごくしびれました。


湯気越しの食卓を囲む顔。


家族という文字がフィルターのようにそこに見えました。


そして、「みんなで食べると美味しいね」と言う、まさにてっぱんの台詞。


ベタですが、思わず「うん」と言わせてしまう力が、その湯気にはありました。


あの湯気がなかったら、「うん」でなく「ふん」になったかも…。


ベタすぎて…。


以前にも書きましたが、鍋、特にシャブシャブや水炊き、チリ鍋は、


純粋に味と言う面では一人で食べたほうが美味いと僕は思っています。


でも、仲間や家族で食べるのは味以外のものが確かにありますよね。


そう思いつつ、


一人、


湯気を見つめて、


グラタンをいただくのでした。



ドラマとしては、その後に下宿人の一人である『ともさかりえ』さんが、


自分はモデルだったが、


スーパーのチラシモデルをしていた、そんなスーパーモデルだった。


今はその仕事もこなくなって、うどん屋の岡持ちをしていると告白します。


すると芸術家らしき下宿人の神戸浩さんが、


「何が違うんですか?」と純朴に言います。


「違うやろ」と彼女は返しますが、


富司純子さんが、


「自分以外はどっちでもええことや」と〆ます。



うん、深い。


それも思い出しつつ、


一人、



湯気を見つめて、



グラタンをいただくのでした。




季節は、ようやく湯気が似合うようになってきました。