トットットットットットッ・・・(聞き慣れた偶蹄目な足音と共に揺られながら夕暮れ時のヒンメルン連峰を見上げている)


ムーア「ふぁ~~~あ・・・・結局、今日はプリムに会えなかったよ。見せたかったんだけどなぁ・・あたちの一度だけの卒業姿を・・」ちら(と下を向くと)

イノみゃん「ブッブッブッブッブッ。ゴッゴッゴッゴッゴッ」(鼻息荒く崖道を逞しく進んでいく彼女(もまたアカデミックドレス&学帽を装着)に視点の主が跨っていることが窺える)

ムーア「そうね・・・また別の日に着ていけばいっか。そしたらさ、今度はプリムに卒業式を見せてあげよう!王宮の中庭でさ、ごちそうも用意してもらってさ」スッ・・(頭に被っていた学帽を手に取り、それを指でクルクルと回す)

イノみゃん「ホッホッホッホッホッ」


トットットットットットッ・・・(崖道を登り切ると山腹エリアの奥に今日も雄大なヒンメルン山脈の大断崖を背にした白雪神殿の壮麗な姿が見えてくる)


ムーア「ふぁ~~~あ・・・・・・・今日はいろいろ疲れたね・・・・・あんたも卒業式でいい子にしてたから疲れたでしょ・・・・・厩舎の他の子とも仲良くしてたし・・・・・あとでキノコあげるからさ・・・・・・・」こっくり・・こっくり・・・


トットットットットットッ・・・(うつらうつらな視界の中、順調に歩むファンゴの足取りと「揺れ」だけは分かる)


ムーア「くかぁ~~~~~~・・・・ずごごごごご・・・・・・」こっくりこっくり・・


??「卒業おめでとう!!」


ムーア「いっアセアセ」ビクッハッ



アポロン「これでやっと思う存分、稽古ができるな!!」ぬう(目を開けるやいなや、巨大なレウスの顔面が)

ムーア「やだ、あんた口臭いよタラー」もわぁ~~~~~

アポロン「わりぃわりぃ。ルチアがさ、お前を待ってる間、腹が減るだろうからってさ、麓まで一緒に降りて肉探しをしてたんだ」(そう喋る火竜の口の中、おそろしい牙に「何からしの皮」が刺さっているのが見える)

ムーア「ちゃんと歯を磨きなさいよ?あたちは疲れてるの。どいて」ぐいっ(でかい顔を手で退け、イノみゃんと共に歩みだす)

アポロン「なんだよ。お前が見に来いって言ったんだろうが!」ドスンドスンDASH!(横目に並んで歩いてくる火竜のでかい姿が。そしてそのサイズ感が、以前にも増して成長していることもまた見て取れる)

ルチア「お~~~っと!!アポロン!!花を踏むんじゃねぇぞ!!」(神殿へと繋がるお花畑の向こう側から白装束姿の彼女らしき女性が怒号をあげる)

アポロン「あ、そうだったタラーいい加減、「俺用の道」も作ってくれよ」

ムーア「だぁ~め。このお花畑はお母さんが作ったって言ったでしょ?あ、それから翼にも気をつけるのよ?この前、あんたの「風圧」で、何本かお花がすっ飛んじゃったんだから」んもぉ~(と、ファンゴから飛び降りる)

アポロン「可愛そうだ!なんて俺は可愛そうなリオレウスなんだ!行こうぜ、イノみゃん」


ドスンドスンドスンドスン・・(ふてくされながらケルビやポポが待つ馬小屋エリアの方へ歩いていく。そのでかい火竜の足元を器用に抜けながらイノみゃんもまた並走していく)


ムーア「フフ・・」(その微笑ましい光景を見つめている)

ルチア「よぉ、遅かったな」(と、お花畑に挟まれた一本道を歩いてくる彼女の赤毛な髪型は、以前のようなワイルドファンゴではなく、洗練されたキリンテールがよく似合う大人びた印象を放っている)

