ハッハッハッハッハッハッハッ
(簡素な木製掘っ立て小屋の1Kチックなわりかし広めな間取りの中(壁を見る限り、かなりの年代物であること、そして「自家製」であることが窺える)、丸いダイニングテーブルを前に着席している視点主の視界には、右の席にヴィルヘルム、左手にはキンババ(共に学士帽子&アカデミックドレスを装着)、そして正面の席には立派な青年へと成長したパク(その黒髪は十代の時のようなオシャマ要素はすっかり消え去り、清潔感と親しみの持てるセンター分けになっており、身に纏う「すす汚れた」半袖ボロチュニックの下から筋肉隆々な肉体も窺え、酒瓶を掲げる腕もまた十代の頃とは比べ物にならないくらいの上腕二頭筋を誇っている)が、ご陽気に笑っている)


パク「それで?その元ハンターにイカサマを見破られたんだろ?」フッ(と前髪を口で吹く学生時代からの癖をみせると、労働をしてきた後なのだろうか、額に炭の汚れが数箇所見える)

ヴィルヘルム「ああ。なんでも弓の達人だったみたいでな、目には自信があったらしい。デービスの話じゃ、ビリーのやつ、必死にイカサマを否定していたらしいが、そいつと揉めている時に袖からカードがこぼれ落ちちまって、ジ・エンド。思いっきりぶん殴られて乱闘騒ぎへ発展ってわけさ」グビッ(飲み口の衛生面が実に信用ならない瓶ビールを飲み干す)

キンババ「それでどうなったのさ?」じゅるじゅる(こちらもまた、すす汚れたティーカップでお紅茶をいただいている)

ヴィルヘルム「イカサマを見破られようが賭博場は龍腸の中だぜ?暴れていたその男は足を滑らせ、不運にも「たまたま」開いていたダストシュートに落下。それっきりビリーもデービスもそいつの顔は見てねぇってさ」ぷはぁ~~

ムーア「よく言うわ。どうせデービスが「巨体を活かしたタックル」でもかまして落としたんでしょうに。卒業後も「アングラ界の目赤朱鬼(めあかしゅき)」は健在のようね」やれやれ

パク「お前こそよく言うぜ。あいつの目をあんな風にしちまったのは、お前だろ?」ゴトン(テーブル下から新しい酒瓶を取り出し、ヴィルヘルムの前に置いてやる)

ヴィルヘルム「ハハッ!!覚えてるぜ!?一番最初の修学旅行の時だ!!」すこぉ~~ん(と瓶の蓋を「前歯」で開けてしまう屈強さ)

ムーア「それに関しては悪いと思ってる。少しだけ」とっ(椅子から飛び降り、おもむろに玄関横に置いてあるスタンドミラーの前に立つと、学士帽子&アカデミックドレスを装着した視点主の姿が映る)


ふぁっ・・(天井の隙間よりこぼれる放射線状の太陽光が部屋中を舞う埃を照らしている中、それを振り払うように視点主が学帽を脱ぐと、相変わらずアホ毛だらけの蒼髪ウィンドボブがよく似合う、十代後半に成長したのであろう少女の顔が鏡に映る)


パク「早いもんだ。ついこの前、俺とクロイが卒業して、お前たちが泣きじゃくってたと思いきや、今度はその悪ガキ共が卒業だっていうんだからな」(鏡越しに感慨深げな表情でこちらを見つめている)

ムーア「あの時のクロイの方が断然綺麗だったよ。シオンもちゃんと卒業していたら・・・・」カタン・・(振り返り静かに着席する)

パク「音沙汰なしか?」

ムーア「うん・・・・ニッキーも・・・」ポン(ヴィルヘルムが激励するように肩を叩いてくる)

パク「俺はあいつのおかげで製鉄所に雇ってもらえたからな・・。叔父さんが少しでも長生きできたのは、あいつとシオンが王都から薬を持って来てくれたおかげだ・・。できれば借りを変えさせて欲しいものだが・・・・」

ムーア「ニッキー達は気にしてないよ。ちゃんとパクが仕事を続けていることが、十分恩返しになっていると思う」

キンババ「そうさ。天国の叔父さんもきっと喜んでいるよ」

パク「ありがとう・・・・そうだ。お前達だろ?この前、叔父さんとクロイの両親の墓に花を置いて帰ったの。他にそんなことしてくれる連中はいないからな」

ムーア「ん・・・まぁ、たまたま近くを通ったから・・ね」(と、ヴィルヘルムとキンババに向かって。対し頷く二人)

