ブワッサ・・・ブワッサ・・・




ムーア「マモーナス・・・・・」ブワッサ・・・ブワッサ・・・






Recollection No.5_185






ブワッサ・・・ブワッサ・・・・
ブワッサ・・・ブワッサ・・・・

(色彩が廃れたモノクロームなディストピアの上空、金環蝕の幽光に揺らめく病弱な印象を受ける蒼白の紅焔を逆光にした黒龍のシルエットが時空を刻む翼音と共に悠然と尊大に垂直降下してくる)


ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ブワッサ・・・ブワッサ・・・・(そんなポストアポカリプスな光景を呆然と見上げながら、そっと左手で火竜の脚に触れる)


アポロン「あれがお前の宿敵か?」ブワッサ・・・ブワッサ・・・・

ムーア「ええ・・・・間違いない・・・・大陸の宿敵よ」ブワッサ・・・ブワッサ・・・・



キャロルムーア



ムーア「!?」



この時を待ち望んでいたぞ



ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ブワッサ・・・ブワッサ・・・・(同じく空を見上げる火竜の同志の様子を窺うも、やはりこの淀んだ声は視点主の脳裏にのみ反響しているようだ)



貴様らの希望に満ちた光を
強欲に侵された絶望という闇に堕としてやろう



ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ブワッサ・・・ブワッサ・・・・(眉間にシワを寄せながら遥か上空の黒龍を睨みつける)


モーガン「クソッ!!なんだってこんな時に!!」ブワッサ・・・ブワッサ・・・(黒龍を捉え続ける視界の左側より彼の声が)


ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ちら・・


ブワッサ・・・ブワッサ・・・・ブワッサ・・・ブワッサ・・・・
(翼の音だけが神殿エリアに反響する中、崖側ではウルファの首を腕で締め付けながら上空の異変を見上げているモーガンの姿がバリスタ越しに確認できる)



裏切りとは避けられない悪



ドッ!!バギャーーーン!!
(この瞬間を待っていたかのようにすきをついたウルファは背後のモーガンの腹部に肘鉄を食らわせると、続いて怯んだ彼を背負投げにバリスタへ叩きつける)


ムーア「!!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・ゴッ・・・
(ウルファは仰向けに倒れたモーガンの懐から例の相関図が記された皮紙を強奪すると立ち上がり、彼を崖下に蹴落とす)



ここで起きたすべての不義の元凶



うわあああああああ・・・・・
ズシャーーーーーーン・・・・・・

(悲鳴と共に崖下の藁に落下するモーガン)



その悪しき血がお前にも流れている



ウルファ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(息を切らせながら視点主を見下ろしている)

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ブワッサ・・・ブワッサ・・・


ダッ!!
(ウルファはすぐさま反転し、洞穴奥の通路へと消えていく)



間者の命を奪え
あの女は幾度でもお前の期待を裏切るぞ



モーガン「いててて・・・クソ!!あのアマ!!ぶっ殺してやる!!」バサッ(藁を振り払いながら外に出てくる彼の安否を確認すると、その背後の崖に立て掛けられているハシゴに向かって走っていく)

ムーア「でも殺されはしなかった!!戦闘態勢の準備を!!」ダッダッダッダッ!!タンタンタンタン!!(彼とすれ違いざまに指示を出し、ハシゴを駆け上がっていく)

モーガン「情けをかけるんじゃねぇぞ!!殺せ!!確実に殺せ!!」(下から彼の怒号を受けながらウルファが逃げていった洞穴に駆け上がる)

ムーア「うるさい!!どいつもこいつも!!」タンタンタンタン!!


バッ(洞穴の縁より上空を見上げ、語りかけてくる敵の現在地を確認すると、まだ着陸までには時間が掛かりそうな位置であることを悟る)


ムーア「お見通しってわけね・・・ムカつく・・!!」ダッ・・・・(それを確認し、反転しながら上空の黒龍が視界より消えかけた次の瞬間..)


