そろぉ~~~~~~~~~~・・・・・・
(身を屈めながらステルスモードで光蟲の明かりを頼りに、慎重に曲がり角へと近づいていく)

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」スッ・・(息を殺しながらT字路の手前で止まり、壁際に身を伏せる)


ホわわわわわぁ~~~~~~~~
(顔を見上げると、頭上に浮かぶ光蟲がT字路付近を照らしている)


ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」チャッ・・(慎重に背中のバスターブレイドを抜きながらコーナーを覗き込む)


ちら・・(一瞬、下に目を配ると、頭上からの明かりによって交差地点に自分の影がうつっていることに気づき、また同時に頭上の光蟲が何者かによって「放たれていた」ことにも気づかされる)



ダッ!!
(次の瞬間、その影に気づいたのだろう、曲がり角の奥より走り出す足音が反響してくる)


バッ(一思いにT字路のコーナーに飛び込む)


タッタッタッタッタッタッタッタッタッ
(フードを深々と被ったロングコート姿の男(革製の手袋をはめている為、後ろ姿からでは肌の色も確認できない)がアーチ状の薄暗い通路の奥に向かって走り去っていく)


ムーア「!?」


ボワコフ「!!」ビッ(左肩越しより、鋭く指をさしてくる)


タッタッタッタッタッタッ・・・・・・・・・
(逃げ去る男が向かいのT字路を左折して消えていくのを見届け、ボワコフが指さす方向に目をやると、通路の真ん中あたりに老婆が倒れていることに気づく)


はぁ・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・・・・・・・・・
(顔に御札を貼り付けた見すぼらしい格好をした竜人族の老婆が仰向けに寝ている)


ムーア「オヨネさん!!」ダッ

オヨネ「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・・・・」(顔を覆っている御札に大量の血が内側より滲んでいる)

ムーア「止血を!!」バッ!(オヨネの傍らに片膝をつくと同時にボワコフもまた視点主の肩より飛び降りる)

ボワコフ「助けを呼びに行くでアリマス!!」ダッ


グッハッ(獣纏族の足を掴んで静止させるオヨネさん)


オヨネ「よく聞け・・・シュレイドのプリンセスよ・・・」

ムーア「え・・・」

オヨネ「ワシはここで死ぬ・・・・最期におぬしの疑問に答えて・・・・グフッ・・!!」(顔に貼っている御札の口元が鮮血に染まる。それを見たボワコフは何か止血に使えるものがないものかとすぐさまポシェットの中を探る)

ムーア「・・・黒龍について知っていることを教えて」スッ・・(彼女の左手をそっと握りしめる)

オヨネ「・・・かつて大陸の意志による、大いなる粛清(グレート・パニッシュメント)を受けし黒龍・・・大陸を貪り喰らうものか・・?ククッ・・違うな・・おぬしが探しておるのは・・・」

ムーア「マモーナス。あたちはお母さんからそう聞いた」

オヨネ「・・そうか・・・・う、UBUは・・・あやつによって・・・・・・・・・」

ムーア「お願い!!教えて!!」

オヨネ「クックックックッ・・・・その名前を聞くのは大戦以来か・・・」スッ・・(ボワコフは薬草を片手に老婆の顔を覆っている御札を静かにめくりあげ、淀んだ色の吐血を確認すると「これは・・毒・・」と小さく声をあげる)

ムーア「知っているのね!?マモーナスはどこにいるの!?」

オヨネ「・・絶望を喰らう強欲の邪神・・・・・・希望が満ちし光を闇が覆い尽くす頃、絶望を喰らいに黒龍は現れる・・・・グバァアアアアアア!!」(まるで呪いにかけられたかのような大量の吐血が意思を持ちながら顔に付着している御札をその勢いによって引っ剥がす)

ムーア「それはいつなの!?」」

オヨネ「はぁ・・はぁ・・・・忌まわしきロザリー家の末裔よ・・・・闇は・・常におぬしの心に潜んでおる・・・・」シュウウウウウウ・・・・(自身の吐血により真っ赤に染まった顔に光る白目を剥いた両眼から煙があがってくる)

