~デスタミッタ・ジャマラン地下龍堂....


ホワホワホワホワホワ・・・(光蟲や雷光虫達が照らす幻想的な明かりを受けながら、鉄格子の中で目を閉じたまま詠唱を続けている邪龍教徒の老人)


タガル・ウムト「・・・・・・・・・・・・・・」ブツブツブツ・・・


タッタッタッタッタッ・・


タガル・ウムト「・・・・・・・・・・・・・・」ブツブツ・・・・・・


どうした?
練兵場のモンスター達が檻を破ったそうだ
なんだって!?


タガル・ウムト「・・・・・・・・・・・・・・」ちら・・(目を細めながら膝下に落ちている小袋の存在と位置を確認するように見下ろす)


緊急事態だ 俺達は増援に向かう
こっちは見ての通りだ 二人いれば十分だろう
そういうこった 早く行ってくれ
わかった 任せたぞ


タガル・ウムト「・・・・・・・・・・・・・・」スッ・・・(それとなく左手を伸ばし、小袋を引き寄せる)


タッタッタッタッタッ・・


タガル・ウムト「・・・・・・・・・・・・・・」ブツブツブツ・・


見張りA「チッ・・・どうせなら俺達も上が良かったな」やれやれ(と龍堂へと繋がるアーチ開口の前でポーズしている赤装束を纏った二人の見張り)

見張りB「羨ましいよ。モンスター相手に狩猟できるなんてな。一応、こっちも見回りしておこうぜ」

見張りA「倉庫を頼む。俺は爺さんの様子でも見てくるわ」やれやれ


タガル・ウムト「・・・・・・・・・・・・・・」ブツブツブツ・・ゴクリ・・・(細い喉元が何かを飲み込んだように微かに動く)


ザッザッザッザッザッ(鉄格子越しにこちらへ向かってくる見張りA)


ゴホッゴホッ・・・プルプルプル・・(座禅をしたまま小刻みに痙攣している翁の細い背中)


見張りA「ん・・」ゴホッゴホッ

タガル・ウムト「ゴホッゴホッゴホッ!!」


デン・・・(ウムトは座禅をしたまま咳をしながら横倒れになる)


見張りA「おいおい・・・・」ザッザッザッ・・(仕方なく鉄格子の前まで行く)


ピクピク・・ピクピク・・・(ウムトは横向きに倒れたまま痙攣を続けている)


見張りA「勘弁してくれよ。ドクターも不在だから薬は出せねぇぞ」


ピク・・・ピク・・・・・・・・・・・


見張りA「マジかよ」スッ・・(鉄格子に顔を寄せながら屈み込む)


バッ!!(次の瞬間、目を赤紫色に開眼したウムトが両手を伸ばしながら襲いかかってくる)


見張りA「!?」


ガシッ!!
ガシャーーーーン!!
ガシャーーーーン!!
ガシャーーーーン!!
ガシャーーーーン!!

(ウムトは鉄格子越しに両手を伸ばし、見張りの頭を挟み込むと、そのまま鉄格子に向かって激しく何度も彼の顔面を打ち付ける)


グシャッ!!
ズルズルズル・・・・・・

(最後の一撃により顔面を鉄格子にめり込ませられたまま、だらしなく前に倒れていく見張りA)


ガサガサ・・ガサ・・・・チャリッ・・(ウムトはうつ伏せに倒れている見張りAの体に、相変わらず細さは変わらないが異常に血管が浮き出ている腕を伸ばすと、彼の懐をまさぐり、中から鍵束を掴み取る)


ガチャガチャガチャ・・・ギィ・・・・・


タガル・ウムト「・・・・・・・・・・・・・・」フゥーーーーー・・・ゴキッゴキッ(マゼンダ色の鋭い眼光で正面を睨みつけたまま、すっかり生気を取り戻した首を回す)

見張りB「おい!!何やってんだ!!」ダッダッダッダッダッ!!(剣を抜きながら襲いかかってくる)

タガル・ウムト「還る時がきた」ダッダッダッダッダッ!!


フォン!!
ダシャーーーーーーン!!

