ルチア「わりぃ。遅くなっちまったな」

ムーア「ほんとだよ」


だきっ(ルチアの胸に顔を埋める視点主)


ムーア「アポロンが・・・アポロンが・・・・・!!」

ルチア「・・・あの時と同じだ」

ムーア「え・・」

ルチア「あの時もあたしだけが採取に出かけていて助かっちまったんだ・・。神殿に戻った時、はじめてたくさんの仲間やアースラとバーニーがいなくちまったことも知った・・・。どうして・・どうして自分だけが生き残って、あの二人が死ななきゃいけなかったんだって・・・後悔したもんさ」

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ルチア「だが、そうやって悔やむたびに、あたしを励ましてくれたのが・・お前だ。キャロルムーア」グッ

ムーア「ルチア・・・」



見ろ!!(背後から仲間の声があがり、すぐさま上空を見上げる)



ゴオオオオオオオオオ・・・・・
(依然としてモノクロームな世界の廃空に浮かぶ黒龍は全身から煌めく白煙をあげており、切り刻まれたように破壊されている両翼を弱々しく羽ばたかせながら、ゆっくりと降下してくる)



ルチア「今のがだいぶ効いたようだな。あれがアースラの言っていた黒龍か?」

ムーア「あいつがすべての元凶・・・あいつがお父さんとお母さんを・・・アポロンを・・・!!」ゴオオオオオオ・・・


ガシッ(視点主の両肩を掴み、自身に顔を向かせるルチア)


ルチア「今度こそ護ってみせる。さぁ、大剣を抜け。一緒に敵を討つぞ」グン!!(涙を拭いながら強く頷く視点主)






Recollection No.5_191






ゴイン・・(静かに背中の祖龍剣を抜き、降下してくる黒龍を見上げる)

シセ「遅かったな、ルチア。で、その格好はなんだ?」スッ・・(視界の左より弓を構えた彼の姿が)

ムーア「あたちも気になってた」(と右を向き、腕を組みながら宿敵を捉えているルチアが装着している白いマントを見つめる)

ルチア「ああ・・これな。お前が赤ん坊の頃に使っていたおくるみだよ」ギュッ(右肩に左手をまわし、背中のマントを優しく握りしめる)

ムーア「ほえ・・おくるみ・・」

ルチア「親友の形見だ。お前にはもう必要ないだろ?だからあたしがお守り代わりに使ってやる。護っておくれよ・・アースラ」グッ(握りしめた絹のマントにキスをする)


ブワッサ・・ブワッサ・・
(おもむろに下りてくる黒龍は確実にこちらをその邪眼で睨みつけている)


シセ「どうやってあいつを引きずり下ろすか悩んでいたんだが、同時に怒らせちまったようだな」

ルチア「怒らせてなんぼだろ?狩猟なんざ」フォルルルルル!ガイン!!(腰の後ろに納刀していたデュエルトマホークを回転させながら両手に構える)

ムーア「ちょっと。これは狩猟じゃないのよ?」

ルチア「戦いには変わりねぇ。勝つのは気迫と戦術に長けた方だ。でだ。作戦はよ?盟主様」


ちら・・(それとなく崖側に目を向けると、各崖穴の中よりバリスタ部隊が上空の獲物にそれぞれ照準を合わせている)


ムーア「圏内に入ったら一斉射撃を開始をする。あいつが落ちてきたら突撃開始よ」

グッ・・(両手で握りしめた大剣の刀身を見上げ、その剣先にとまるように降下してくる黒龍を鋭い眼光で捉える)

ムーア「このヒンメルンをお前の墓場にしてやる」


本気で勝てると思っているようだな
その崖に潜ませている兵器が頼りか?


ムーア「はぁ・・・どこまでもお見通しのようね。いつから監視していたわけ?」


我が従属の眼もまた大陸各地に潜んでいる
貴様が何処へ行こうとも逃さん


ムーア「つまりあんたには仲間がいるってことね?」


かつて白の同盟が来たるべき闘争に備えたように
我が同胞もまた存在する


ムーア「・・・魔子は・・・・その為に同盟を結成した・・・」


逃げてもいいんだぞ?キャロルムーア・ロザリー
かつて貴様の祖父 デーモン・ロザリーが国と民を捨て そうしたように


ムーア「ハッ!あたちにとってその名前こそが禁忌。挑発に乗るのはあんたの番よ?マモーナス」

ルチア「・・おい・・・お前まさか・・・あのバケモンと・・・」


ブワッサ・・ブワッサ・・!!
(見上げる黒龍が崖近くまで降下してくる)


ムーア「てぇえええええええええ!!!!!」



バシューーーーーーーン!!
バシューーーーーーーン!!
バシューーーーーーーン!!

