【暗の雲】#6 祭りは曇天により中止です? | コマンタレヴの懐古蟲

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かつて新しいもの好きだった私が、そのスピードについて行けず、
「あれは良かった、これは良かった」などと過去を美化し始めた…。

そんなオッサンの物語。

昔、EAT‐MANて漫画があって、

口からなんでも食っておいて、

いざとなったら再構築して手から出すっていう

能力を持った主人公なんですけど、

手から出すなら、手から吸収しろよ、って

思ったり思わなかったり。

 

どーもコマンタレヴです。

 

 

父や母は家から気軽に出れないもんだから、

楽しみが非常に少ない。

何かするにしても選択肢も少ない。

困っていたそんなある日、

押入れからこんなものが出てきました。

 

 

たこ焼き器です。

 

おーこれは使えそうだ、と思って

寝たきりと痴呆老人とクソ人間で

たこ焼きパーティーしたらどうかと、

考えました。

 

 

【注意】

いつも通り陰鬱な展開ですので、

元気になりたい方はお控えください。

 

 

たこ焼きスキルを家族の誰も

持ち合わせていないので、

丸くないたこ焼きができるのは明白ですが、

ギャーギャーいいながらできれば、

面白いかなぁと考えました。

 

さらに、1つワサビ入りとか作って

ロシアンたこ焼きなんてやろうかと。

 

とはいえ、両親にそれを食べさせる訳には

いかないので、必然的に

知っていながら私が食べるという

やらせバラエティ番組のごとく

私が悶絶するというオチになります。

 

なんでもいいんです、面白ければいいんです。

他でもない私自身が。

 

それで、いつやろうかなーと準備開始です。

 

ところが・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

父は入院することになりました。

原因は誤嚥による肺炎です。

 

肺炎自体は軽いもので、入院といっても

すぐ治る程度のものだそうなので

ホッとしたものの、医師からはこう言われました。

 

「お父さまは、飲み込む力が弱っているため

 今後、口から食事をとれなくなるでしょう」と

 

そして胃瘻の相談をされました。

 

胃瘻とは?

胃袋にカテーテルを付け、食事や薬を

直接、胃袋から摂取するというものです。

 

いきなりそんな事言われても、

返事に困ります。

 

「考えておきます」

とだけ答えて、保留しました。

 

ここでの保留に意味などないことはわかっています。

ですが単純に一瞬でも私は

「逃げたかった」のです。

 

何がたこ焼きパーティーだ。

何がロシアンたこ焼きだ。

もう何もできなくなってしまった。

 

そもそもツラい事をツラいと捉えるのが

嫌だから、とことんふざけてやろうなんてのが、

現実逃避そのものだし、

心は逃げても肉体は現実にあり続けるし、

何をどうするかなんて所詮一択であり、

選択なんてないんです。

 

だがしかし。

 

どうせ一択なら、心を折らず

答えることができればいい。

すでに折れていても、

意地を持てばいい。

 

父はふざけた男だった。

ネタにこと欠かない男だった。

なんだかんだ言っても、そんな父だから好きだった。

 

私が子供の頃に父が

「お前は川から拾った」と言った。

私は

「どう見てもてめぇのDNA入ってんじゃねーか!」

と言った。

 

私の中に父と同じ意地がある。

父から取り込んだ精神を

私の手で体で行わなければならない。

 

まだだ、

祭りは終わらせない。

 

 

どんなに暗雲が覆っても

「曇天続行」だ。