(ウムトは振り下ろされてきた剣を身軽に飛び上がりながら避けると、見張りBのがら空きになっている頭を両手で掴み、自身が落下する勢いを利用しながら彼の顔面を地面に思い切り叩きつける)


ピクピク・・ピクピク・・・(うつ伏せのまま痙攣している見張りB)


タガル・ウムト「このあたりか・・・・」ガシッガシッ(石床を踏みつけながら)


スススス・・・(ウムトは敷石と敷石の溝に指をなぞらせる)


タガル・ウムト「やるな。すっかり修復してある。1000年は崩れることはないか」コンコン(拳で石床を叩きながら)

見張りB「逃が・・すか・・・」ズルズル・・・(見張りBは、うつ伏せのままぐちゃぐちゃになった顔を上向けながら、ウムトを止めるように手を伸ばしてくる)

タガル・ウムト「いいことを教えてやろう。ここの下にエズガダの秘密の通路があるようだ。だが、連中のことだ。地下にどんな仕掛けや罠があるか分からない。ならば、脆弱なお前らを倒すだけで良い、上からのルートを選ぶとしよう」チャッ・・(落ちている剣を軽々と持ち上げると、その刃を下向けながら、うつ伏せに倒れている見張りBの後頭部目掛け、垂直に落下させる)


ズシャッ


見張りB「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


タガル・ウムト「さて・・長い階段を上がってやるか」ゴキッゴキッ






「あたちのモンハン日記」
Anthem of a Dying lights







~監獄エリア....

フォーーーーーーッ!!
(雄叫びをあげながら洞窟の牢獄内から次々と外に向かって飛び出していく罪人達)


ズワロマン「さぁ、表に出ろ」ガチャッ・・フォーーーッ!!(鉄格子の鍵を開けるやいなや、きっかけを待っていたかのように両手を上げて叫びながら走り出していく罪人)

騎士団員「よし。次だ」ザッ(鍵束を手に鉄格子の前へ)

ヘッジ「やめてくれ。俺はこのままでいい」

騎士団員「はぁ?」

ダニー「てめぇは良くても俺はそうはいかねぇ!開けろ!」ガシャーンハッ

騎士団員「やれやれ」ガチャッ・・

ダニー「よぉ~し、いい子だ。てめぇら何者だ?」ザッ

騎士団員「罪人に語るか」

ズワロマン「さぁ、外へ」ガチャッ

デヴィマッツォ「待っていたよ」ザッ

カリサ「やい!!早くこっちも開けやがれ!!」ガシャーンガシャーンハッ(仕方なく騎士団員が鍵を開けてやる)

デヴィマッツォ「コズマ」

コズマ「グランドマスター!」ダッ(抱き合う二人)

ダニー「ケッ。涙の再会ってか」コキッコキッ

ヘッジ「泣けるじゃねぇか・・・」ぐすんぐすん(外には出ず、牢屋の中から開いている鉄格子を両手で握りしめている)

カリサ「うちのボスはどうした?」グリグリ(手首を回しながら外に出てくる)

騎士団員「さぁな。そっちは担当じゃない。余計な真似はするなよ」チャッ・・(鋭い刃を持つ剥ぎ取りナイフの刃を向ける)

ダニー「ヘイヘイ」

デヴィマッツォ「カーブー君は?」

騎士団員「闘技場かと。彼らの作戦のおかげで実行できた」

ズワロマン「まずはここから出ましょう。話は道中に」

デヴィマッツォ「わかった」

ヘッジ「待ってくれ!グランドマスター!」

デヴィマッツォ「君は余程、ここが好きなようだな」

ヘッジ「へへ、まぁな。安心しろ。俺が暴動を起きたことを証言してやる」

デヴィマッツォ「君の目的は?」

ヘッジ「ここにいたいだけだ」あ~~ん・・おえっ・・(口を開け、その中に手を突っ込み、何やら奥歯をいじっている)

デヴィマッツォ「??」(寄り添うコズマと顔を見合わせながら)


ずぽん(ヘッジが口から取り出したぺちょぺちょの手には、大粒の多面カットが美しい霊鶴石の宝石がついている指輪が乗っている)


デヴィマッツォ「!!」

ヘッジ「俺が捕まっちまった理由だ」ゴシゴシ(囚人服で指輪を拭きながら)

デヴィマッツォ「どうしてそれを?」

ヘッジ「簡単な話さ。宮殿と良好関係にあったエズガダのメンバーだった俺は、こともあろうか、後宮に忍び込み、王妃様の私物をちょうだいしちまったのさ。そのことを武勇伝のように仲間に向かって話しているところを規律にうるさいナンバー2に見つかっちまってな。奴に殺される前に、この指輪を手切れ金として、奥歯にはめ込んだまま、自首したってわけさ」ゴシゴシ