ムーア「あれ、一人だけ?」ドスンドスンドスン(彼女に質問しながら右に首を向けると、アポロンが馬小屋エリアを経由して、お花畑を踏まないように迂回しながら神殿の方へ向かっている健気な姿が見える)

ルチア「さっきまでシセ達も待ってたんだけどな。おせぇから、もう中に入って勝手に一杯やってると思うぜ?」(キリンテールな右側部だけ長くなった前髪に隠れた右目を覗かせながら話しかけてくる彼女の顔もまた、より成熟したベテラン狩人の顔つきをみせている)

ムーア「盟主様の一回限りの卒業式だってのに、あんだってこにょ!!」

ルチア「おっと。ツバを吐くなら浴場でやっとくれ」(神殿へ向かう彼女の向こう側では一足先に神殿の回廊前に迂回して到着したアポロンが翼を畳んだ状態で、まさに首を長くして待っている)

ムーア「むぅ・・・・・」ツカツカツカツカ・・(渋々とついていく)

アポロン「卒業式は面白かったか?」

ムーア「あのね、卒業式はコントじゃないのムカムカ

ルチア「しゃあねぇだろう?こいつらには学校がねぇんだからよ。なぁ?」うん(と、ルチアを慕うように首を彼女の方へ伸ばす火竜)

ムーア「だからプリムに提案してみるって。もうちょっと落ち着いたらさ」なでなで(と、火竜のでっかくてゴツゴツな脚を撫でる)

ルチア「しっかし、あっという間だったな・・・・お前は?どう思ってんだよ?」よっ(と、回廊の低い塀に飛び乗るように腰を下ろす)

ムーア「ん~~~~~~~~長かったようで短かったような・・・・思い出はたくさんできたけど、時間が流れていくのと同時にその大切な記憶を少しずつ失っていっちゃうのは嫌だなぁ・・・忘れたい過去だけ消えていけばいいのに・・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(意外、みたいな顔で互いに見つめ合っているルチアとリオレウス)


ムーア「あによ?変なこと言った?」

ルチア「別に。お前にしちゃ、少しネガティブな感想だったからさ。なぁ?」うんうん(と、側で何度もうなずくでかい火竜の顔)

ムーア「あのね。基本的にあたちは繊細なの。のらりくらり生きながらモンスターハンターになって大陸に羽ばたくつもりが、突然ロザリー家の末裔だなんて言われたのよ?クソジジイの犯した大罪に苛まれながら因果の掃き溜めでもがき苦しんでいる可愛そうな女の子・・・・それがあたちよ!!どうだ!?」ブッアセアセ(この癖は治っていないようだ)

アポロン「盟主に学級院長・・卒業するまで優等生演じてたストレスが相当溜まってたみたいだな」うんうん(と今度はルチアが)

ムーア「フッ・・安心しなさいな。これから盟主一本、一本勝負!この白雪神殿の名に恥じぬ盟主になってみせるだわさ」ひょひょ~~~ひょっひょっひょっひょっ!!ブッアセアセ(高笑いの後になぜかツバを吐く)

ルチア「その調子だ。爺さんのことなんか気にすんな」うんうん(とアポロン)

ムーア「だよね。ルチアだって知らなかったんだし」クックックッ・・

ルチア「しつけぇぞ!!ショックだったのは、てめぇだけじゃねぇんだからなムカムカ」ぷんすか(と怒ると、顔を近づけていた火竜が目をまあるくする)

ムーア「ププ・・今も引きずってやんの」

ルチア「うるせぇ。だいたいがヤク中の妄想かもしれねぇんだ。証拠がねぇ。この数年、いくら探っても出てくるのは、「ジジイの方」の悪評ばかりだしなもやもや」やれやれ(と、アクション決め込むと、隣のリオレウスも両翼を広げて同じポーズを見せてくる)

ムーア「神殿を作った人のことも分からないしね・・・」(壮麗な白雪神殿を見上げる)


