カタ・・カタ・・(馬車の荷台に先程までティータイムに使っていた円卓を片付けている従者をなんとなく見つめている。また、彼女の傍らでは運んできた椅子を荷台に積むのを手伝っているヴィルヘルムとキンババの姿も)


ムーア「はぁ・・すっかり遅くなっちゃったね。時間、平気?っていうか・・旦那さんは・・?」(隣にいる喪服姿の皇太子妃を気遣う)

プリム「お気遣いなく。皇太子は今日も武芸の稽古に出かけています。お互いに必要以上の干渉や詮索はしないようにしていますので、ご安心を」にこっ

ムーア「・・・・・そっか」


ガヤガヤガヤガヤガヤ・・・(街の広場の方へ目を傾けると号外を配布する新聞屋に群がる市民の姿が遠目に見える)


ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・」ガヤガヤガヤガヤ・・

ヴィルヘルム「さっき頂戴してきたぜ」ポスッハッ(ボロボロに丸められたタブロイド(紙の上には「ロイヤル・ピープル」との印字が)を軽く叩きつけるようにバトンタッチしてくる)

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」バサッ(それを広げてみると見出しは以下のように)




謎の焼死体、身元判明 シモネタンヌ・パンチラーノ

先日、火災が起きたヴァイデンフェラー家の倉庫内にて発見された焼死体の身元が判明した。鑑定の結果、火災事件後、行方不明となり捜索依頼が出されていたシモネタンヌ・パンチラーノ氏であることが判明。パンチラーノ家といえば、代々ロイヤルスクールでジョストのコーチを務める名家として知られており、その御曹司が火災現場で焼死体となって発見されたということになるのだが、彼が火災事件と関係があるのかは現在も調査中である。




ヴィルヘルム「とんでもない置き土産を残していったもんだな」

キンババ「違う!!彼女は関係ない!!」ザッザッザッザッDASH!(憤りを隠せぬまま怒り肩で歩み寄ってくる)

ヴィルヘルム「直接手を下していないにしても、シオンがニッキーの共犯であることは間違いねぇ。だろ?」(とこちらを見て言う)

ムーア「きっとその倉庫に嫌な思い出でもあったんだろうね・・・口封じに彼を誘き寄せ、「処理」をした後、王都への・・ヴァイデンフェラー家への思いを断ち切ったんだよ・・・きっとシオンもまた、そこで燃え上がる炎を見つめながら・・・」

キンババ「そんなの憶測だよ!!彼女は自分の為に、この街を出ていったんだ!!僕らじゃなく、未来を選んだんだ!!」ダッ(礼拝堂の方へ駆けていく)

プリム「どうか私には構わず彼を」(彼女の方を向くとその背後では馬車の準備ができましたと言わんばかりに従者が胸に手をあてながら控えているのが見える)

ヴィルヘルム「心配いらねぇさ。どうせ下水道で泣き喚くだけだ。最近の流行りだよ」やれやれ

プリム「彼の繊細さを治癒してあげられるのは貴方方だけです。次回からはこれをお使い下さい」スッ・・

ヴィルヘルム「お・・・パス(通行証)じゃねぇか!?すげえ!!これでもう「臭い思い」しながら来なくても良くなったな!!フォフォーーー!!」ガシッDASH!(こちらの肩を抱きながら)

ムーア「うん・・・けど、大丈夫なの?」フォフォーーー!!

プリム「顧問団が好き勝手に出入りしていることからも、残念ですが現在の王都の検問はその本来の機能を果たせていません。彼女と知己の関係にある外街と王都を繋ぐ行商人ということで」(微笑む皇太子妃の背後で軽く会釈をしている喪服姿の従者)

ヴィルヘルム「完璧な設定だ。これで直接、輝竜宮殿にも行けるってわけだ」

ムーア「そっちの方がプリムは会いにくいでしょうに。この関係は慎重に・・慎重に・・よ?」(対し微笑むプリムと舌打ちのヴィルヘルム)