デヴィマッツォ「・・・王妃に憧れていたのか?」

ヘッジ「ああ。あんな聡明で美しいお方は見たことがない。つい、魔が差しちまったのさ・・・」

デヴィマッツォ「・・・・・・・・」


スッ・・(鉄格子の間から指輪を差し出すヘッジ)


ヘッジ「王妃様に返してくれとは言わねぇ。ただ、こいつを売れば、高値になるはずだ。道中、金に困ったら、そいつを売れ。俺からの餞別だ」

デヴィマッツォ「いいのか?」

ヘッジ「王妃様も、もうこの都にはいねぇっていうじゃねぇか。それに俺には、ここで初めて出来た友達との思い出ができた。だから、そいつはもういらねぇ」

デヴィマッツォ「・・きっとカーブー君も喜ぶだろう。この指輪は必ず、スカルリーナ・・・王妃様に返すと約束しよう」

ヘッジ「好きにしな」

ズワロマン「グランドマスター!早く!」やれやれ(と洞窟内を進んでいくダニーとカリサを見張っている騎士団員らと共に声をかけてくる)

ヘッジ「っと、その前に!」

ズワロマン「??」

ヘッジ「ここの鍵を閉めていってくれ!」

ズワロマン「はぁ?」

デヴィマッツォ「そうしてやってくれ。鍵を」


ヒョッ(鍵束をグランドマスターに向かって投げるズワロマン)


デヴィマッツォ「よし・・・」パシッ


ガチャガチャ・・・


デヴィマッツォ「鍵を閉めることになるなんて、変な気分だ。よし」ガチャッ

ヘッジ「元気でな、二人とも」

デヴィマッツォ「私も良い思い出ができた。さようなら、ヘッジ」

コズマ「幸運を」

ヘッジ「ああ」


タッタッタッタッタッ!
(洞窟を振り返ることなく光差す出口に向かって足早に駆けていくデヴィマッツォとコズマ)


コズマ「・・・・・・・・」タッタッタッタッ(走りながら彼女の肩を抱き寄せる彼の手の中に握られているのであろう指輪の存在を意識するように見つめている)


ワァアアアアア・・・・(洞窟の外に出ると、市街地エリアの方から非常事態をにおわせる喧騒が聞こえてくる)


デヴィマッツォ「脱走した囚人の影響か?」ワァアアアアア・・(外の様子を窺うように見回している騎士団員達に向かって)

騎士団員「あれを」


モワモワモワモワモワ・・・(灰色の町並みの向こう側より黒煙があがっているのが見える)


ダニー「闘技場の方だな」ワァアアアアア・・

デヴィマッツォ「ただの火災じゃなさそうだが・・」ワァアアアアア・・


ザッ・・(彼らの背後から、目を覚ました見張りの一人が長槍を振り下ろしてくる)


コズマ「・・・・・・・!?」


ブオ~~~~~~~ン!!
(次の瞬間、見張りは背後より襲いかかってきた何者かによる「投げっぱなしジャーマン」を受け、遥か後方に飛ばされた挙げ句、断崖に後頭部から激突して落下していく)


ゲンス・ゴンス「ちゃんと見張っていろと言ったはずだぞ」パンパン(手を払いながら)

ダニー「ボス!!」

カリサ「無事だったんだね!」ダッ

ゲンス・ゴンス「こいつらに手を出しちまった以上、俺もこの都にはいられない。グランドマスター。どうだ?俺達を用心棒として雇ってみないか?」フフッ(ボスの左右に並ぶダニーとカリサ)

デヴィマッツォ「・・・・・・・・・・」(コズマとズワロマンの顔色をうかがう)

コズマ「判断はお任せいたします」にこり

デヴィマッツォ「フッ・・・そしたら、報酬はパパグラーナに到着してからでいいな?」

ゲンス・ゴンス「ヒ~ホホ~!!そのクエスト請け負ったぜ!!」パァ~~ンハッハッ(彼が差し出す両手にそれぞれハイタッチをするダニー&カリサ)


To Be Continued





みんなの激アツ一票でしっかり応援してほしいミャオ♪

次回「あたちのモンハン日記/Anthem of a Dying lights」

第211話「参りましょうニャ」

2/29(月)0時更新予定

先日、作者はエリミネーションチェンバーのライブに大興奮しながら、アメブロだけでなく、ABEMAにも大感謝しているんだミャ♪



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