ひゅうううううううううう・・・


アポロン「ふぁ~~~あ・・・おら、寝るぞ。明日からバシバシしごいてやるから覚悟しておけよ」

ムーア「望むところ。また目潰ししてあげるから」ププ

アポロン「あの眩しいやつ使うの禁止だぞ~!!今度投げてきたら翼で弾き返してやるムカムカ」ブツブツ・・(と文句を言いながら馬小屋エリアの方に「ドスンドスン」と渋々と帰っていく)


くるっ(と、アポロンが何か思い出しかのようにその長い首を振り向かせる)


ムーア「??」

アポロン「卒業できて良かったな。ムーア」

ムーア「・・・・・・・・・・。ありがとう、アポロン」

アポロン「おやすみ」


ドスンドスンドスンドスン・・・


ムーア「さすが、カールとドリスの子だね」

ルチア「・・・・だな」にこっ






Recollection No.5_122






ひゅうううううううううううう


ルチア「え~~~~~ぶっしょいっホイッ!!(ブブーーーー!と鼻汁を豪快に)・・・さ、うちらも中に入ろうぜ。板長の鍋が煮えすぎないうちによ。「卒業祝い鍋」だとよ」

ムーア「鍋!?具は!?」

ルチア「みんなでキノコ採取に行ったんだと。それを「やたらめったら」ぶっ込んでみたって言ってたぞ。マヒやネムリ、ドキドキを食ったら大当たりってな」ザッザッザッザッ・・(一足先に神殿の中に入っていく)


ひゅううううううううう・・・


ムーア「・・うん・・・・あたちはみんなに囲まれて幸せだね」


ひゅうううううううううううう


ムーア「ありがとう、お母さん。ちゃんと卒業できたでしょ?そりゃ心配かけたとは思うけど、それなりには恩返しもできたと思う。たぶん」


ルチア「なにしてんだ~!?早くこねぇと全部くっちまうぞ~」


ムーア「今行く~~!!」


・・・・キラァーーーーーーーーン・・・
(見上げる夜空に流れ星が)


ムーア「・・・・・・そっか!ゴルゾンもお祝いしに!?」



パキャーーーーーーン・・・・・
(流れ星は一瞬のうちに通り過ぎたかと思いきや、砕け散るように消滅してしまう)



ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



キラキラキラキラキラキラ・・・・
(星空より眩く煌めく物体がゆっくりと落下してくる)



ムーア「ほえ・・・・・お星さまが落ちたかな・・・・」



キラキラキラキラキラキラキラキラ
(頭上近くにふわりふわりと白く輝く物体が舞い降りてくる)



ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」スッ・・(導かれるように両手を広げ、それを受け取る)



キラキラキラキラキラキラキラキラ
(両手のひらの上で自ら発光してみせるその白い物体は、何かの鱗の欠片なのだろうか、そんな疑問を感じさせないくらい、見るものをその高貴さ漂う輝きによって魅了してしまう)



ムーア「ほえ・・・・・・・・・・」キラキラキラキラキラキラ


吾郎「いたいた・・お嬢さん!!主役がこねぇとみんな食えねぇって、暴動寸前なんでさぁアセアセ早く来てくだせぇ!!」く~わせろっ!!く~わせろっ!!(と、神殿内からデモの声が)


ムーア「あ、ごめん!!すぐ行く!!」


よいしょっ・・がさりごそり・・
(鱗の欠片を慎重にポッケへしまう)


吾郎「お嬢さん!!早く!!はやっ・・・・・」食わせろ~~~!!(と背後から襲ってきた「餓死寸前のような顔色」の白装束の同志たちが瞬く間に板長を取り囲み、拉致するように上に掲げて食卓へと運んでいってしまう)


ムーア「おお・・すごいな・・タラー


ちら・・(と、見上げる夜空には満点の星々が)


ムーア「うん。卒業おめでとう。あたち」


つったったったったったっ
食わせろ~~~~~~!!
ぎゃあああああああああああああ

(ご陽気に神殿へと向かった途端、中から飢え果て荒みきった同志諸君らがよだれを垂らしながら集団戦法で登場してくるやいなや、視点の主を持ち上げ、そのまま食卓へと連行していくのであった)


To Be Continued







★次回ストーリーモードは12/14(月)0時更新予定です★