サーーーーーーーー・・・・・
(物憂い小雨の中、白装束のフードを被った視点主が見つめる先に小さな空き地が見え、そこでヴィルヘルム(ボーンシリーズベースのエスニックなロングコートを着用、雨避けの笠の代用に両角を持つ「何かしらの頭骨」を被っている)をはじめ、王都の人間と思しき威風漂うフロックコートを纏った男性一名と同じく王都のガーディアン一名(都市同様、例の長ランスを背中に携帯)、そしてカエル型の緑傘を差したチュニック姿の茶毛アイルーが話し合っている)


ちら・・(その光景から垂直に視線を上げると、王都を囲う立派な石造りの城壁が見え、その上の通路から塀越しに衛兵が下の様子を覗き見ている)


ムーア「くっちゃらくっちゃら・・・・・・」ちら・・(一連の光景を尻目に少し退屈そうに振り返ると、視点主が見慣れた外街のL字コーナーに立っていることが分かり、その風景から現在地が旧ニャ・モンド跡地であると認識される)


サーーーーーーーー・・・・・(相変わらずボロ小屋に挟まれた「ほっそい道」の奥から、ノースリーブのボロチュニックを身に纏った褐色肌の「外街おじい」が胡弓のような弦楽器を片手にヨタヨタと近づいてくる)


外街おじい「よぉ~~~~ム~~~ア~~~~。今日はまた、なぁ~~~んの用じゃけぇ~~?」よったよった(傘を差していないのでノースリーブな両肩からおじい独特の乾いた細めな両腕にかけて雨粒が次々と滴り落ちていく)

ムーア「そこの空き地。もう何年も買い手がないままでしょ?」

外街おじい「ああ?前は何があったっけかのぉ~?」

ムーア「やだ、おじいさん。その年で新入りなわけ?」

外街おじい「まだまだ体は元気じゃて」むん(ほっそい腕を)

ムーア「まったく。いい?ここにはね、知る人ぞ知る、獣人のマスターが経営する喫茶店があったの。その後、まぁ~いろいろあってね・・・骨董品店になったんだけど、それもなくなってね・・・」

外街おじい「店ごと潰れちまったんかぁ~?」

ムーア「火事よ。証拠隠滅でしょうけど」

外街おじい「??」

ムーア「だからプリムが・・・王女様が買い取ることにしたんだって。で、そこの城壁に櫓を増築して、四番街の監視塔を作ろうって魂胆」ほえ~~~(と外街おじい)

外街おじい「でぇ~~~~?バールボーンの若大将と一緒おる連中はぁ~~~~、なぁ~~~にをしとるんじゃ~~~?」

ムーア「彼と一緒にいるのは、先王時代に王宮の改築工事に携わった王都きっての一級建築士と、ここ最近、キャッスルの修繕工事を一任されている凄腕のアイルー建築技師。種族を超えた現場主義の二人がタッグを組んで取り掛かる、記念すべき初仕事ってわけ」そっだら予算的にですニャ・・(見つめる先ではその凄腕アイルー建築技師が意見を述べており、人間の建築士もまた、頷きながらその提案を真剣に聞いている)

外街おじい「えっらい長い槍持っとるのはぁ~~?」

ムーア「ああ、彼は四番街に沿った城壁を長年見回りしている警備隊長さん。警備サイドの意見も聞かないとね」城壁の高さはおおよそ・・・(と、説明しているガーディアン)

外街おじい「でぇ~~~~?その連中を集めるよう指示しよったんが、お前さんってわけかぁ~~~」にんまり

ムーア「ん~~・・・ちょっとこうしたら?って意見しただけ」

外街おじい「バールボーンの若旦那にかぁ~~~?それともぉ~~~女王様にかぁ~~~?」

ムーア「ヴィルヘルムによ。あんだってのよ」

外街おじい「ひょひょ~~~~!お前さんが革命を指揮しとったのは、わしら、みぃ~~んな知っとるけぇ~~よぉ~~~!恥ずかしがらんで、シュレイドのお姫様面しとったら、ええんじゃよぉ~~~。どれ。姫君に捧げる「新曲」を奏ででやろう」よっ・・(胡弓のような弦楽器を構える)

ムーア「権威思考な血生臭さい独裁者の家系・・・ほんと・・鬱陶しい・・・・」ギィ~~~コォ~~~~♪


ほっだらよろしくお願い致しますニャ
こちらこそ お互いに協力しあって良い仕事をしましょう
(背伸びして手を差し出すアイルー技師と握手を交わす王都の一級建築士)


ヴィルヘルム「なにかあったら、すぐにキャッスルか王宮を訪ねてくれ」かしこりましたニャ(と一礼する一同を背にこちらへ歩いてくる)

