吾亦紅 | My favorite is …

My favorite is …

好きな音楽や本、映画に出逢った時、そこに関わるエピソードが必ずあります。

人間は時間的存在である。

それゆえに、過去の断片化した記憶を綴り、書き記していこうと思います。

これは母方の叔母が病を患っていた時期に詠んだ俳句を上の句とし、下の句を私が綴り短歌にしたためたもの。


この叔母はとてもとても優しくて強い人だった。
明治生まれで戦後の激動の時代を生きた女性である。

長い長い闘病生活、病室から日々何を想い暮らしていたのか。
その一端が句に垣間見える。




姑の忌の かすかな音の 古風鈴
風に拐われ 宵山響く



都忘れ 女が家を 長留守に
空けた家屋の 静けさ一層







揚花火 音のみ数へ 病み伏せり
暗き眼(まなこ)に 色とりどりの



白つつじ 目に清しくて 車椅子
亡夫が押す 手の温もりが








しろじろと 伏す吾照らす 冬の月
雪虫飛び交う 霜月の夜



吾亦紅 医師に一句を 請われけり
長患いの 窓辺に綴る








叔母との思い出は、まだ幼稚園の頃。
両親が共働きだったので、私はよく預かってもらっていた。


覚えているのは…
アイスの最中、台所と釜戸、砂場と畳の匂い。
そして、病室のベッドと車椅子。


…在りし日のあなたに捧ぐショートソング







P.S 叔母の句に添えられていた講評

長患いのあと、到頭不帰の身となられた作者は、本当に俳句に精進された。句を作り続ける患者がおれば、そんな患者へ心を寄せて下さるお医者さんが居る。

長患いの心はどんなに俳句と医者さまにとって和んだ事だろう。吾亦紅の季語の使い方に敬服。


名無し歌人より