プリム「現在の宮殿は混沌としております。王室に本来の権限が戻らぬ限り、それは続くでしょう」(希望の光を求めるように夕陽を見上げている)

ムーア「・・・血筋から逃れられない運命だってある・・」

プリム「??」

ムーア「前にシオンから言われたのを思い出した。だから戦わないといけないんだよね」

ヴィルヘルム「ロザリー家の末裔ねぇ・・・・未だに信じらねぇよ」ふん(と視点主)

プリム「運命の戦争・・・・シュレイドに今も残る黒龍伝説がそうであったように、このヴェルドにも変革が必要なのでしょうか・・・・ですが、災厄がなければ、本当の王国の皇太子妃は・・・」ちら・・

ムーア「やめてよ。薬物中毒者が死に際に漏らした戯言よ?まったく・・」やれやれ

ヴィルヘルム「ああ言って、俺たちに気を遣ってるんだぜ?一番ショックなのは自分なのにな」(わざと聞こえるようにプリムに耳打ちしている。それをキョトンとした表情で聞いているプリム)

ムーア「あんだってこにょ!!」すこーーーーんハッ(鋭く疾いチョップをヴィルヘルムの頭上にめり込ませる)

ヴィルヘルム「いててて・・タラーけどよ、俺たちは一人じゃないんだ。それを忘れるなよ、シュレイドのプリンセスさん達よ」

ムーア「なにこいつ、キモッ」そういうこと言うなよなムカムカ(とヴィルヘルム)

プリム「フフフフ。そうですわね。少なくとも、私は貴方方と出逢えたことが新たな運命のはじまりだと捉えています。どうかそれだけはご理解ください」

ムーア「そうやって現場の兵士にプレッシャーをかけるのも王族の仕事なわけ?」(笑顔のまま、お茶目に首をかしげてみせる皇太子妃な少女)

ヴィルヘルム「うおっしゃ!!そのクエスト、然と受けたぜよ!!俺はなってみせるぜ!!このヴェルドの英雄にな!!」バールボーン家はどうすんのさ(と視点主。横で微笑む皇太子妃)






Recollection No.5_119







トットットットットットッ・・・(偶蹄目の足音と共に少し揺れながら、日中とはまた違った存在感を放つ夜のヒンメルン連峰をぼうっと見上げながら進んでいく)


イノみゃん「フッフッフッフッフッフッDASH!」(下を向くと鼻息荒く崖道を進んでいく彼女の逞しい姿が)

さささささ(彼女の少し茶色な鬣を撫でてやると、そこに結ばれているピンクのリボンに指が触れる)

ムーア「明日は何色がいい?緑?青?黄ぃ・・」

イノみゃん「フホ~~フホ~~」トットットットットッDASH!

ムーア「黄色ね?わかった。あ、それとね、ウィッグの件。プリムに相談したら王室御用達の美容師さんに頼んでみるって」なでなで

イノみゃん「フオッフオッ♪ブエ~~~~ックション!!」ブブーーーアセアセ

ムーア「喜びすぎ♪鼻の中になんか入ったんでしょ?笑っちゃう。ププ」ズズズズズタラー(鼻をすするファンゴの口元から一匹の光蟲が慌てて飛んで逃げていく)


トットットットットットッ・・・(左手を崖にした山道を登りきった山腹の平地の向こう側に、雄大なヒンメルン山脈の大断崖を背にした白雪神殿の壮麗な姿が見えてくる)


ムーア「ここで育ったから当たり前に感じてたけど、この神殿を建てた人達・・・最初にここ来て、ここに住むことを決めた人達がいるんだよね・・」トットットットットッ・・(神殿まで続く道を色鮮やかなお花畑が包み込んでいる)

イノみゃん「ぶるるるるるるる」(降りろ、と言わんばかりに立ち止まり、頭を少し下げる)

ムーア「お花畑はお母さんが作った・・・それまでの陰気な空気を変える為・・?」ひゅうううううう・・



ファアアアアアアアアア・・・・・
(風に揺れる草花の中、光に包まれた人型のシルエットが見える)