ムーア「うまくいきそうなの?」ギギィ~~~~~~~♪

ヴィルヘルム「ひでぇ音だな。弦が雨に濡れてっからか・・。安心しろよ、話はだいたいまとまった」ゴギィ~~~~~ゴォ~~~♪

ムーア「どうするって?」ギギゴギィ~~~~~♪(少し両耳を塞ぎながら)

ヴィルヘルム「昇降機を設置する方向だ。そうすれば四番街で何かあっても、すぐに王都側も動けるだろ?」ギギギギギゴギィ~~~~~♪

外街おじい「外から侵入もしやすくなるのぉ~~~~~~」ギギギギィ~~~~~♪

ヴィルヘルム「んなことわかってらぁ~!そんな不届き者を粛清するために俺たち、バールボーンがいるんだろうが」えっへん

外街おじい「ドラゴンキャッスルに棲む外街の支配者が、いつから王都の「番竜」になったんかぁ~~?」ギゴゴゴゴゴゴ~~~~~♪

ヴィルヘルム「何が言いてぇんだ」ギィ~~~コォ~~~~♪

ムーア「まぁまぁ。それよりよかったじゃない?これで四番街も暮らしやすくなるわね」ギャギャギィ~~ゴォ~~~♪(と演奏してるおじいに向かって)

外街おじい「わしらは今までの暮らしで十分じゃけぇ~~~。内と外が調和されるぅ~には、まぁ~だまだ、時間が必要じゃ~~~。早急に事をなせば、崩れていく均衡の隙間から所々に小さな火がつき、やがて燃え上がって一つの大火災へと繋がるやもしれんぞぉ~~~。そぉ~、「中の王女様」に伝えてくんなぁ~~~」ギィ~~~コォ~~~~♪(と雨の中、弦楽器を演奏しながらその場をあとにしていく)

ヴィルヘルム「ケッ!俺たちゃ、その内と外の統合を目指してんだ!!もちろん、てめぇらの暮らしや文化の多様性も踏まえてだ!!やり方に不満があるなら議会で反論しろ!!」ギィ~~~コォ~~~~♪

外街おじい「外には、お前さん達のように教養が培っている人間ばかりじゃないぞよ?それに最近は「野良猫」の数も増してきたしのぉ~~~。内を快く思わん反乱分子を根こそぎ粛清すれば、終いというわけにはいかんじゃろうてぇ~~」ギギギギギギギィ~~~~♪

ヴィルヘルム「これ以上、何が不満なんだ!?彼女はお前たちのことも考えて王都の治世を行っているんだぞ!?少しは感謝しやがれ!!」ゴギィ~~~~~~♪

外街おじい「治世とはぁ~~~~後世の者が過去の国政に対して評価する言葉じゃ~~~~~。今はまだわからんじゃけぇ~~のぉ~~~~。せいぜい、がんばれやぁ~~~~~」ギョギョギョギィ~~~~~♪

ヴィルヘルム「とっとと、くたばれ!!クソジジイ!!」ガッ(遠のいていく外街おじいの小さな背中に中指を突き上げる)

ムーア「あのおじいさん・・・いろんな都市を見て回ってきたんだろうね・・」

ヴィルヘルム「知るかっての!どんな境遇や過去があろうとも、外街で住むからには、こっちのルールに従ってもらう!プリムをバカにしやがって・・次また同じことを言ったら、侮辱罪でキャッスルの牢獄にぶち込んでやる!」ふんっ

ムーア「そんなやり方じゃ、亡国と同じ運命を辿るわよ」ザーーーーーー・・・・

ヴィルヘルム「だったらお前が先陣に立て!!プリムだってお前の力を頼りにしてるんだ!!いい加減、表舞台で活躍したらどうだ!?」ガッDASH!(視点主が来ている白装束の襟を掴んでくる)

ムーア「生憎。政治には興味ないし」バシン!!(その手を払いのける)

ヴィルヘルム「だったらなんで口を挟むんだよ!!」ガッDASH!(もう一度掴み上げてくる)

ムーア「しつこい!!あんた達のもどかしいやり方が見てらんないからよ!!」バシン!!

ヴィルヘルム「なんだと!?てめぇの方が頭が良いって言いてぇのか!?」ガッDASH!

ムーア「っるさいわね!!そうだとしたら、少なくともあんたよりはね!!」バシン!!

