あきゃ~あきゃ~おえっおえっ・・ザシュッ・・ザシュッ・・
(夕暮れ最中な謎の熱帯系環境生物特有の発声が反響する密林エリアの少しぬかるんだ大地をスコップのように傾けた大剣の剣先で掘っている)


キンババ「ねぇ・・ほんとに土の中で一晩過ごすのかい?」ほじほじ・・(こちらは手持ちの投げナイフを使ってちんまりとした穴を掘っている)

ムーア「そんなちっさい穴じゃ入れないわよ?郷に入れば郷に従え。奇面族に見つかりたければ、どうぞ遠くのエリアで火を炊いて、自分で彼らに居場所を知らせてあげれば?あ、でも、絶対にあたちらのことは言わないでよね。例え非道な拷問にあおうとも・・・」ひえええええええアセアセ(慌てて穴をザクザク掘っていくキンババ)

ミオン「だらしない人型男だミャオ。あなたもなんとか言ってやりなさいミャ」ザッザッザッザッ!!(こちらにお尻を向けたまま、実にこなれた爪使いでみるみるうちに穴を掘り進んでいく)

ボワコフ「西側はモンスターが少ないだけマシでアリマス。我々の故郷で、迂闊にフィールドで寝ようものなら、氷牙竜に丸呑みされて、無意識のまま彼らの胃袋の中でアリマス」ザシュッザシュッ(銛を使って穴を掘っている)

ムーア「ほえ・・・氷牙竜・・・。きっと、「さぞおそろしい顔面」をしているんだろうねぇ・・」ふむ・・

キンババ「ボワコフさんの故郷はどこなんだい?」ほじほじ

ボワコフ「・・・・・・・・・・・・・・・・・」ザシュッザシュッ

ムーア「信用して。あたちらはボワコフさんの故郷を知ったからといって、ゼニー目的の為に侵略したりなんてしないから」

ミオン「どうだか。人型なんてみんな狡猾ミャ。ボワコフさん。無理に言わなくてもいいけど・・・」

ムーア「ほら。ミオンちゃんも聞きたいって」やだ、私はアセアセ(と乙女心がいじらしいミオンちゃん)

キンババ「そうさ。僕らはゲンス・ゴンス達と違う。そりゃあ、傭兵じゃないから、体力には劣るけど、志は高い」えっへん

ボワコフ「・・・・・・西竜洋を渡り、遥か遠い遠い大陸でアリマス」ザシュッザシュッ

ムーア「海を渡った他の大陸・・・・ロックラックがある大陸?」ふりふり(こちらを健気に見上げながら首を左右に振るボワコフ)

キンババ「まだまだ僕らの知らない大陸があるってことさ。どうしてここへ?」

ボワコフ「自分は他の大陸に住む獣人種と交易を図る為に結成された使節団の一員として派遣されたでアリマス」

キンババ「外交官か・・・だから頭がいいんだね」ポリポリ(はつかしそうに頭を掻くボワコフ)

ボワコフ「ですが西竜洋を航海中、大嵐に遭遇してしまい、自分以外の仲間は全員・・・・・自分だけが運良く、この大陸の海岸に漂流したでアリマスが、地元の獣人種に捕まってしまい・・・目標を達するどころか、仲間も失い、交易など儚い夢だったと痛感したでアリマス・・・」スッ・・(穴を掘るのをやめたミオンがそっと彼に寄り添う)

ミオン「よくお話してくれたミャオ・・。あなたはとっても立派だミャ・・」すりすり・・

ムーア「うん。ありがとう、ボワコフさん。約束するよ。ボワコフさんが故郷に戻れるよう、手を尽くしてみる」スッ・・(ボワコフに手を差し伸べようとしたその時、彼の肩を抱き寄せるミオンが)

バチぃ~~~~~~んハッ
(容赦ない「猫爪剥き出しのお手」で視点主のお手を弾き返す)

ムーア「いてぇアセアセ

ミオン「出来もしない約束をやれ簡単にするミャーで!!」シャアアアアアア!!