ムーア「だめ!!まだ逝っちゃだめ!!」シュウウウウウウ・・・・(みるみるうちに老婆の両眼の水晶体が煙をあげながら、まるで内からの熱により融解を経て気化していくかのように蒸発していく)

オヨネ「誰も信用するな・・・内通者は既に・・・・・・・お前の手の中に・・潜んで・・おる・・・・・・・・・・」シュウウウウウウ・・・・(目玉が溶け、眼窩の穴が真っ黒に晒される)

ムーア「どういう意味!?誰なのそれは!?」シュウウウウウウ・・・・(老婆の顔の皮もまた煙をあげながら気化していき、頭蓋骨があらわになっていく)


ガクン・・・・・・シュウウウウウ・・・・・・・
(完全に生気をロストしたオヨネの遺骸は首を落とす同時に、硫酸を全身に浴びせられたかのように煙をはげしくあげながら溶け朽ちていく)


ボワコフ「こんな強力な秘毒、見たことがないでアリマス・・」スッ・・(未だオヨネの「溶けていく左手」を握る視点主の両手をそっと引き離す)

ムーア「逃げた男は、その毒薬をどこからか手に入れたようね・・」シュウウウウウウウ・・・(見下ろす小さな老婆の遺体は次第に白骨化していく)


タタッ・・!(足音が響く向かいのT字路の右通路より、白い外套を纏った体格の良い黒人男性が飛び出してくる)


ムーア「シセ・・?」

シセ「!?」(こちらに気づき、驚いた様子をみせている)


カッカッカッカッカッカッカッ!!
(革製ロングブーツの音を通路に反響させながら、こちらに向かって一目散に駆けてくるシセ)


シセ「!?」(駆け寄ってくるなり、片膝をつく視点主の傍らに倒れている白骨死体に気づいたのだろう、さすがの彼も驚きを隠せない様子である)

ムーア「言っとくけど、あたちじゃないからね。あたちが来た時には・・」


グッ(視点主の腕を引っ張り上げ、無理やり立たせるシセ)


ムーア「ちょっとアセアセ

シセ「逃げるぞ。ついてこい」ダッ(視点主の腕を引っ張りながら自分が来た通路に向かって走り出す。同時に視点主の背中にジャンプしてしがみついてくるボワコフ)

ムーア「なんでよ!?衛兵に知らせないと!!」ダッダッダッダッダッ

シセ「真っ先に疑われるのはお前だ!!何があったか知らんが、今見たことは忘れろ!!」ダッダッダッダッダッ(T字路を犯人と思しき男が逃げていった逆方向の右側へ曲がっていく)

ムーア「あたちはやってない!!だいたい、あんたこそ、なんでこんな所にいるのよ!?」ダッダッダッダッダッ

シセ「物資の取引に王都へ来ていた!そしたら挙動不審な男が下水道の出口から飛び出してきたのを目撃した!胸騒ぎがしたから見に来てみれば、お前が白骨死体と一緒にいたってわけさ!」ダッダッダッダッダッ

ムーア「男の顔は見た!?」ダッダッダッダッダッ

シセ「そこまでは確認できていない!!」ダッダッダッダッダッ

ムーア「肌の色は!?」ダッダッダッダッダッ

シセ「確認できなかった!すぐに路地裏へ逃げるように消えちまった!!」ダッダッダッダッダッ

ムーア「そしたら目撃談を収集しに戻ろう!!」ダッダッダッダッダッ

シセ「駄目だ!!これ以上、余計な事に首を突っ込むな!!」ダッダッダッダッダッ(下水道の壁に木製ドアが見えてくる)

ムーア「人が殺されたのよ!?知らせないと!!」ガチャガチャ(シセは背中を向けながら、鍵がかかっていると思われるドアを必死にこじ開けようと試みている)

シセ「犯人が戻ってくると思わないのか!?まずは脱出が先だ!!」ザッ(ドアの前でかがみ込み、ロックピックを試みようとしている)