ムーア「・・・・・ほえ・・・・・・・・・」ファアアアアアアアア



ファアアアアアアアアアア・・
(包み込む光が、こちらに正面をみせる人の姿を中心に上昇旋回しながら解き放たれると、中から清廉なピュアホワイトとビビット感たっぷりな躍動的かつ鮮やかなシアンカラーのツートンを基調にしたメイドシリーズ(純白ベースのカチューシャの額側を覆う縁、カフス上のアームバンド、ベストの色がそれぞれシアン、スカートの下地はアーガイル柄(ブルー、スカイブルー、ホワイトの三色)、裾のフリルも純白でスカートの上には同じく真っ白のエプロンを付けており、デニールの薄い茶色のストッキングの上から青みを帯びた黒のロングブーツを履いている)を着こなした女性が煌めきと共に姿を現す)



にこっ(何処か高貴な蒼いセミセレブロングに「がっぽり」メイド頭巾を被っている女性が天使の微笑みを魅せてくる)



ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・」



スッ・・・(おもむろに彼女は頭巾を取り、その尖った両耳を露わにすると、再びこちらに向かって優しく微笑みかけてくる)



ムーア「・・・お母・・さん・・・・・・」



ワンワン!!ワンワン!!
(突然、犬の鳴き声が聞こえ、その方向に首を上げると、先程、女性を包み込んでいた光が束となって上空に留まっており、鳴き声はどうやらその奥から聞こえていることが分かる)



ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」(静かに頭を下げると、お花畑から女性の姿は消えていた)


ごしごしごしごし(両目をぐうにした両手で擦る視点の主)


ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(再び目を開くと先程、女性が立っていた場所にレイアシリーズを身に纏ったルチアの姿が見える)

イノみゃん「ブッブッ!!」

ムーア「・・あ・・・・・ごめん・・・」


バッDASH!(ファンゴから飛び降りる)


ムーア「なんかあたち、疲れてるみたい。今日もありがとう」あむっ(こちらに向かって口を開けながら頭を上げているファンゴにアオキノコを咥えさせてやる)


くっちゃくっちゃくっちゃくっちゃ・・(そのままご褒美を頬張りながらケルビやポポが待つ馬小屋の方へ帰っていくファンゴの後ろ姿をぼうっと見つめている)


ルチア「どうした?ボケっとしやがって」ザッザッザッ・・(振り向くと彼女がお花畑に「気を遣いながら」歩み寄ってくる)

ムーア「うん・・・・イノみゃんもお話できたら、もっと楽しいのになぁ・・・・って、何言ってるんだろうね?」

ルチア「ああ?」



バッサバッサ・・・・バッサバッサ・・・・
(夜空を見上げると月明かりを逆光にした火竜のシルエットが山脈の向こう側へと飛び去っていく)



ルチア「ようやく、あいつの正体が分かったぜ」(彼女を見ると腕を組みながら火竜を見上げている)

ムーア「??」

ルチア「カールとドリスの子だ。間違いねぇ」


ガバッDASH!(ルチアに抱きつき、そのまま目を閉じる)


ムーア「ルチア」

ルチア「ん・・・」

ムーア「あたち、決めた」

ルチア「うん」

ムーア「お父さんに負けないくらい立派な盟主になってみせる」

ルチア「・・・・・・・・・・・・そうだな。そうなる為に、あたし達がいるんだ。手伝うぜ。そのクエスト」グッ・・

ムーア「ありがとう」



ひゅうううううううううううう
(ルチアの腕に抱かれる視点の主を祝福するようにあたたかい夜風が包み込んでいく...)



ジェイソン・ウーからのクエスト編/完


To Be Continued





★次回ストーリーモードはRecollection No.5(ムーア編)のラストを飾る第三章へ突入★
★その準備に伴い26(木)30(月)のストーリーモードはお休みさせていただき、12/3(木)(0時更新予定)より新章スタートとさせて頂きます★