マンション建替と人生

1956年に建設された
日本初の民間分譲マンション
「四谷コーポラス」
(東京都新宿区、5階建て、28戸)
が解体される。
※時事通信より
▼築60年超
何よりその事実が驚異的だ。
例えば引っ越し先の
マンションを探していて
“築30年”と言われれば
「まー古い物件だな」
との印象を抱くところ、
今回はその倍の
“60年”と来たもんだ。
建て替え理由には
「老朽化のため」と
一言だけ記載されているが
そんなやわな話ではないだろう。
▼全員合意
つまりそういうことだ。
事業主体の旭化成不動産レジデンス
によれば、今から10年以上前の
2006年に建て替え・大規模修繕等の
検討会がスタート。
その5年後に東日本大震災が発生。
耐震性能への不安が顕在化するなか
“建て替え”を中心に検討され、
さらに5年以上の歳月を経て、
今年3月に全員合意での決議成立
に至る。
住戸数28戸のマンションですら、
結論を出すまで計10年以上を要す…
僕個人としては
その事実だけでも気が遠くなってくる。
▼四谷コーポラスのワクワク感
ところで当該マンションは単に
民間初の分譲マンションである
だけでなく、
住宅ローンが一般的でない時代に
初めて割賦販売が適用され、
高額なマンションが
庶民に普及するきっかけになった
物件とも言われている。
それでも大卒初任給が
1万円程度だった当時の販売価格は
233万円。
現在の同初任給を20万円と仮定し
1戸あたり4千万円台後半
と言ったところか。
またこの物件が面白いのは
玄関が1階と4階にしかない点。
すべての部屋が2階つなぎの
“メゾネットタイプ”の間取りを
採用しており、
1階と2階がつながっている部屋は
1階の玄関から、
3階と4階がつながっている部屋は
4階の玄関から、
それぞれ出入りする仕様となっている。
「もはや戦後ではない」と
経済白書で謳われた当時、
当該マンションは周りの人々に
一体どのような感覚で
捉えられていたのだろうか。
▼マンション建替と人生
冒頭のニュースによれば
四谷コーポラス今月15日から
解体が始まり、
およそ2年後、2019年夏には
地下1階、6階建て(51戸)
に建て替えられるそうだ。
旭化成のプレスリリースによれば
「昔から繋がる
住民同士の関係も健在で
活発な管理組合活動が
維持されてきたため、
比較的短期間での建替え決議が
可能となりました。」とあり、
つくづく管理組合の重要性
住民同士の横のつながりの大切さを
実感するとともに
今後の日本の分譲マンションの
行く末を案ぜずにはいられない。