若さゆえの過ちを顧みる休日のひととき
その人を知るには、何に対して怒るのかを知るといい。いつかどこかで聞いた言葉だ。僕が怒る理由ってどんなことだったろう。
以外と取り立ててなんでもない事に腹を立ててしまっていたと思う。後から振り返ると、大した事のないことで苛立ってしまったなといつも後悔する。ただ、不意にくる激しい感情の波には抗うことができない。
僕は人にあたる事はしたくない。
短気は損気。その言葉を自分にいつも言い聞かせている。心を落ち着かせるために、冷静でいるために、心の余裕を保つために。
僕は感情を表に出したくない。
どんな時も冷静に、気持ちを落ち着かせる事が出来るのが大人だと信じて疑わなかった。感情を露わにするなんて子供のすることだと。僕は昔から大人な男に見られたかった。当時は無理に背伸びしていたと思う。
不意に訪れる感情の波に心がはち切れそうに、辺り一面にまき散らしそうになるのをぐっとこらえる。せき止められなくなるその波が落ち着くまで、それが通り過ぎるまで目を閉じて静かに待つ。待ち続ける。ただ、ひたすらに。
本を読むようになってから待つ時間はそんなに苦ではなくなった。
休日には本を読む。つまり僕はひたすら待っている、逢いたい人からの連絡を。
リビングからは Her space holiday の緩やかな曲が流れてきた。
それはまるで子守り唄のように優しく…
「Something to do with my hands」
壮大なオーケストラ・ポップにただ酔いしれる~
「Tech Romance」
ループする曲調が永遠に続けばいいのにと願う♩
「my girlfriend's boyfriend」

思えば、僕はいつも待つ側に立っていたような気がする。相手の出方を行動を言葉を…自分から発する事なく働きかけることなく、ただ待ち続けていた。
受け身になっている方が、楽なことを知っているから。
気のおける友人と遊びに行く約束も
同僚との会社帰りの食事も
家族との旅行の予定も
彼女とのデートも
ずっと今までそうしてきた。自分を変えたいと思うけれども、きっとこれからも変わらないと思う。そんな自分に静かに絶望する。
そういえば昔、ひどく傷つけてしまった君の事を思い出した。心を許した人には時に感情をあらわにしてしまう。まるで子供のように。
信頼していた気持ちを踏みにじられたとき
何気ないひと言に勝手に失望したとき
どうしようもなく悲しいとき
ひどく疲れているとき
そんな時は無性に誰かを傷つけたくなる。
傷ついた顔を見て、僕の心は少し癒される。
ああ、君の傷ついた顔を見て、僕は救われていたんだ。大切にしたい君を…大切にしたかった君を傷つける事で、君の愛を確かめてた。
君の涙で広がったモラトリアムの海。
穏やかな波に揺られ、僕はゆらゆらと揺蕩う。

P.S. 僕の逢いたかった人へ
逢いたい人がいないなんて…そんな人はいないと思うんだ。その人は今日もそこにはいなかった。
逢いたくなったときに君はここにいない。
今夜はどうしようもなく君に逢いたいよ、逢いたいんだ。
その夜に一度だけ再会を仲介する使者より