1億人割れと人生
厚生労働省の
国立社会保障・人口問題研究所は
(中略)
2015年に1億2709万人の総人口
(外国人を含む)は
2053年に1億人を割り、
2065年には3割減の
8808万人になるとした。
※毎日新聞より
▼36年後
2053年までの年数はあと36年。
こう数字にしてみると
思ったよりも長いようにも感じるし、
短いようにも感じる。
総務省統計局によれば
戦後初めての人口が減少となった年は
2005年。
2006年には2000人、
2007年には1000人、
それぞれわずかに増加したものの、
2008年には7万9000人減少し、
以降は一貫して減少を続けている。
10年以上前に人口の減少が叫ばれ
ここ7,8年間は毎年のように
「今年は〇〇人減少しました」
とニュースで聞かされ続ければ
人の感覚も慣れてくるものだ。
▼それでも
2012年の調査時に比べれば
“1億人割れ”の時期は
5年ほど後ろにずれている。
出生率が足元で改善し
50年後の予測値を
1.35から1.44に上方修正したことが
原因とのこと。
一見楽観的な傾向のようにも思えるが
それでも現在の政府が掲げる
希望出生率1.8には遠く及ばない。
仮に今回の予測値のままだと
50年後には日本の人口は
およそ8800万にまで落ち込む。
▼苦しそうな表情
僕が小学生のころ
社会科か何かの授業で
人口問題について
学んだ時のこと。
今でも忘れられない
衝撃的なイラストが1枚ある。
それは
自分の親くらい世代の人達の上部に、
お年寄り1人が
正座している絵だ。
イラストは
真ん中で2つに分かれていて
1つは5,6人の人に対して
お年寄り1人。
もう一つは2、3人に対して、1人。
言及するまでもなく
片方は授業で習った当時、もう片方は
今現在の人口構成を表している。
なぜ衝撃的だったかといえば、
2,3人で支えている側の
支えている男女らが、全員で
苦しそうな表情をしていたからだ。
▼1億人割れと人生
そんなイラストが現実となった今、
“支えている側の”人々が
全員苦しい思いをしているのか
と言われれば、どうだろう?
もちろん労働力不足、
介護人口不足の問題は
今日のニュースを見れば明らかだ。
「経済成長率の低下」
「国際社会における競争力低下」
言葉にするだけなら
いくらでも出てくる。
けど忘れてはならないのは
“何を基準に”
先行きを案じているのか。
単に数字上のデータにのみ固執し
一喜一憂しているのであれば、
本質を見誤るばかりか
余計な心配ばかりが先行して
将来に益々希望が持てなくなるだけだ。
“あのイラスト”
を目の前にした、当時の僕のように。
▼戦後初めて人口1億人を突破した
1967年から今年でちょうど50年。
これからの50年は、
それまでの50年とは違い、
経済成長や国際競争力に頼らない
人間社会の在り方について、
個々が真剣に向き合いそして
不毛な数字の競い合いをやめ、
生きていく上での新たな価値観を
お互いに見出す、そんな時代だ。