Kさんは結果的に利楽で最初の「卒業生」になった女性のご利用者さまでした。
大動脈解離という重病を患い、生死をさまよったあと、全身の筋力が低下したことからケアマネージャーの薦めで利楽に通うようになられました。
当初は寝たきりに近く、背もたれなしでは座る時間も10分が限度でした。
病気をする以前は華道の先生で、とても活動的だったと聞かされました。不自由な生活はとても苦痛であったことは容易に想像出来ました。
だから、そんなKさんだからこそ懸命にリハビリに励まれ、みるみる間に筋力が戻っていきました。ほんの3カ月もすると屋内での生活には支障が無くなってきました。
そんな時の事、私はKさんから意外な申し出を受けました。
「実はもう利楽を卒業したい」
今ではごく当たり前のことなのですが、その時はなにか自分たちのサービスに問題があるのではないか?気を悪くするような対応があったのではないか?と随分気をもみました。
Kさんはもう自分で自分なりのリハビリを行うことができると考えておられました。一日でも早く華道の教室を小規模でも再開したい。それが最高のリハビリになる。その考えは間違っていませんでした。卒業することが自然だったのです。私は自分よがりな責任感でKさんにサービスを押しつけていたことに気がつきました。
結果的に彼女が利楽の最初の卒業生になりました。そしてこの時の考えたことが私が運営するもう一つのデイサービスである「リハビリコミュニティ
リラク」に受け継がれました。リハビリがうまくいったらサービスから卒業してもらうという当たり前のことです。
でも、現実はとても大変です。次々に新規のご利用者を迎えることが出来ないと利用者数がすぐに減って経営の破たんに結び付いてしまいます。私たちはそのことを覚悟したうえで、卒業できるデイサービスでありたいと思っています。
9月末にも「卒業生」をだすことが出来ました。Kさんから数えて11人目の卒業生です。
その人らしい誇りが持てる生活を取り戻してほしい。Kさんは私たちに利楽の存在意義を教えてくれました。
http://rihabirinoki.jp