人間の五感の中で、香りだけはごまかしがきかないと言われている。
香りがあるということは、生きているということ。
あるいは、生きていた、ということも含まれるかもしれない。
花の香りを嗅ぐときと、食べ物が傷んでいないか確かめるとき。
同じ嗅覚でも、そのときの心のあり方は少し違う。
前者は、花がくれる癒しを期待して香りを受け取る。
生きているものから感じる力。
後者は、自分の身を守るために防衛本能がはたらく。
「生きている?(これ、食べられる?)」と確認する行為。
どちらも、「今ここ」と「生」を体感しているという点では、共通している。
香りは、それらを感じるのにとてもいいツールだと思う。
以前、アルピニストの野口健さんが書いていたコラムを読んだことがある。
標高が高すぎて、香りのない世界は死を感じる、そんな内容だったと思う。
だから彼は、登山のときにお気に入りの香りを持っていったそうだ。
きっと、香りのない死の世界で、心を癒すひとしずくになったのだろう。
いま、世の中はノイズでいっぱいだ。
ネガティブな情報だけじゃない。
SNSにあふれる「幸せのテンプレート」もその一つかもしれない。
誰かと比べて自分を責めたり、過去や未来に心を引っ張られたりする。
「今ここ」に、居づらくなっている。
頭が疲れてしまっているときは、香りを意識して暮らしてみるのもいい。
料理中に立ちのぼる香りを味わってみたり、
散歩中に風の匂いを感じてみたり、
寝る前にキャンドルを焚いて、ほっと一息つくのもいいかもしれない。
せっかく持っている嗅覚を使って、
「生きている」ことの喜びに、ふと、気づいていこう。
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