キンババ「それは違うよ、ミオンさん。彼女はこれまでも僕らをたくさん助けてくれた。今の王都があるのも彼女や捕まってしまったヴィルヘルムのおかげで・・」

ミオン「だから王都なんて知ったこっちゃミャーぜよ!!」シャシャアアアアア!!

キンババ「プラウズ家を・・憎んでいるからかい?」

ミオン「・・・・・・・私の両親は、私が生まれてすぐ、故郷と共にゲンス・ゴンス達の手によって滅ぼされてしまったミャ・・」

ムーア「ゲンス・ゴンスは、まだちいさいあなたを農園に連れて帰ったのね?」こくり(小さく頷くミオン)

ミオン「あいつからみれば、まだちいちゃかった私は、「未来の労働力」だったんだミャ・・。できることなら、両親と一緒に・・・奴隷になってからも何度も死のうと思ったミャ・・・・でも私の気持ちを知っているゲンス・ゴンスは、自殺しようものなら、他の仲間も皆殺しにするって脅してきて・・・・・」うううう・・・(泣き崩れる彼女を今度はボワコフが優しく抱き寄せる)

ムーア「ねぇ、ミオンちゃん。さっき、あなたはたった一人だけ心を許した人間の女の子がいたって話してくれたけど・・・その子って、ひょっとして、シオン・プラウズのこと?」

ミオン「シオンを知っているミャ!?」ガバッ

ムーア「うん。ずっと友達だった」

ミオン「シオンと・・・・」

キンババ「彼女から聞いたことがあるよ」スッ・・(ミオンの近くにそっと座り込む)

ミオン「なんてミャ?」

キンババ「小さい頃、農園を訪れたことがあるって・・・。そこで君達は出逢ったんだね?」こくり・・(俯いたまま小さく頷くミオン)

ミオン「お互いにまだ子供だったミャ・・・・シオンは両親に見つからないよう、こっそり農園に忍び込んできて、私に「遊ぼう」って言ってきたんだミャ」

ムーア「フフッ・・あの子らしい。それでなんて答えたの?」

ミオン「私は仕事があるから駄目だって答えたミャ。そしたらシオンは「どうして?」って・・・仕事をサボるとぶたれるからだミャって私が答えると、シオンは血相を変えて両親のもとに走っていったミャ・・・」

キンババ「彼女はそこでプランテーションの実情を初めて知り、君たちを解放するよう両親に訴えるも、当然、はぐらかされてしまった・・。それからどうしたんだい?」

ミオン「農園に滞在中、シオンは毎日、両親の目を盗んでは私に会いに来たミャオ・・・正直、私は怒られるから彼女のことを迷惑がっていたんだけど、気がついたら私もシオンに会うのが楽しくなっていたんだミャ」

ムーア「頑固だからね、あの子」君が言うな(とキンババ)

ミオン「二人で手を繋いだまま農園を抜け出して、海岸によく遊びに行ったミャ・・。浜辺につくと必ず並んで座って、目の前に広がる海を見つめたまま、いつかこの海を渡ってみたいって・・シオンも同じ気持ちだって言ってくれたのを今でも覚えているミャ。私の名前はミャ、その時、シオンが名付けてくれたんだミャオ」(どこか嬉しそうに微笑んでいる)

ムーア「その「ミャオ」から?」

ミオン「それもあるミャオ。けどもう一つ意味があるミャ」(クイズを仕掛けるようにその愛らしい猫指を立てながら)

キンババ「ミオン・・・・・ミオ・・・・・そうか!澪だ!」

ムーア「みお?」

キンババ「海の深い部分のことを澪といって、船が進むのに必要な水路のことを指すんだ。シオンは二人の夢を込めて、その名前をくれたんだね?」

ミオン「驚いた。初めて正解したのが人間だミャんて」カルチャーショック

ボワコフ「自分も以前に同じ質問を受けたことがアリマスが、まったくもって答えることができないでアリマシた。海を渡ってきた使節団として失格でアリマス・・・」しょんげり(する彼の肩を叩く視点主)