キンババ「クロイは相変わらずお墓参りには?」

パク「ああ・・。彼女はおふくろさんの死を自分の責任だと思いこんでいるんだ・・。親父さんに暴力を振るわれていたおふくろさんを見捨てるように俺のところに来てしまった自分を・・・現実から逃げてきてしまった自分を心の中で責め続けているんだ」

ヴィルヘルム「でもクロイのおふくろさんは病気で・・」

パク「心労が絶えなかったのさ。そんなことお構いなしに親父さんは酒に溺れて死んじまった。結婚式にクロイの親父さんがいなかったのはお前らも知っているだろ?それでもおふくろさんはそんな親父さんのことを愛していたのさ。だからおふくろさんは親父さんを追うように・・・・クロイもまた、そんな両親の関係を納得がいかずとも理解していたからこそ、余計に辛いのさ・・・」

ムーア「クロイは悪くない。もちろんパクもね」スッ・・(俯く彼に手を差し伸べる)


バガァ~~~~~~~ンハッ
(静寂を打ち消すように「元気良く」ボロドアが蹴り破られる音が)


クロイ「ハァ~~~~イ!!みんな卒業おめでとう♪」(肌の露出が多い安っぽいメイドシリーズレプリカを身に纏った相変わらず小麦肌系ギャルが出前箱両手にインしてくる)


し~~~~~~~~~~~ん・・(おそらくは口を開けてクロイを見つめているのであろう、まるで時間が止まってしまったかのように白々しい空気が流れる)


クロイ「ごめん・・・なんか感動的なシーンをぶち壊しちゃったみたいでタラー

パク「いや、そうじゃないんだ。こいつらも、もう卒業かってね。さぁ、みんな食べてくれ。・・・って、モールの食事を食べ飽きてるお前らには、珍しくはないと思うが・・俺の奢りだ」えっへん

ヴィルヘルム「順調にやってるみたいだな。うちのパパも褒めてたぞ」ガバン!!(と、壊れるんじゃないかというくらいの馬鹿力で出前箱の蓋を開けるクロイ。また出前箱には「老山麺(らおしゃんめん)」と大陸文字で刻まれているのが確認できる)

クロイ「まぁね。あんたには感謝している。もちろんバールボーンにもね。何やっても続かなかったあたしにも、ようやく天職が見つかったんだって。ま、薄暗いモールの中で注文ばっかり取っているよりかは、出前の方が向いてるし」ガタン!ガタン!(と、えらい雑に中華料理風な皿を次々とテーブルに置いてくる。もちろんスープ的なものは豪快に溢れている)

ムーア「ケイシーは?相変わらず「へんてこなメガネ」かけてる?」

クロイ「あんたに言われた通り、レンズの色を抹茶色に変えた途端、料理の才能が開花したって、わけのわかんないこと言ってるわよ。これ。彼、自慢の刀削麺。この前、ミナガルデ出身の狩人が来店した時にね、彼の料理に感動して、へんてこな刀をくれたの。なんでも伝説の美食家が飛竜を食べるために用意したとかっていう・・・忘れちゃった。どうぞ」(おそらくシエロツールかニールイタメールのことを言っているのであろう。でっかいラーメンどんぶりを各々の前に置いていく。もちろんスープをこぼしながら&親指を突っ込みながら....)

キンババ「みんなしっかりやってるみたいだね。最も、僕らもこれからは自分で稼いでいかないといけないわけだし・・」とほほほほ(と、麺をすする後ろで微笑むクロイ)

ムーア「頑張れ、新米講師さん」バチぃ~~~~んハッブーーーーアセアセ(馬鹿力でキンババの背中を叩くと当然の如く麺を吹き出す)

パク「そういうお前は?ハンターなんてやめておけ。ろくなことないぞ」ズルズルズルズル(淡々と担々麺を)

ムーア「分かってる。暫くはおうちの手伝い」ガソリ・・(目の前のガッツチャーハンをレンゲいっぱいにすくい上げながら)

クロイ「あんたが修練場のリーダーにねぇ・・・・」ひょっ(麺をすする旦那の膝の上に飛び乗る。それでも果敢に麺をすすり続ける若き旦那)

ムーア「盟主様とお呼び」お~~~~ほほほほほほ!!(口に入れたチャーハンがキンババとヴィルヘルムの顔面に)

