私のヘッドホンの遍歴は、約35年間、SONYである。昔の機種型は覚えていないが、最近は殆どMDR
シリーズ(Studio Monitorを含む)であり、現在メインで使用している2つのヘッドホンもMDRシリーズ
だ。でも、厳密に言えば、この2機種の性格もかなり違う。凡そ、私の耳はSONY本位に慣らされて
いるので、今回の評価は、かなり偏りのあるものになるかも知れない。このK-142HDは久々にSONY
から離れることもあり、かなり躊躇した。結果的には買ったことに後悔はしていないが、残念ながら
完全に満足している状況にも無い。実は、3つ保有していたヘッドホンの一つがかなり痛んでいた為
に音も視聴せずにAudiotechnicaの廉価機種を買ってみたが、全く好みに合わず、一度聴いただけ
で棚に入れたままになった。偶然にも、Classicファンには好評のAKG K-77を視聴する機会を得た。
その時の印象だが、音は綺麗だが軽くパンチが効いていない。音の立ち上がりが鋭くなく、角が
丸くなっている。優しい音だが、SONYの鋭い音に慣れた耳には物足りない。所詮、この機種では
駄目そうなので、上位機種のK-99も考えたが、更に上位機種でデザインが控えめ、且つ、耳当て
部分が快適そうなK-142HDを買ってみることにした(価格からすれば3倍程度になったが・・・)。

さて、なぜ、ターゲットがAKGなのか?それは、やはり評価が高いからだ。パイオニアやビクター
の音は想像がつくが、私にとってAKGは未知領域だ。明らかにSONYの傾向とは違う事を承知で
今回の標的にした訳だ。
さて、第一印象だが、Amazonの機種紹介の記載通りであった。(1)「明瞭で正確な音質」:MDR
(Z-300)と比較すると音位置は明確で分離性が高い。また、音には変な癖が無くモニターには適
している。私は趣味でDTMをやっているのでこれは歓迎すべき点だ。(2)「ワイド&フラットな特性」
:独特の技術を採用しているだけあって、確かに平面的な広がり感があるが、反面、薄っぺらく立体
感が薄い。MDR(Z-300)の方が立体感・奥行き感の方が高い。例えるならば、K-142HDはワイド
液晶、MDR(Z-300)は3D 液晶といった感じだ。(3)「圧倒的な情報量を忠実に再生」:確かに再生
能力のポテンシャルは高そうだが、絶対的な再生能力が高いかというとそうではない。唯、微細な
表現力は、K-142HDが若干だがMDR(Z-300)より上であろう。また、音量に最適レンジがあるよう
で、Classic系は良好なレンジがPops系より狭くなるような印象だ。音量によって印象がかなり変る
ので、色々と試した方が良いだろう。総じて、AKGの音は中音域はかなり豊かな印象だが、反面、
高音域・低音域はやや窮屈になる。音は綺麗だが透明感が高い訳でも華やかでもない。傾向と
すれば、SONYの音を油絵とするならば、AKGの音は水彩画に近い。SONYの音の方が鮮やかに
冴えた音に聞こえる。AKGは木管楽器とピアノには向いていそうだ。一見、相性の良さそうな
弦楽器だが、切れが弱くやや物足りなく、押し(音圧)が足りない。金管楽器も奥行き感が薄く、平面
的で物足りない。一方、Pops系は派手さが抑えられ総じて上品に聞こえる。一般にAKGはClassic
向きと思われているかも知れないが、個人的にはPops系でも決して悪くは無い、いや、逆にVocal系
の曲には向いているとさえ思う。まあ、Pops系の人はこの機種を好んでは買わないだろうけどね・・・。
低音はガンガン系ではないので大人しい音だがバランスは悪くないと思う。最後に着装感だが、
このアジャスト方式は良い。ベロア調の耳当ても快適だ。ただ、少し重いので肩や首が疲れるかも
知れないね。この辺りは個人の好みの問題だろう。最後に、掛かる状況では、更に高額な2万半ば
のハイエンド機種を買わないと満足できないように思えてきた・・・。これは負担が大きいなあ・・・。
実用的に使いまわすならば、SONYのMDRシリーズはコストパフォーマンスを考えてもやはり良いな
と思うが、結局のところどちらも満足できないという最悪な事態に陥ってしまったようだ。
