ファタファタファタファタファタ!!(明け方の空に向かって視点主が広げた両手より一羽の鳩が勢いよく羽ばたいていく)


ムーア「頼んだよ・・・・」ファタファタファタファタ・・・・


こりゃ~ひどいニャぁ・・・ニャんだってこにょ・・・(振り返ると、アイルー科の獣人たちが肩を並べて焼け野原となったバナナ農園を見つめている)


ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・」ザッザッザッザッ・・・(その群れに向かって歩いていく)

アイルーの労働者「困ったニャ・・・こりじゃ売り物にニャらニャい・・・」(焼け焦げたバナナの木々を見上げながら)

メラルーの労働者「おら達が手塩にかけて育てたしましまバナナを・・・」ううう・・・

アイルーの労働者「また一からやり直しニャ・・・・」しくしく・・

ミオン「ゲンス・ゴンスはまた無理強いをしてくるに違いないミャ。逃げるなら今が・・・・」(言いかけた途中でこちらの存在に気づき、口を閉じる)

ムーア「ゲリラのところへ逃げても命の保証はないわよ」

ミオン「ゲンス・ゴンスに言うつもりミャオね!?この人型ビッチめ!!」

ムーア「勘違いしないで。あたち達はプリム王女の使者よ。ここの農園で起きていることを王女様に伝えることが・・」


バシャンアセアセ(ミオンが視点主の顔に土を投げてくる)


ムーア「!?」

ミオン「王都のことなんて知ったこっちゃないミャ!!私達は毎日生きることだけを考えているミャオ!!それともあなたが私達を解放してくれるミャ!?」そうニャそうニャ!部外者は黙ってろニャ!!

ムーア「王女様はそのつもりであたち達をここへ派遣したの。あなた達の現状を知るためにね。だから今は堪えて欲しいの。まずはここを襲ってくるゲリラ達をなんとかしないと」

ミオン「ボワコフさんから聞いたミャオ!あなたの仲間が誘拐されたって!まったく頼りになる使者だミャオ!!」バシャン!!(再び土を投げてくるに対し、咄嗟に顔を手で覆う視点主)

ムーア「だからよ!!ゲリラ達の目的はあくまでもここを占拠することであって、あなた達を必ずしも快く受け入れてくれるとは限らないのよ!?」バシャンバシャン!!(猫たちが一斉に土を投げてくるのでたまらず一歩退く)

アイルーの労働者「ブラック・カーニヴァルは同じ獣人種だニャ!!お前達のもとにいるより、ずっとマシだニャ!!」バシャーーン!!

メラルーの労働者「そうニャ!!口先だけの人型は今すぐ出ていけニャ!!」ブーーーーン!!


ゴッ
(飛んできた石ころが鈍い音と共に視点主の頭に当たり、悲痛の衝撃が視界に走る)


ムーア「うっ・・・・・」(左手で頭をおさえると、手のひらに血がついているのが確認できる)


ちら・・(虚ろな視線の先では、石を投げてしまったメラルーがこちらの容態を見つつ、動揺しながら群れの中に後退していく姿が見える)


ドォーーーーーーーーン!!
(突然、農園内に発砲音が響き渡る)


シュウウウウウ・・・・(瞬時に音が聞こえた方に首を向けると、遠くに見えるバンガローのテラスより、砲口から白煙を上げた小銃型ライトボウガンを掲げたゲンス・ゴンスの姿が小さく見える)


あ~~~~ん!あ~~~~~ん!
(子供のアイルー達の泣き声が)


ミオン「わかったミャオ?ここにいる限り、いつまでたっても私達はあいつの奴隷ミャ」たしっ(不安そうな表情を浮かべたちいちゃいメラルーの子供を抱きしめる)

ムーア「そのやり方を変えてみせる」ビッ(手についた血を振り払いながら)

ミオン「中途半端な善意は私達の首を絞めるだけミャ。余計な干渉はするミャオ!」ザッ(子供たちを守るように彼女が力強く立ち塞がる。同時に仲間たちも彼女の左右に立ち並ぶ)

