ドシーーーン!!ドシーーーン!!
(すべて瘴気と化した無彩色でフラットな空間を無視したディストピアエリアの水平線に時間の流れを無視するように立ち込める黒い霧を踏み潰しながら立ち姿の巨大なドラゴンがその酷薄な邪顔の敵視をこちらに向けながら迫りくる)
ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ドシーーーン!!ドシーーーン!!(ドラゴンに怖じけることなく顎を上げ、尊大に待ち受ける)
強奪の境地に立たされ
更に強さを得たか キャロルムーア
ムーア「あんたを殺す為に生き続けるだけ」ガッ(ボーンブレイドの剣先を黒龍に向ける)
ようやく理解したようだな
それがお前の価値だ
ムーア「もう誰もいない。そしてあんたはあたちを殺すことができない」
どうかな
貴様を殺す方法はいくらでも浮かぶ
ムーア「あたちの未来はお前なんかに食べさせない!!!!」ダッ!!
スッ・・(立ち塞がる黒龍がその蜥蜴のように長い尻尾を頭上に掲げると、その尖端にレイアシリーズを身に纏った女性が突き刺さっていることに気づく)
ムーア「ルチア・・!?」
ルチア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(遠目に確認できる彼女は胴体の中心を背中から長槍のような尻尾の尖端によって突き抜かれたまま瀕死の形相でこちらに向かって何か呟いている)
ムーア「すま・・ねぇ・・・・・・・ルチア!!今助ける!!」
抗う必要はない
今のお前に母代わりは もう必要あるまい
ムーア「なぜだぁああああああ!!!!!」
お前が我を殺す為 生き続ければ
お前に希望を見出し また新たな生命が募る
然らば我は その気概に満ちた至高の絶望を味わい尽くすだけ
ムーア「うがああああああああ!!!!!!」ダッダッダッダッダッ!!
大陸の原罪とは何か考えたことがあるか?
ドシャーーーーーーーーーン!!
(黒龍は尻尾を瞬時に振り下ろし、その尖端に突き刺さっていたルチアを視点主の目の前に投げ捨てる)
光と闇が生まれた瞬間だ
ムーア「ルチアああああああ!!!!!」バッ!!
憎め
そして我を殺す為
生き続けろ
ブワッサ・・ブワッサ・・・
(次第に蝕が晴れていき、上空から弱々しい薄明光線が差してくる荒廃したエリアの中、視点主が横たわっているルチアの頭を膝の上に乗せ抱き寄せると、黒龍はその光景を傍観しながら静かに翼を羽ばたかせ浮上していく)
ルチア「はぁ・・はぁ・・・まさか・・最後の最後でお荷物になっちまうとはな・・・」ブワッサ・・ブワッサ・・・
ムーア「そんなことないよ・・・ああ・・・・ルチア・・・ルチア・・!!」ブワッサ・・ブワッサ・・・
ルチア「二人で・・抗うことすらできなかった・・・・あたしの人生は・・後悔だけ・・・・グフッ!!」
ムーア「ダメ!!絶望に飲まれては駄目!!ルチアは立派に戦った!!お母さんとお父さんの為に!!そしてあたちの為に・・・たくさん・・・・・・いっちゃだめぇええええええええええええ!!!!」(ルチアの胸に泣き崩れる)
カッ・・(視点主の胸元から光が漏れてくる)
ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・」ガサッ・・(おもむろにコートの内側からボロボロになった武芸書を取り出す)
ルチア「はぁ・・はぁ・・・もっと強くなれ・・・・・そして・・・あいつを・・・・・ぶっ殺せ・・・・・・」ブワッサ・・ブワッサ・・(彼女の顔を覗き込むとその瞳にはエリアを飛び去っていく宿敵の姿が映り込んでいる)
ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」こくり(泣きじゃくりながら深く頷く)
スッ・・(虚ろな目をしたルチアが小刻みに震えるその右手で、そっと父の残した武芸書に触れる)
キラキラキラキラキラキラキラ
(次の瞬間、武芸書が光り、煌めきの粒子となって宙に昇っていく)
ムーア「お父さん・・・・・・・・」キラキラキラキラキラ・・・
ルチア「あたしをアースラのところまで導いてくれるってさ。あとは・・ボリスもか」フッ(そう微笑む元気な姿の彼女は纏っている純白のマントにキスをすると全身が光に包まれていく)
ムーア「ルチア・・・・・今までありがとう」キラキラキラキラキラキラ(光の彼女を抱きしめる)
ルチア「生きろ。キャロルムーア。あたし達は、ずっとお前を見守っている」
キラキラキラキラキラキラキラ
(視点主の両腕から解き放たれるように煌めきの粒子となって天に召されていくルチア)
ムーア「さよなら。ルチア・・・・」
キラキラキラキラキラキラキラ
(父の導きを受けながら昇天していくルチアの生命の煌めきを見送る視点主。その上空には既に宿敵の姿は消え去り、太陽が神々しい光を放つ空もまた龍災以前の元の清々しいブルーに戻っている)
ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」キラキラキラキラキラ・・・・・・
グッ・・(力強く涙を袖で拭い去る)
ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(睨みつけるように開眼すると、何もなくなったフラットな山腹エリアは、いつの間にか雪に覆われていることに気づく)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(雪の大地に突き刺さるボーンブレイドが墓標のように映る)
ザシュッ・・(一歩踏み出し、雪の大地に突き刺さっている大剣に手を伸ばすも、思いとどまったかのようにその手を引っ込める)
ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(無風で静かな平坦に続く白銀エリアを見渡すと、その向こう側には広大なヒンメルン連峰がよく見える)
ザシュッ・・ザシュッ・・・
ムーア「??」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(雪に埋もれていたのだろう、雪まみれになった板前ネコシリーズを着た獣人が、メイドネコシリーズを纏った獣人の肩を抱きながら、強い眼光でこちらを見つめている)
吾郎「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」こくり(おトキと共にゆっくりと頷いてみせる)
ムーア「フフッ・・・・」
ひゅううううううううううううう
ムーア「・・・ん・・・・・・・・・・・」
ひゅううううううううううううう
(風と共に青いターバンの切れ端が舞ってくる)
ムーア「・・・シセ・・・・・・・・・・・・・・・」
ひょおおおおおおおおおおお・・・
(それに手を伸ばそうとした瞬間、風力が強まり、切れ端を連れながら水平線の向こう側に見える崖道まで吹き抜けていく)
ムーア「わかった。お母さん」
カチャリ・・(懐からひび割れた猫型の懐中時計を取り出し、その時刻を確認するも時計の針は止まってしまっている)
ムーア「・・・・・・・・・・・・」スッ・・(懐中時計を懐にしまう)
吾郎「地獄の果てまでオトモいたしますぜ、お嬢さん」
おトキ「たとえ命尽きようとも」にこっ
ムーア「うん」
Recollection No.5
THE END
こうして私達はヒンメルンを下り
シュレイドを顧みることなくドンドルマを目指した
そこでモンスターハンターとなった私は
故郷に似た雰囲気を持つフラヒヤ山脈を拠点に
長年の夢であった狩猟生活をはじめていく
深い深い
復讐心を抑えながら
時計の針が止まっていた理由
そう・・
私の心はいつまでもママとの約束を交わした、あの頃の「あたち」のままなのだ
この悪夢のようなリコレクションの長い旅に終止符を
だからあたちは待っている
あなた達が目覚めさせてくれることを
UBU will return...?
次回ストーリーモードのお知らせは
9/13(月)0時更新予定です