- 悲痛な物語には、それに見合う感動が芽吹く
彼女の名前はハンナ。
友人、家族、趣味、将来の夢、すべてなし。
まるで機械のように単調な毎日を繰り返す彼女は、会社から突然1ヶ月の休暇を言い渡される。
彼女は時間を持て余す。
旅先で2週間の看護の仕事を引き受ける。
それは始めは単なる時間つぶしに過ぎなかった。
案内されたのは海に浮かぶ油田採掘所。
まるで時が止まったようなその場所で、
映画は淡々と進んでいく。
重度の火傷を負った患者ジョセフは、
初対面でも気安く話しかけてくる。
はじめは身構えるが、
不思議と彼のペースに乗せられてしまう。
独りが好きだと溢す年老いた現場責任者に共感する。
海を救いたいと語る海洋学者の言葉に静かに耳を傾ける。
気の優しい料理人とブランコに乗りながら談笑する。
(こんな海の孤島で仕事しているのに)
僕は泳げないんだ…
ジョセフの言葉にハンナは思わず笑ってしまう。
僕は気が短いから長編は読まない。
あの短編はある女性に贈ったんだ、渡してはいけなかった。意味深な本を贈り物として渡すべきじゃない。
そうしてジョセフは秘密を語りだす。
夜のように音のない朝、ハンナは静かに語り始める。自分の過去を。自分の秘密を。
そこに回想シーンは一切なく台詞のみであるが、胸にこみ上げてくるものがあった。
…まるで寄せては返す波のように。
アルメニア人の虐殺を30年後、
誰が証明するだろうか?
バルカン半島でのあの戦争を
10年後誰が覚えている?
数年経てば忘れられてしまう戦争、
忘れないのは生存者だけ。
生き残った事を恥じている人間。
その想像を超える壮絶さは計り知れない。
今じゃないけど、明日じゃないけど、
私がある日突然泣き出して…
それは誰にも止める事が出来なくて…
私はあなたを引き入れて涙の海で溺れてしまう。
…僕は泳ぎを覚えるよ。
私も丁度?泳げないので、この台詞を言う資格はある、というか言ってみたい…男として。
ラストシーンはなんだかぼんやりしていたが、ハンナは幸せになれたのだろうか…祈るばかりである。
P.S ハイジさんへ
1人でも多くの人に観て欲しいと語るあなたに背中を押されて向かった真夜中のTUTAYA。
監督・主演は「死ぬまでにしたい10のこと」と同じコンビ。そういえば、昔書いてみたことがあったっけ…10のことを。
映画の宣伝を買って出る広報担当より