ムーア「あたちはあなた達と同じ獣人に育てられた。だから決して見捨てない」

ミオン「・・・・・・・・・あなたの境遇には同情するミャオ。私もかつて、たった一人だけ・・あなたと同じ人間の女の子に心を開いたミャ・・・」(彼女のきれいな瞳に涙が浮かぶ)

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」グッ・・(ミオンは思いを振り切るように涙を拭う)

ミオン「だからってあなたを信頼するわけじゃないミャオ。それはあなたが人型だからミャ」

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ザッザッザッザッ・・・(農園に散っていく獣人たち)


タッタッタッタッタッタッタッタッ(銛を握ったボワコフとレザーライトシリーズに身を包んだキンババが駆け寄ってくる)


キンババ「平気かい?」はぁ・・はぁ・・

ムーア「うん・・・自分のやり方が傲慢だった。上から目線だったんだって、気づかせてくれたよ・・。まるで、シオンみたいに・・・」いちちち・・(と頭をおさえる)

キンババ「??」


ボワコフ「血が出てるじゃアリマセンか・・すぐに止血を」ガサガサ(肩掛けポシェット(もちろんフワフワ毛皮の)から薬草を取り出す)

ムーア「ゲンス・ゴンスはなんて?」よっ(とあぐらをかくと、ボワコフが傷口を覗いてくる)

キンババ「ヴィルヘルムが捕まったのは僕たちの責任だから、自分たちでなんとかしろって。それと王都から援軍が来ようが、彼らは自分たちのやり方を変えたりしないし、指揮権は自分が執るって」やれやれ(している腰のベルトには数本の「投げナイフ」が突き刺さっている)

ムーア「それは?」ぎゅりぎゅりぎゅり(一方、治療中のボワコフは薬草を「ちいちゃい」手のひらの上に乗せると、片方の手の爪でそれを擦っていく)

キンババ「ヴィルヘルムを助けに行くのなら自分の身は自分で守れって。何か武器を貸してくれって言ったんだけど、それも断られてさ。しょうがないから、売ってくれって、手持ちの50Zを見せたら、これをくれた。それでもオマケしてくれた方なんだって」やれやれ

ムーア「何もないよりはマシね。ボワコフさんは?」ちょんちょん(見上げるボワコフは擦った薬草を傷口に塗ってくれている)

ボワコフ「自分は帯同するでアリマス」ちょんちょん

キンババ「ゲンス・ゴンスの許可を得ているよ。彼はここ一帯の地図も把握しているし、ゲリラの拠点も知ってるんだって」

ボワコフ「以前、ゲンス・ゴンス殿に頼まれて、探索したでアリマス。そう遠くはないエリアでアリマス」ちょんちょん

キンババ「斥候まで・・・・なんでゲンス・ゴンスは敵の居場所も分かっているのに攻撃しないわけ?」

ムーア「自分が農園を離れているすきに、みんなが逃亡するのをおそれているからよ」

ボワコフ「自分が聞いた話では、相手が有利な拠点を攻撃するより、おびき寄せて数を減らす籠城作だと仰っていたでアリマス」ちょんちょん

ムーア「強がっちゃって。どっちにしろ、結果、農園は燃やされちゃったけどね・・・」(治療を受けながら火災後のバナナ農園をしみじみと見つめている。また、農園の向こうではせっせと片付けをしている獣人たちの姿も)

キンババ「農園を少し離れることになるけど、大丈夫かい?」

ボワコフ「はいでアリマス。ゲンス・ゴンス殿から許可をもらう前に、農園のことをミオン殿にお願いしたでアリマス」ちょんちょん

ムーア「だからだ」

ボワコフ「??」ちょんちょん

ムーア「嫉妬されたのよ」やれやれ

ボワコフ「??」ちょんちょんちょんちょん(される視点主はため息)






Recollection No.5_139







あきゃ~あきゃ~おえっおえっ・・びしゃびしゃびしゃ・・
(謎の熱帯系環境生物特有の発声が反響する水没林エリアの足場の悪い泥濘を進んでいく)


