ゆっくりと静かに壊れてゆく


ゆるやかに時間をかけて


忘れられてゆく


思い出は砂上の楼閣のように


消えて無くなってゆく


どんなに美しい日々も


どんなにか優しい人々との交わりも


淡雪のように溶けて消えてゆく


ねぇ父さん憶えている?


私たち家族と過ごした思い出を


けっしてやわらかな過去だけではなく


日常の些細な酸っぱいような


それでいて苦いような思いを含んだ日々を


今も覚えていますか?


記憶でもなく鮮明さでもなく


それら感情を丸ごと


優しさと共にある思いを


父さん憶えていますか?


たとえ過去が波にさらわれても


たとえ思い出が熱い日差しに


真っさらなTシャツのように晒されて


消えようとも


わたしは


わたしたちは忘れない


あなたと過ごした日々を


わたしは


わたしたちはあなたとともにあります


いつまでもいつまでも


あなたに寄り添いながら


あなたの記憶が無くなろうとも


あなたはわたしたちそのものなのだから


父さんずっと生きていて


そのままのあなたでいて


わたしたちは家族という名の


さまざまな想いの詰まった


小箱のようなものなのだから