トウーーーーーーーーン・・・・・
(黒龍の口元が放射状に輝くと同時に黒焔の矢が崖側目掛けて放出されてくる)


ムーア「!?」ヒョオオオオオオオン!!(異常な速度で迫りくる黒い矢の弾丸)

アポロン「伏せろぉおおおおおおおお!!!!!!」(崖下より彼の咆哮が)






ドガアアアアアアアアン!!
(視点主がいる洞穴の真上に黒焔の矢が衝突すると同時に激しい振動が崖全体に響き渡り、たまらずその場に倒れ込む視点主)








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





キーーーーーーーーーーーーーーン・・・・
(激しい耳鳴りの中、生存を確認するように何度も瞬きをする視界の向こう側に映る洞窟の天井から無数の砂利がボロボロと落下している)



ムーア「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・・・」キーーーーーーーン・・・・(よろめきながら片膝をつく)



立て キャロルムーア
そして怒れ
我を殺してみろ



ムーア「誰が・・あんたの挑発なんかに・・・・」(頭を左右に振りながら、千鳥足で崖穴の縁へ向かう)


アポロン「ムーーーーーア!!!!」(崖下の彼が呼びかける)


ムーア「だいじょぶ・・だいじょぶ・・・・あたちったら・・・・・」グッ(崖の縁に立ち、下のアポロンに向かってサムズアップしてみせる)


ブワッサ・・・ブワッサ・・・
(上空の黒龍を見上げると、憮然とした様子でその場に浮遊して留まっている)


ムーア「モーガンの指示に従って!!すぐに戻る!!」(こちらを見上げている火竜の同志に向かって)


ダッ!!(反転し、薄暗い洞窟の通路へと駆けていく)



自ら闇に堕ちるか?
デーモン・ロザリーのように



ムーア「うるさぁあああああああい!!!!!」ダッダッダッダッ(優秀な炭鉱夫達によって掘られた洞窟内の壁には燭台が所々設置されており、その灯りを頼りにアリの巣のような通路を駆けていく)


ダッダッダッダッダッダッダッ!!
(洞窟前方で尻もちをついて倒れているウルファが首を左右に振っている姿が見え、天井には崖上に繋がっているのであろう穴とハシゴも見えることから、おそらく先程の衝撃によって、上の穴より落下してきたことが推測できる)


ムーア「ウルファーーーーー!!!!」ダッダッダッダッダッ(その一連の状況を察知するとすぐさま走る速度を上げ、一気に彼女のもとに接近していく)

ウルファ「・・・・・・・!!」バッ(彼女もまたこちらに気づき、慌ててハシゴを駆け上っていく)

ムーア「ウルファ!!」タンタンタンタン!!(仄かな明かりが差す崖上を目指してハシゴを駆け上がっていく彼女を見上げながら、それに続いていく)


ダッ(崖上に到着したウルファはこちらを顧みることもなく逃げ去っていく)


ムーア「ウルファーーーーー!!!!」タンタンタンタン!!



あの女にもともと信義などない
組織の奴隷だ



ムーア「それを確かめる!!」タンタンタンタン!!


バッ!!(穴の上よりウルファが半身を覗かせながら、その両手で掴む「大砲の玉」をこちらに向かって投下しようとしている)


ムーア「本気!?やれるもんなら・・・・」


ドガアアアアアアアアン!!
(再び激しい衝撃音と同時に崖全体が大きく揺れ動き、視点主は反射的に両手に掴むハシゴに身を寄せる)


ムーア「クッ・・!!」(負けじとすぐさま顔を上げると、穴の上のウルファもまた衝撃により倒れたのだろう、その姿は確認できない)



チャンスをやろう
あの女を殺せ



ムーア「黙ってろ!!」タンタンタンタンタンタン!!(一気にハシゴを上っていく)


バッ(頭が崖上に達するやいなや、すぐにウルファの状況を確認しようと首を伸ばす)


