おひとり様物語 | My favorite is …

My favorite is …

好きな音楽や本、映画に出逢った時、そこに関わるエピソードが必ずあります。

人間は時間的存在である。

それゆえに、過去の断片化した記憶を綴り、書き記していこうと思います。





ひとりよりふたりの方がいい時もあるけど…
ひとりだけの方がいい時もある








「対岸の火事」

恋人の手のぬくみに触れたのは…
最後にキスをしたのはいつだったろう


恋人たちよ、淋しい人生だと胸痛めるかい
でもこれが私の全部なんだ、笑うかい?

恋をしたくないわけじゃない
今でも得難いぬくもりも覚えてるよ

わかちあうという幸福
傷つけ合う…それすらもきっと素晴らしくて

でも今の私にはこれが精一杯なんだ


ひどい顔、きたない部屋、
それでもこの暮らしが好きだ

ずぼらで、みっともなくて、てんでだめで、
でも楽しくて仕方ないんだ

久しぶりに布団でぐっすり眠ろう
起きたらゆっくりお風呂に入ろう

そしたら、炊きたてのゴハンだ
その後は掃除をして

そうだ、髪も切りにいこう
帰りに花でも買ってこようかな♩








「別れれば他人…」

並んで小さくなるうしろ姿を
私は帰り道くりかえし思い出していた

あの子ではないのかもしれない…けれど、

彼の襟を直せるのは…もう私ではないのだ
1年も前のあの日から


ちゃんとひとりになろう

望んだのは自分なのだ
あの日私が選んだのはこういうことだったのだ

ひとりにならなければ
私は一度ちゃんとひとりぼっちにならなければ

そうすることが今、どうしても必要なのだと思った









「バカな人…」

一緒にいれば、いつかこっち向いてくれるんじゃないかって思ってた
でも、やっぱダメだわ

好きだけど…好きな分だけこたえてもらえないのはつらいよ


ごめんね、利用してごめんね
好きになりたかった、そうすれば…

こんな出口のない恋心もとけてくんじゃないかって思った


あんたなんか一生独りでいればいい
おひとよしで人を見る目も全然なくて泣いてばかりのそんな奴でいればいい

いつだって私がすぐに駆けつけていけるように









「恋は遠い日の花火ではない」

待ち合わせ場所には行かなかった…玄関で足がすくんだから


いつもよりほんの少し丁寧にお化粧をして
お気に入りの服を着て、香水も少しだけつけて

でも、行かなかった
でかけてしまったら、同じ顔ではもう二度と戻れないとわかっていたから

このぬくみも
自分でひとつずつ選んできたものだから

それでも、やっぱりうれしかったの、ときめいてしまったの
たぶん…すこし恋をしてたのね




「いっそこの雪に埋もれてしまいたい」

なんでこんなみっともない、恥ずかしいことになっちゃったんだろう

今ならまだ追いつける
ドアを開けて、走って、その後ろ姿に駆け寄って、しがみついて
もう少しそばにいてと、今日だけでいいからと
あとのことなんて考えないで


ありがとう、思い出したの
誰かを好きになるって
そうだ、こんな気持ちだった


こんなにせつなくて、みじめで、みっともなくて
近づきたくて、触れたくて、苦しくて、うれしくて…










「母と娘の…」

子供の頃、親というものは万能で大きくて
何もかも任せておけば大丈夫なすごいものだと思っていた

けれど…いつのまにか親の背丈を越し
親も完璧などではない普通の人間だということに気付き
逆に頼られるようになってしまった


バランスのいい食事
帰ったら沸いているお風呂
きれいに畳まれた洗濯物
なんてことない会話

全部当たり前に受け取る穏やかな日常
けれど…母さんの背中は少しずつ小さく丸くなっていて…





「別れましょう、わたしたち」


見ないふりをしていた
気付かないふりをしていた

まっすぐに終わりへと向かう恋とわかってて
好きだという気持ちだけで飛び込んだ

やっぱり離れたくない

あの大きな手を離したくない
この人のそばにずっといたい

それでも

いつかこれでよかったんだと思いたい
何年かかっても…いつか

その日のために今は声をあげて
一晩中だって泣くんだ









「春は名のみの風の寒さや」

朝になったら私はチョコレートを買いにいこう

と、ほんの一日聞かなかった彼の声に思った

この気持ちがどんな形をしているのか
今はまだよくわからないけど

小さなリボンを結んで渡してみたいと思ったんだ







P.S. すべての愛すべきおひとり様へ


ごくたまにこんな夜もある
世界で自分はたったひとりなのかもしれないと…

そんな気分になったりする

それでもきっと…この星のどこか離れた場所で
誰かもきっとおんなじようなことを思ってる

そう思うだけで不思議と淋しさも紛れるんだ


恋する小惑星より