ゴオオオオオオオオオオ!!
(猛り狂う暴風の中、逃げるように柱の陰に頭を引っ込める)


ムーア「はぁ・・・はぁ・・・!!」ゴオオオオオオ!!(柱にすがりつくように顔を密着させる)





ゴオオオオオオオ・・・・・・・





ブワッサ・・ブワッサ・・・・・・





ムーア「はぁ・・・・・はぁ・・・・・・・・・・」






ドシャーーーーーーーン!!






ムーア「はぁ・・・はぁ・・・・・・」(おそらくは黒龍が着地したと思われる地響きを感じた後、左隣で同じく身を伏せるシセと目が合う)

シセ「はぁ・・・・はぁ・・・・・・」こくり


スッ・・・(二人同時に柱の陰より慎重に頭を上げていく)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(損壊した壁の向こう側に半壊した塔の姿が再び見える)


ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



グオン!!
(次の瞬間、上半身を起こしてきた黒龍の頭部横顔が景色を遮る)



ムーア「!!」バッ(咄嗟に身を屈める)



フシューーーーーーーーー・・・・
(柱の奥より黒龍の荒々しい鼻息の音が間近に聞こえてくる)



ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(俯きながら柱に同化するように密着しながら気配を消すように息を潜めることに全神経を集中させる)



フシューーーーーーーーー・・・・



ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ちら・・(俯いた姿勢のまま右側に目だけを傾け、倒れている柱の端から床に映り込む黒龍の頭部の影を確認する)



フシューーーーーーーーー・・・・
(影は微動だに動かず、まるで周囲に外敵がいないか探知している様子にも見える)



ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(影を凝視したまま、そこから目を離さない)




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




ムオン・・・
(次の瞬間、質量を感じる音と共に影が消える)




ムーア「??」



ズシャーーーーーーーン・・・
(塔の外より、先程とは重量感の異なる着地音が聞こえることから、おそらくは状態を起こした黒龍が再び身を屈め、着地したときと同じように四肢を地面についたのだろう)



ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




フォッ!!




・・・・・・ダシャーーーーーーン・・!!
(地面を這いつくばった姿勢のまま、跳躍したのだろうか、今度は城郭エリアの外側からターゲットが少し遠のいたことを示す着地音が聞こえる)



ムーア「はぁ・・・・・はぁ・・・・・・・・・・・」(それを確認すると息を切らせながら、再びシセの判断を仰ぐ)

シセ「はぁ・・・・はぁ・・・・・・・」こくり


スッ・・・(身を潜めながら柱の端より顔を覗かせると、先程まで感じたインテンシティの高いプレッシャーは消え去り、再び目の前に半壊した塔が緋色の空模様の下に確認できる)


シセ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」コクコク(振り返ると後続のシセが頷きながら前に行くよう促してくる)

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」コク


タタッ・・・・タタタタタタ・・(細心の注意を払いながら柱の陰より飛び出し、忍び足で一気に正面の損壊した壁に向かって小走りで駆けていく)


バッ(崩れた壁際を背に身を伏せると、後ろからシセもまた同じ動作で続いてくる)


シセ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」こくり(視点主の右側に同じく壁を背に隠れながら頷く)

ムーア「・・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・・・・・・・・・・・」スッ・・(息を整わせ、慎重に壁際より顔を覗かせ、外の様子を覗う)



・・・・・・・・・・・・・ノシン・・・ノシン・・・・・・
(一瞬、視界内においてターゲットが何処にいるのか迷うも、すぐに現在地である小高い城塞エリアより下、荒廃した領内エリアにてこちらに背を向けながら四足歩行で進んでいく黒龍にピントが合う)



ムーア「・・・・・・・・・・・・・・」ちょいちょい(それを確認すると振り返り、シセにも覗くよう促す)

シセ「・・・・・・・・・・・・・・・」スッ・・(身を屈め、視点主の下側より損壊した壁の外を覗き見る)

スッ・・(それを確認すると再び視点主も黒龍の様子を窺う)



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(遠方に見える黒龍は四肢を地面につかせたまま、ぴくりとも動かず静止している)



ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

シセ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」スチャッ・・(下を向くとシセが手持ちの双眼鏡を取り出し、それを通して観察を開始している)

ムーア「フゥ・・・・・・・・・・・・・・」スッ・・(再び外の様子を見る)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(黒龍は先程と同じ態勢のまま、身動きひとつ見せない)


ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ぽんぽん(双眼鏡を覗いているシセのスキンヘッドを軽く叩き、こちらを見るよう促す)

シセ「??」

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・」すやすやすや(両手を合わせて右頬にあて、睡眠のジェスチャーをとる)

シセ「・・・・・・・・・・・・・・・・」ふりふり(寝てはいない、と言わんばかりに首を振り、再び双眼鏡を覗いて監視を続ける)

ムーア「はぁ・・・・・・・・・・・・」スッ・・(外を覗く)



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(ターゲットは依然として、まるでワニのように動きを停止させたままである)