(盟主の号令と共に崖穴のバリスタ部隊が頭上の黒龍目掛けて一斉射撃を開始する)



こざかしい



ブオオオオオオオオオン!!
(黒龍は浮揚しながら太く長い巨大な尻尾でバリスタ弾を薙ぎ払う)



ムーア「怯むなぁあああ!!!!てぇえええええええ!!!!!」


バシューーーーーーーン!!
バシューーーーーーーン!!
バシューーーーーーーン!!

(続けて弩砲より放たれる矢の嵐が黒龍の尻尾に突き刺さっていく)


失せろ カンタロスどもめ


ブオオオオオオオオオン!!
(崖上に留まる黒龍は再び尻尾を振り回し、突き刺さったバリスタを弾き返す)


ムーア「ガーーーーーード!!!!」


ジャギーーーーーン!!
(合図と共に崖穴の同志達がバリスタ横に設置されている大きな木製レバーを力強く両手で引くと同時に穴の上に吊るされているマカライト製の鉄板の開閉装置が開かれ、ギロチン方式によって鉄板が垂直に降下して崖穴全体を覆い尽くすシャッターとなる)


ガイイイイイインハッ
(それぞれの崖穴を覆う鉄板に弾かれて飛んできたバリスタ弾が当たる)


ムーア「よし!!」


なんと儚い創意だ
僅かな時間稼ぎにしかならんというのに


ムーア「そうかもね」


ちら・・(横目に崖穴を確認すると、次々とシャッターが上方向に開かれ、再びバリスタ部隊が一斉射撃の準備に入っているのが確認できる)


李俊「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」グッ(こちらに向かってサムズアップしている)

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・」スッ・・(頷きながら左腕を掲げる)


ギィッ・・ギィッ・・ギィッ・・・(続けて音がする崖上に目をやると、ガトリング砲が搭載された荷車を押しているモーガンと三人組の姿が見える)


ムーア「フッ・・・でもね、マモーナス?命の数だけ抗えば、立派な未来に繋がるのよ?」


そのすべての希望を絶望に変え
喰らってやろう


スゥ・・・・・(黒龍が息を吸い上げる)


ムーア「てぇええええええええええ!!!!!!」バッ(掲げた左腕を振り下ろす)



トウーーーーーーーーン!!
トウーーーーーーーーン!!
トウーーーーーーーーン!!

(バリスタ部隊から黒龍目掛けて一斉射撃された矢弾にはそれぞれロープが弩砲と繋がっている)



トシュッハッ
トシュットシュッハッ
トシュッ!!

(黒龍の半ば破れた両翼に拘束弾が次々と突き刺さっていく)



これが秘策か?
愚かな



ブオオオオオオオオ!!
(上空より黒い火炎ブレスをこちらに向かって吐きつけてくる黒龍)



ルチア「ガードだぁああああ!!!!」ザッ!!(彼女の号令と共に背後に募る一軍からランス部隊が一歩前進してくるなり視点主を囲い、頭上に大盾の傘を作り上げる)


ブオオオオオオオオオオオ!!
(盾の傘の向こう側より業火の轟音が)


ムーア「みんな耐えてぇえええええ!!!!あいつはさっきより弱ってるはず!!!!」ゴオオオオオオオ!!!!


ガシャン!!
(頭上の視界を覆う傘が颯爽と開かれ、ランス部隊の安否も確認されると、見上げる空に翼を拘束弾によって繋がれた黒龍の禍々しい姿が再び映り込んでくる)


ムーア「今よ!!モーーーガーーーーン!!!!!」(崖上の彼を見上げる)

モーガン「待ってましたぁあああああ!!!!!」グルングルングルングルン!!(既に標的を捉えている上向けられたガトリング砲の手回しハンドルを右手で高速回転させている)



ズンギャッギャッギャッギャッギャッギャッギャッギャッギャッ!!
(上空の黒龍目掛け、ガトリング砲より赤紫に発光する滅龍弾がマゼンダの軌跡を描きながら連発される)



バカな!?
あの兵器は!!



ズンギャッギャッギャッギャッギャッギャッギャッギャッギャッ!!
(滅龍弾の連射が黒龍の巨大な身体を貫きながら同時に龍属性ダメージをも与えていく)



ギャアアアアアアアアアア!!!!!
(ヒンメルン全域に黒龍の阿鼻叫喚が轟く)



ムーア「落ちろぉおおおおお!!!!!」ズンギャッギャッギャッギャッギャッ!!(空中で悶える黒龍に紅光の弾丸が絶え間なく襲いかかりその巨大な骨身を貫き屠っていく)



ギャアアアアアアアアアア!!!!!



To Be Continued






★次回ストーリーモードは8/23(月)0時更新予定です★