ムーア「思い出すわね。学校の外で泥遊びをしてた頃を」びしゃびしゃびしゃアセアセ

キンババ「僕は毎回嫌だって拒否しているのに、君たちは無理やり・・・挙げ句、教室にまで「泥団子」を持っていく始末で、何度ポレット先生に怒られたことやら・・」ひぃひぃ・・(やっとこついてくる彼の腰を支えるボワコフさん)

ムーア「よく言うわよ。あたちらが泥団子を「いかにまあるくするか」にこだわっていた時だって、石灰を入れればピカピカになるだとか、材料の提案だとか、あんたの方が積極的に「まあるくしろ」って勧めてきたんじゃない」やれやれ

キンババ「フフ・・思えば僕もまた、知らずのうちに君らが撒き散らす毒粉に侵されていたのかもね・・・ヴィルヘルム・・大丈夫かなぁ・・・・」しょんげり(する彼を励ますボワコフさん)

ムーア「殺されてはいないはずよ。そのつもりなら、あの場で殺していたはずだもの。それにほら、昨日あたちらが捕まった時だって、捕虜にして王都と取引しようとしてたでしょ?ましてやヴィルヘルムはバールボーン家のプリンス。ただ殺すにしては勿体ない獲物だけど・・・・耳くらいは削がれて、キャッスルに脅迫状と共に送りつけられているかもね」

キンババ「物騒なこと言わないでよタラーボワコフさん。拠点はまだ遠いのかい?」ひぃひぃ・・

ボワコフ「はいでアリマス。今日中には無理でアリマス」きっぱし

キンババ「そんなはっきり言われると逆に心構えができるけど・・・キャンプはどこで?」

ボワコフ「このあたりのエリアにブラック・カーニヴァルの斥候がいてもおかしくはないでアリマス。暗くなる前に穴でも掘ってそこをねぐらにするでアリマス」

キンババ「ええ!?穴で一晩!?」

ムーア「ボワコフスタイルね。楽しそう♪」びしゃびしゃびしゃアセアセ

キンババ「なんて能天気なタラーキャンプセットとか持ってきてないのかい!?」

ムーア「んなもん重たくて持って来れるかっての。阿呆」びしゃっアセアセ(と泥水を嫌がるキンババの顔に向かって「蹴りで」浴びせる。当然「ペッペッ」とかわいそうなキンババ)

ボワコフ「その前に・・・・」むんずっ(銛を両手で握りしめる)

ムーア「キンババを食べるって」そんなぁ~~~アセアセ

ボワコフ「コソコソ隠れていないで姿を見せるでアリマス!!」ビョッDASH!(遠くの水場に向かって銛を投げつける)


バシャアアアアアアアアアン!!
(水浸しの大地に銛が突き刺さると同時に黒い影が水面より飛び出し、すぐさま近くの木を駆け上がっていく)


ムーア「今度こそ倒してやる」ゴイン(背中のボーンブレイドを抜刀すると同時に視点主の背中にコソコソ隠れるキンババ)

??「ちょっと待つミャ!!私ミャ!!私!!ミャオ!!」

ムーア「みやお?」


パシャ~~~~~~~んアセアセ
(木の枝より水場に飛び降りてきたのは愛らしいアイルーのミオンであった)


ボワコフ「ミ、ミオン殿アセアセど、どうして!?」

ミオン「あなた達を尾行して、ブラックカーニヴァルの拠点を探ろうとしたミャ・・・」もじもじ

ムーア「目的の半分はそれが理由。残りの半分は・・・ボワコフさんが心配だから。でしょ?」

ミオン「・・・・・・・・・・・・・・・」ポッ

ボワコフ「え・・・・・・・え・・!?えっ!?」キョロキョロ

ムーア「さ、行くわよ。もうすぐ陽が沈む」びしゃびしゃびしゃ(と泥濘を進む後ろからは未だに状況を理解しきれていないボワコフの「えっ!?えっ!?」という声と「やれやれ」というキンババのため息が)


To Be Continued






★次回ストーリーモードは2/22(月)0時更新予定です★