相反する思い

午前中の授業が終わった。
僕はそのまま近くのコンビニで
適当におにぎりとパンを買って
次の教室へ直行した。
もう、
誰にも会いたくなかった。
誰とも顔を合わせたくなかった。
…
結局その日も
一言も“しゃべる”ことなく
帰宅の途についた。
その日の夜、
携帯が鳴った。
「あ゛」
思わず変な声がでた。
自分の口で何かをしゃべるのは
3日振りくらいだった。
喉がうまく振動しなかったのだろう。
電話の相手は
地元の友人だった。
「よう久しぶり」
相変わらずだった。
元気?という問いに
曖昧に相槌を打つや否や
友人はそのままずけずけと
本題に入っていった。
「よかったら
一緒にやらない?」
音楽の誘いだった。
僕は、
またか…
と半ばうんざりするのを抑えつつも
詳細を一通り、聞いた。
そして結局…
来週の日曜日、
メンバーとの初顔合わせを
することになった。
…
出来ることなら、
断りたかった。
でも、
生来“断れない”性格であるのと、
その一方で
心のどこかで
“求める”自分が、いた。
僕は…
音楽に、
“夢中になりたかった”
…
当日。
駅前で待ち合わせをした友人と合流し
そのまま向かいの
ファストフード店に入った。
「でさ、実は
今日、ヴォーカルの子と
会うことになってるんだ。」
ヴォーカルの子?
「もし話が合えば、
その子と一緒にやろうと
思ってるんだけど。」
何だそれ?聞いてないぞ。
「あ、
まだ確定
っていうわけじゃないからさ。」
いや、確定もなにも、
そういうことは先に言ってよ。
まあまあ、と
その友人は不服そうな僕を宥めた。
友人の携帯が鳴った。
「あ、
向かいのお店の2階に来て。」
到着したようだ。
数分後、
飲み物のセットをお盆に乗せて
もう一人のメンバーと
そのヴォーカルの子が、
僕らの目の前に姿を現した。
「はじめまして」
年のわりに受け答えのはっきりした子
そんな印象だった。