遠くまで見はるかすことだ
瓦礫も何もなくなった空っぽの土地に
彼らの形見が息づいている
神殿の基壇のように厳かな気配で
帰らぬ時を語る家々の痕跡
ここは彼らが自らの魂を捧げた聖なる場所
私はひざまづき頭を垂れて祈る
そして彼らの魂が癒される遥かな時を想うのだ
沈黙の街にひっそりと桜の花が咲く
神隠しにあったように人一人いない通りを風が横切っていく
自然は変わりなく生命を営み続けている
それなのに故郷は寂しいままだ
都会は不夜城のように活気にあふれている
それなのに故郷は疲れたままだ
彼らの時を止めた本当の理由は何か
奪われた未来の本当の呼びかけは何か
苦しくなったら遠く流れていく川面をじっと眺めよう
大切な人を偲ぶ時は夜空の月や星と静かに語り合ってみよう
心を決める前に透明な朝の光をゆっくりと呼吸してみよう
胸の奥にきっと声が響いている
心の底に必ず答えが現れてくる
人はみな大いなる存在に見守られ大いなる自然と歩んでいる
静けさは決してのどかなものではない
世界に響く本当の叫びが聞こえるからだ
静けさは決してやさしいものではない
喧噪の底にある本当の闘いを教えるからだ
静けさの中で人は真実に向かい合う
静けさの中で人は自らの道を知る
すべてを呑みつくせ
良い事も悪い事も辛い事も悲しい事も
それだけの大きさが君にはある
全てを抱いてゆけ
失敗も成功も理不尽な試練も不運も
それだけの強さが君にはある
君はまだ知らない君が誰であるかを
君はまだ知らない君がなぜ君になったかを
隅々まで受け入れる事だ
出会う事の出来ない人々の人生や
見知らぬ国の現実まで想ってみることだ
そうすれば全てを貫く世界の真実が見えてくる
彼方を想いと奥を見つめよう
そうすれば共に生きる道が見えてくる
P.S.
過去に傷つき懸命に立ち上がる人たちへ
誰にも平等に朝は来る
誰にも平等に日は暮れる
誰にでも平等に時間は流れる
これからの街の未来を憂う者より