スッ・・(そんな黒龍を見つめたまま、身を屈め、シセの禿頭に顔を寄せていく)


ムーア「いつもあんな感じなの?」こそ

シセ「さぁな・・・俺も遭遇したのは初めてだ」こそ(双眼鏡を覗きながら)

ムーア「アポロンの数倍はあると思うけど・・・上に乗っかって、脳天目掛けて大剣ぶっさせば、イチコロじゃない?」こそ(遠くに見える黒龍の後ろ頭部にピントを合わせながら)

シセ「簡単に刃が突き刺さればな。気づかれて殺されるのがオチだ」こそ

ムーア「はぁ・・・・つまんない・・」こそ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(黒龍から視線を離し、エリア内の所々に目を走らせる)


ムーア「ん・・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(半壊した城壁の上にギルドが「後付した」バリスタを発見)


ムーア「撃ってみようか?」こそ

シセ「気づかれて殺されるのがオチだ」こそ(さっきと全く同じトーンで)

ムーア「(退屈ともどかしさを表現しながら)う゛~~~~~~っ・・・・・・いつまでこうしてるわけ?」こそ

シセ「こんな近くで黒龍を観察できるチャンスなんて滅多に無い。お前もしっかり観察しろ」こそっ

ムーア「書士隊じゃあるまいし・・・それに、あんな大人しい個体があたちの宿敵である訳ないじゃない。拍子抜け。ビビって損した。・・・って、ちょっとだけよ?あんなのこわくなんてないし」


キョロ・・・(黒龍が首を少し左に傾ける)


ムーア「ひっアセアセ」びくっ(すぐさま壁に隠れる)


そぉ・・・・(っと黒龍の様子を窺う)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(黒龍は再び前を向いており、じっとしている)


ムーア「何してるんだろう?」こそっ

シセ「さぁな・・・・よくよく考えてみれば、こんな場所に捕食活動をしに来ているわけじゃあるまいしな・・・・」(双眼鏡を覗きながら)

ムーア「ハンターを食べるために?それだったら、こんな廃墟じゃなくて、最初っから都市を襲えばいいじゃない?」こそ

シセ「ごもっともな意見だ。だから謎が多いんだよ。こんな近距離で観察できるなんて、書士隊や観測隊の連中が知ったら、大興奮だろうな」こそ

ムーア「大したことないわね。最初っから、ここで張っていればいいだけの話なのに」こそ

シセ「そのくらい連中だって何度もやってるだろうさ。問題は遭遇率さ。こんな千載一遇のチャンス、滅多に無い」こそ

ムーア「あたちが「モッテル」ってこと?」こそ

シセ「あるいは龍族に「モテる」のかもな」こそ


はぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(ため息と共に見つめる「佇んだ黒龍」は爬虫類みたいな後ろ姿を見せたまま、不動の姿勢を続けている)


ムーア「長期戦になるなら、キャンプセットを持ってくればよかった。・・・・って、イノみゃんとか大丈夫だよね?」こそっ

シセ「領内の外だ。あいつが出ない限り、平気だろう」こそ

ムーア「なんで離れないわけ?」こそ

シセ「しらん。それを調べる」むっ(としながら双眼鏡で観察を続ける)

ムーア「ねぇ・・・・ひょっとしら、あいつ・・・・見つけられるのを待っているのかも・・」

シセ「・・・・・・・どういうことだ?」(観察を続けながら)

ムーア「だってさ、こんなところ食べ物だってありゃしないし、捕食するなら、それこそモンスターがウヨウヨいるフィールドに行けばいいだけの話じゃない?だとすれば、待っているのよ」

シセ「・・何をだ?」(双眼鏡から顔を離し、興味深げな表情でこちらを見上げながら)

ムーア「自分と同じ力を持つ相手・・・・またはそれ以上の存在とか」

シセ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ふむ・・

ムーア「ねぇ、ちょっとそれ貸しなさいな」むんずっ(上からシセが持っている双眼鏡を馬鹿力で掴む)

シセ「ばか、よせタラー」ぐいっ!(忠告も聞かず、無理やり引っ張ろうとする視点主)

ムーア「いいじゃないのよ、ケチ。盟主様の命令よ」グイッDASH!


つるん(双眼鏡を持つ手が滑る)


ムーア「あっ」



・・・・・・・・・・・・・・・・からぁ~~~~ん・・・
(手元より離された双眼鏡はそのまま乾いた石床に落ちていき、軽やかな落下音をあたりに響かせる)






Recollection No.5_171






ムーア&シセ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(息を飲んだまま、互いに顔を見合わせる)



そろぉ・・・・・・(おそるおそる外の様子を窺う二人)




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(いつまにか「こちら側」に反転し、上体を起こしている黒龍とバッチリ目が合う)



ムーア&シセ「OH...GOSH..タラー




ボギャアアアアアアアア!!
(次の瞬間、エンカウント=ハンティングスタートを示す黒龍の大咆哮がフィールド全体に轟く)



To Be Continued






★次回ストーリーモードは6/14(月)0時更新予定です★