クロイ「それって信仰なわけ?どんな訓練してんの?あんたの家族って」ふきふき(必死に汗をかきながら麺をすする旦那の前髪を掴み上げ、汚れた額を袖で拭いてやりながら)

ムーア「狩人道、多種多様な信仰、はたまた学問。つまり己を磨くあれやこれや」ふ~~ふ~~(とレンゲ上のチャーハンを)

クロイ「絶対無理。自給自足なんでしょ?だったら配偶者に早く偉くなってもらって王都に引っ越す方が楽だし♪」ズルズルズルズル(麺をすすりながら嫁を睨む旦那。よく見ると、嫁の胸元にはネームプレートが付けてあり、そこには大陸文字で「クロイ・カールトン」と記されている)

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ふむ・・(と、それを見つめている)

クロイ「ああ、名前でしょ?結婚したのに、なんで旧姓のままだって」ズルズルズルズル

ムーア「んーーー・・・・うん・・」ふ~~ふ~~

クロイ「いいのよ。あたしに気を遣わなくっても。これは両親には関係ないことだし。ほんとはね、パクの名字に変えようと思ってたんだけどねぇ~」

ムーア「??」

パク「ほら、王妃様の影響さ。彼女は王族の名前を継承しないで、王墓に返却の弔意を記して一代限りの女王として君臨したろ?それが「カッコいい」んだと」ズルズルズルズル

ヴィルヘルム「なんだ?王室マニアだったのか?だったらプリムを紹介・・」バチぃ~~~~んDASH!(食い気味に視点の主が相変わらず口の軽い彼の頬を何の躊躇もなくおもいきりひっぱたく。当然、彼が食べかけていた餃子のあれこれがパクの顔面に飛び散る。「あちっアセアセ」って顔する可愛そうなパク)

クロイ「??」

キンババ「そうそう!王妃様っていえば、ムーアの卒業論文、読んでくれた!?」(話をごまかすように)

パク「我が子の書いた作文のように何回も」よっ(と、背後にあるサイドテーブルの上からボロボロになった新聞紙の切れ端を取り上げる)


パサッ・・(テーブルに置かれた紙には以下の文面が大陸文字で...)



~輝竜革命とクイーン・ドラグライトの誕生
皇太子妃プリム・クラーラは先王病没後、それを追うように病没してしまった皇太子を見届けた直後、王権を握り西シュレイド王国史上初の女帝となって専横を振るったヘヴォサヴォーン公エヴェンストレン・ヤランコヴィチの不正を糾弾、先王に忠誠を誓った大臣らと共にヘヴォサヴォーン公の不義不徳を暴き(皇太子毒殺事件の首謀者であること、賄賂による兵権奪取等の罪状)、これを公にすることでヴェルド市民ならず外街市民の支持も獲得。これに業を煮やした王都と外街の市民はヘヴォサヴォーン公より王権返還を求め、輝竜宮殿を包囲。王宮の警備を司る衛兵も皇太子妃に誓いを立て、王宮に押し寄せてきた市民らを先導、逃げ惑う女王一派を捕え、王権譲渡をヘヴォサヴォーン公に誓わせ、同じく収賄によって財産を蓄え宮廷内にて権勢を強めていたヤランコヴィチ一族から兵権を取り上げ、これを一掃。ヘヴォサヴォーン公共々、シュレイド地方より永久追放とした。これがヴェルド史上初の政変、輝竜革命である。この革命後、プリム・クラーラはブロロガティの名を継承せず太子の王墓に返却の弔意を記し、一代限りの女王として君臨。王権と共に一時的に兵権を保持。治安維持に関する執行権の見直しなど、王都の再建を図る。



クロイ「ほんと意外だった。あんなに勉強嫌いだったあんたのレポートが学級新聞に掲載されるなんてね。ま、ポレット先生も首を縦に振らざる得なかったんでしょうね。だって、あんたは最初から頭の良い子だったもの」にこっ






Recollection No.5_121






パク「俺も外街のみんなと一緒に王宮へ乗り込んだが、興奮のあまり、周りはよく見ていなかったからな・・・まさかお前が影で指導していたなんてわけじゃないだろうな?」じーーーーーーーーー

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ハフハフハフ(ごまかすようにチャーハンを喰らいだす)

パク「なんてな。ひとまず卒業おめでとうだ!!」


カティ~~~~~~~んキラキラ
(各々グラスをかち上げ乾杯する)


To Be Continued







★次回ストーリーモードは12/10(木)0時更新予定です★