フォッ!!(ウルファがいた方向に首を向けた瞬間、彼女の水平線を刈るような鋭い薙ぎ払いキックが飛んでくる)


ムーア「!!」バッ(反射的に首を引っ込める)


ソウーーーーーーーーーーーン!!
(頭上すれすれの空を切る彼女のブーツの音が)


ムーア「もうあったまきた!!」グン!!(両手で掴むハシゴの両端を力強く下に引っ張りながら反動をつけ、一気に崖上へ飛び上がる)


バッ!!(依然としてモノクロな世界の崖上に着地すると、やや平坦な岩場エリア(各所に大砲が設置されているのも確認できる)になっているのだが、それよりもまず逃げていくウルファの後ろ姿がまっさきに目に飛び込んでくる)


ムーア「ウルファーーーー!!!!」ダッ


ゴローーーーーーーーン!!
(持ち前の回避距離抜群な前転をしながら、ウルファの背中に飛びかかっていく)


ズシャーーーーーーーーン!!
(ウルファ諸共、岩場の大地に倒れ込む)


ムーア「ウルファ!!どうして!?」グンッ!!(彼女が身に纏っている白いコートのフードを引っ張り上げながら無理やり反転させ、仰向けに寝かす)

ウルファ「離して!!私は戻らないといけないの!!」グン!!(抵抗する彼女の両手首を両手で掴み、上から押さえつける)

ムーア「どこに!?」グン!!グン!!

ウルファ「言えない!!」グン!!グン!!

ムーア「相関図が狙いだったの!?」グン!!グン!!

ウルファ「私の口からは何も言えない!!」グン!!グン!!

ムーア「前に聞かせてくれた過去は全部作り話!?」グン!!グン!!

ウルファ「本当の話よ!!そこから先は聞かれなかった!!」グン!!グン!!

ムーア「聞いたら答えるわけ!?あなたは何者なの!?」グン!!グン!!

ウルファ「離して!!私はここに来るのが・・・あなたに出逢うのが遅かったのよ!!」グン!!グン!!

ムーア「ウルファ!!あなたを拘束しているのは何!?」ダンッ!!(両手で掴んでいる彼女の手首を地面に叩きつける)

ウルファ「言えないの・・・・・・・お願い・・・・・・・・行かせて・・・・・・・・・」(顔を背け、涙を流している)



惑わされるな
その女はかつて貴様の祖父がそうしたように
仲間を裏切るつもりだ



ムーア「・・・まさか・・・・・ウルファ・・・・あなたは・・・・ギルド・・・・」


カッ!!
(そのワードを口にしようとした瞬間、ウルファは強い意志力と共にこちらに向かって目をひん剥くように開眼させる)


ムーア「?!」



ゴッ!!
(視点主が怯んだ瞬間、ウルファは両手を押さえつけられた状態のまま上半身を瞬時に起こし、渾身の頭突きを浴びせてくる)



ムーア「クッ!!」クラッ・・



ズシャアアアアアアアン!!
(たまらず目を閉じた次の瞬間、続けて彼女の前蹴りを食らったのだろう、後方へ仰け反る視点主)



ムーア「はぁ・・はぁ・・・・・・」(目の前の空に浮かぶ黒龍の小さなシルエット)


バッ!!(すぐさま状態を起こす)


ダッダッダッダッダッダッダッ!!
(こちらは顧みず崖上を逃げていくウルファの後ろ姿)


ムーア「一緒に戦ってくれるって言ったじゃない!!!!嘘つきぃいいいいいい!!!!!!」


ダッダッダッダッダッダッダッ・・・
(遠のいていくウルファは首を後ろに回しながら何か呟いている)


ムーア「ご・・めん・・・な・・・さい・・・・」



タッ・・・・・・(崖上から飛び降りていくウルファ)



うわぁあああああああああああ!!!!!!!
(視点主の慟哭が崖上エリアに虚しく反響する)



To Be Continued





★次回ストーリーモードは8/2(月)0時更新予定です★