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ふぅ・・・(肩越しにシセを覗き込んでいるボワコフの様子を窺う)

ボワコフ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」カチャリコチョリ・・(ロックピックを開始しているシセを見つめている様子だ)

シセ「クソ・・・・さすが王都式は、外街のそれとは難易度が違うな・・」カチャリコチョリ・・

ムーア「・・・・・・はい」ガチャリ・・(鍵束を取り出し、懸命に鍵を解除しようと必死なシセの目の前にそれを下ろして視界に入れてやる)

シセ「なっ・・こんないいもの持ってるなら早く渡せ!!」ええと・・・ジャラ・・(怒りながら無数の鍵を吟味していく)

ムーア「ほんとはルチアにあたちを見てくるよう頼まれたんでしょ?それがメインクエスト?」ザッ(シセを見下ろしながら横向きに壁にもたれる)

シセ「メインはあくまでも交易だ。これはどうだ・・?」ガチャリ・・

ムーア「ハン。あたちの面倒を見るのはサブクエストってわけね。あの白骨死体が誰か知ってる?」違ったアセアセ(と、別の鍵を吟味するシセ)

シセ「検討もつかない。知り合いだったのか?今度こそ・・」ガチャリ・・

ムーア「ちょっとした・・・ね・・。それより、ありがとう」開いた!!イエス!!(とシセ)

シセ「何がだ?」ガチャッ(ドアノブを捻りながら)

ムーア「来てくれて。あんたの顔見たら・・少しホッとした」

シセ「・・・・・盟主を護るのも俺たちの使命だ。さ、神殿に帰ろう」

ムーア「うん」






Recollection No.5_158







ムーア「ありがとう、イノみゃん。おやすみ」ちゅっ(と、花かんむりを頭につけた愛らしいファンゴの鼻に)


とっとっとっとっとっとっとっとっ・・(反転して馬小屋エリアに向かっていくイノみゃんを見届けている)


ボワコフ「無事に戻ってこれて何よりでアリマス」(見下ろすと彼のちんまりとした姿が)

ムーア「そうね・・・・」(月夜を見上げながら)

ボワコフ「犯人のことが気がかりで?」

ムーア「うん・・・・あの月でさえ、地下で起きた事は見ていないんだよね・・・」はふぅ~~(馬小屋エリアに向かうイノみゃんとすれ違いながらシセがこちらに向かって歩いてくる。おそらく彼の帰りの手段は「馬」だったのだろう)

シセ「まだそんなこと言ってるのか?質問はこっちにもある」

ムーア「あたちはやってないわよ」むすっ

シセ「それを証明しろ。遺体はなんで「白骨化」していたんだ?」

ムーア「毒を・・たぶん犯人が飲ませたんだと思う。ね、ボワコフさん」

ボワコフ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ムーア「どうしたの?」

ボワコフ「・・・いえ。少し疲れたでアリマス。ムーア殿も体を休めましょう」ぐいっ(手を引っ張ってくる)

ムーア「・・・・・そうね。ってことで尋問は明日」(ボワコフに手を引かれながら、振り向きざまに)

シセ「いいだろう。ルチアには?」

ムーア「あんたの判断に任せる」

シセ「押し付けやがって・・・・まったく・・」ふぅ~~~

ムーア「ふふ。おやすみ」

シセ「ああ。ゆっくり安めよ」

ムーア「そうする」


ひゅうううううう・・・・・・・
(ボワコフと手を握りながらお花畑エリアの花々に左右を挟まれた小道を歩いていく)


ムーア「今日もいろいろあったわね・・」ふぁ~~あ・・・

ボワコフ「そうでアリマスね・・。ところでムーア殿」

ムーア「ええ・・?」くっちゃらくっちゃら(しながら)

ボワコフ「そろそろお暇しようと思っているでアリマス」


ぶっーーーーーーーーアセアセ
(突然の別れ発言に対し、妥当なアクションをみせる視点主)


To Be Continued






★次回ストーリーモードは4/29(木)0時更新予定です★