ミオン「いつか私が自由になって海を渡れるように・・・・・シオンはその夢が叶うよう、自分がプラウズ家を変えてみせるって・・・航海に出る時は一緒だよ・・って優しく微笑んでくれたミャオ・・・・」うううう・・・・

キンババ「彼女は・・・シオンはその約束を果たす為、何度も両親を説得したみたいだよ」

ムーア「けど、その願いは叶わず・・そしてシオンもまた、プラウズ家から逃げるように王都を旅立っていったの・・」

ミオン「そんな・・・・ずっと待っていたのに・・・・・だから人型なんて!!」

ボワコフ「ちょっと待つでアリマス。ムーア殿、そのシオン殿が王都を旅立ったのは、数年前でアリマスか?」

ムーア「そうだけど・・・?」

ボワコフ「以前、農園に今のゲリラとは別の人間による襲撃があったでアリマス。その畑荒らしは不思議なことに農園には一切手を出さず、ゲンス・ゴンス殿だけを狙ってきたことから、彼らとかつて敵対関係にあった同業者の報復行為じゃないかということで落ち着いたでアリマスが・・・・」

ミオン「まさか・・・」

ムーア「シオンとニッキーが・・・・・」

キンババ「その襲撃者はどうなったんだい!?」

ボワコフ「幾度か襲撃を繰り返してきたでアリマスが、その都度、撃退され、ついにはゲンス・ゴンス殿が仕留めたと・・」ガバッDASH!(視点主がボワコフの両肩を掴む)

ムーア「遺体は見た!?」

ボワコフ「い、いえ・・・・自分はその戦闘には関与しなかってアリマスから・・・・す、すみません・・」スッ・・(彼に謝罪をさせてしまったことから、ようやく我に返った視点主は、そっと両手を彼の肩から離す)

ムーア「ごめん・・・」い、いえ・・

ミオン「そんな・・・シオンが・・・私を救うために戦って・・・・」

キンババ「まだ断定するのは早いよ。戻ったらゲンス・ゴンスに聞いてみよう」うん(頷く視点の主)

ムーア「ミオンちゃん」

ミオン「??」

ムーア「ひとつだけ確かなのは、あの子が・・シオンが今でも、ずっとあなたのことを想っているってことだよ」

ミオン「・・・・・・・・・・・・・シオン・・・・・・・・」しくしくしく・・

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」そぉ・・・・(泣いている彼女にそっと手を伸ばそうとした瞬間...)

バチぃ~~~~~~んハッ
(気配を察した鬼の形相のミオンが再び容赦ない「猫爪剥き出しのお手」で視点主のお手を弾き返す)

ムーア「いてぇアセアセ」しくしくしく・・(お互いに泣き出す)






Recollection No.5_140






ボワコフ「日が沈んできたでアリマス。このまま火は炊かずに土で暖をとるでアリマス」もぐもぐもぐ(モコモコなお尻をこちらに向け、頭から地中に潜っていっちゃう)

ムーア「そのスキルほしいなぁ・・」

ミオン「一生できないわよ!!だってあなたは人型だからミャ~!!」いっ~~~~!!

ムーア「このっムカムカ」しょっパー(手を出してとっ捕まえようとするも、瞬時に「水面に飛び込むように」これまた頭から地中に潜り込んで難なく回避するミオン)

キンババ「さぁ、僕らも潜ろう」よいしょっとな・・(と健気に自分が掘った穴の中に入っていく)

ムーア「冷たいでしょうに。ほら、ホットドリンク」ぽいっ(と小瓶をキンババに投げ渡す)

ミオン「やぁ~いやぁ~い。脆弱性の肉塊」(地中より首だけ出しながら)

ムーア「あんだってこにょムカムカ」ガバッDASH!(もぐらをとっ捕まえるみたいに全身で)

ミオン「ぎぃ~~~~~~っ!!」ガブッハッ(いよいよお手を噛んできた)

ムーア「ぎゃあああああああああああ」(たまらず手を引っこ抜くと、手の甲に見事な猫歯型が。次第に涙のフィルターに覆われていく視界の下では首だけ出したミオンが舌を出している)


To Be Continued





★次回ストーリーモードは2/25(木)0時更新予定です★