昨年、石橋正利さんのご紹介で、瀬賀孝子さんが汗かき係をされている
「新潟素行会」という勉強会にお誘いいただいた。講師は作家、神渡良平さんである。
神渡良平さんというお名前は存じ上げていたが、あいにくご著書を拝読したことがなく、
大変恐縮しながら、会に参加させていただいた。
神渡さんはたくさんのご著書を持っておられるが、その多くは安岡正篤、中村天風、
森信三、山岡鉄舟やマザー・テレサなどの偉人の言動についてのものがほとんどである。
この会のテキストは神渡さんの著作である『安岡正篤人間学』だ。
その中から神渡さん自ら選ばれた単元を取り上げて、内容の解説はもとより、取材時の
エピソードをとても興味深く語って下さる。それが理解を深め、一層印象深いものに
してくれる。
しかし何と言っても、この会の魅力は、神渡さんの人柄である。
38歳の時に大病を患い、社会復帰が難しいほどの境遇に陥った神渡さんは、おそらく
必至のリハビリの末、今ではそんな苦労をちらとも感じさせぬほどの回復をされている。
おそらくそのときの体験が大きいのであろう。
神渡さんの、人を見る目から溢れる慈愛は、並大抵ではない。
そしてその言葉から伝わる、先人の遺徳は心を動かさずには置かない。
今回もたくさんのことを教えていただいたが、今の自分にとって最も響いた言葉は、
『「静粛なひと時」を持つ』ということである。
自分のリズムを自然のリズムに合わせて、自分の内側を静かにする、ということである。
神渡さんが師と仰ぐ、日本ペンクラブ会長を務められた作家、芹沢光治良さんは、
『文学とは、もの言わぬ神のメッセージを読める言葉にすること』
と言われたそうだ。
その『神のメッセージ』を受けとるには、自分のリズムと宇宙のリズムを同調させる必要が
ある。そのための時間を持つ必要がある、ということなのだ。
心がけて、その時間を作ろうと意を決した一日だった。