ヴィルヘルム「ほらみろ!!ガキの頃から、お前はそうやって人を見下しているんだ!!お前こそ、そんな性格だと、爺さんのような末路を・・・・」


バコォーーーーーーーン!!
(ヴィルヘルムの顔を正面から思いっきりマッハパンチで殴る)


ムーア「もう一度言ったら、ほんとに殺すわよ!?」(鼻血を振り切るように首を大きく左右に振りながら意識を取り戻すヴィルヘルム)

ヴィルヘルム「殺す・・?ケッ。それがお前の本性だ。バールボーンより残忍な、ロザリー家の血がてめぇにも・・・」


ズガァーーーーーーーン!!
(見事なまでのトラースキックで起き上がり最中のヴィルヘルムの顔面を例のゴツメなブーツの分厚いソールで)



ドシャーーーーーーーンアセアセ
(ずぶ濡れ泥だらけの大地に倒れるヴィルヘルム)



ヴィルヘルム「ケケケケ・・な?お前はとっくに気づいているはずだ。自分の中に潜む抑えきれない凶暴性を・・」



ズゴーーーーーーーーン!!
(横倒れしている彼の脇腹を蹴り上げ、「高速側方回転させながら」更に吹っ飛ばす)



ヴィルヘルム「カハッ・・・・素直になりやがれ・・・・お前は・・・・戦いたくてうずうずしているんだ・・・・キャロルムーア・・・ロザリー・・・・」はぁ・・はぁ・・・(鼻からボタボタと流れる血が顔を伝っていく雨水に滲んでいく)

ムーア「あたちにはやることがまだある。それが終わるまで、モンスターハンターにはなれない」ザッ(蹲っているヴィルヘルムに手を貸そうとする)


ドンッハッ(そのすきをみたヴィルヘルムが視点主の腹部を鈍い音と共に殴ってくる)


ムーア「クッ・・・・!!」ガクン・・

ヴィルヘルム「嘘だね。お前は狩猟をしたいんじゃない。ただ暴れたいだけさ。その相手が人間じゃ「物足りない」だけなの・・・さ!!」ズゴォーーーーーーン!!(躊躇なしの膝蹴りを視点主の顎にぶちかましてくる)


ビシャアアアアアアアアアンアセアセ
(後頭部からずぶ濡れの大地に仰向けのまま寝転がる)



ムーア「はぁ・・・・・はぁ・・・・・・・・」ザーーーーーーーー・・・・(虚ろな視界には灰色の雨空が広がっている)

ヴィルヘルム「どうした?人間の雄相手じゃ、やる気がしねぇってか?」ザッ・・(よたつきながらこちらを覗いてくる)


ドスッ!!(すかさず開いている彼の大股の頂点を蹴り上げる)


ヴィルヘルム「ぎゃあああああああああああああ」ガクン・・・(股間をおさえながら、よだれを垂らしつつ、腰からだらしなく崩れ落ちる)

ムーア「立て!!この腐れ桃毛獣が!!」ガシーーーーン!!(両膝をついている彼の顔面を地面に叩きるけるように殴り倒す始末)

ヴィルヘルム「(顔の縦半分を泥の大地に埋めながら)何度でも言ってやるぜ・・・・キャロルムーア・・ロザリー・・・・ロザリー・・・・ロザリー!!」


グワッシャッ!!
(その顔面を潰すようにゴツメなブーツのソール(もちろんギザギザ)で踏みつける)


ムーア「『あたし』は血筋なんて恐れていない!!この体には誇り高き白の同盟の盟主、バーニー・ブラントとその妻、アースラ・ベアトリクス・ウルバンの血が流れているんだ!!!!」


ドシャアアアアアアアアン!!
(踏みつけられている足を掴み上げ、視点主をひっくり返すヴィルヘルム)


ヴィルヘルム「その調子だ!!お前がどんなにガキのように振る舞おうが、自分の心の中に眠る攻撃的な本能を完全に抑制することなんてできやしねぇんだ!!解き放て!!そして王都とキングスラムウォールを支える宰相になりやがれ!!これは・・・・・命令だぁあああああ!!!!!」

ムーア「はぁ・・・はぁ・・・・・・」(よろめき立ち上がりながら、両手の中指を突き上げる)

ヴィルヘルム「うおおおおおおおおおお!!!!!!」ダッダッダッダッダッダッ


ズガァアアアアアアアアアン!!
(ヴィルヘルム渾身のスピアー・タックルをぶちかまされ、共にノックダウンする)






Recollection No.5_131






ムーア「はぁ・・・・はぁ・・・・・・・・」ザアアアアアアア・・(仰向けのまま、半ば白目を剥きながら降りしきる雨に打たれている)

ヴィルヘルム「クククク・・・・」ザアアアアアアアア・・(右に首を向けると同じく仰向けで寝ている彼が鼻血塗れの顔で笑っている)

ムーア「頭でもおかしくなった・・?」ザアアアアアアア・・

ヴィルヘルム「初めてお前に勝った」ザアアアアアアア・・

ムーア「嘘よ。どう見ても引き分けでしょうに」ザアアアアアアア・・(雨音に紛れ、横で馬鹿笑いしているヴィルヘルム)


To Be Continued





★次回ストーリーモードは1/25(月)0時更新予定です★