ムーア「お父さんも・・・邪龍教徒に関わりが・・・?」

ベックフォード「だろうな!!僕の調査で分かったことは、彼女が属する邪龍教というのが暗黒商会と繋がりはあるが、彼女らが更に一段階、地下に潜んでいる存在だということだけだった!かつて、君の父親、アーロン・ロザリーがどういうわけか、彼女の捜索を僕に直接、依頼してきたことがあったんだが、彼もまた、彼女にいっぱい食わされていたのかもしれないね!!」カカカカカカ!!

ムーア「・・それで、そのクエストをどうしたの?」

ベックフォード「その時は依頼の内容を彼女に報告して、もちろん内密に反故にはしたんだが、まさか自分のために彼女を探す羽目になるとはね・・・若かったんだよ。僕も君のお父さんもね。だから彼女に狙われたんだ・・・」

ムーア「あんたとお父さんとじゃ、クエスト依頼の内容とその質が全然異なる。一緒にしないで」

ベックフォード「何かしらの関係性があったことには違いない。ジェイソン・ウーならその理由を知っているかもしれないが、彼もまた消息不明だ。つまり、君の両親の命を奪ったヒンメルンの災厄以後、すべてを知る重要参考人もまた失踪してしまったんだよ!!」



ザーーーーーーーーーーーーーー



ムーア「・・・そのクソ悪女もお父さんとお母さんと仲良しだったの?」

ベックフォード「神殿のみんなは彼女の素性おろか声すら聞いていない。彼女はこの仮面を被り、一切口を利かなかったからだ。それでも君のご両親やルチア達は彼女をあたたかく迎え入れていた」

ムーア「あんただって昔は純真だったからこそ、その人を信じたんでしょ?」

ベックフォード「・・・・・アーロンから彼女の捜索依頼をされた話を本人に相談した時だ・・・彼女は当時、影武者として飛躍しようとしていた僕を見て、こう言ったんだ・・。「あなたこそ、先代が望む跡継ぎだったのでしょう」・・・と・・。そして彼女はウー家の血筋を僕に期待すると言っていた・・・・だが、ウー家の正統後継者でない僕は、世継ぎなど毛頭残すつもりはなかったよ・・・」

ムーア「その人に惚れてたわけだしね。カーン様が残した伝言の意味もなんとなく分かる。さっきの手紙は読んだの?」

ベックフォード「ああ・・それだが・・・」フォッ(手紙を投げ飛ばしてくる)

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」パラ・・



仮面を被り、偽りの名と共に闇の炎にひれ伏しなさい
安らかに ジェイソン・ウー



ムーア「・・・・・・・・解釈は?」(ベックフォードは顔につけている東方戯曲の面(黒の下地の上から不死鳥のように羽ばたく火竜を彷彿させる赤を基調とした模様)をなぞるように両手で触っている)

ベックフォード「彼女が数ある面の中からこれを選び、意見を求めてきた時に僕はこう答えた。確か東方のある地域では、逝去した遺体から離れた魂を死霊から守る為、葬儀に参加した者が恐ろしい面を被るという風習がある・・と・・」

ムーア「・・つまり・・・それをつけたまま・・抵抗せずに・・」

ベックフォード「彼女は僕にジェイソン・ウーとしてこの世を去れと最後の通告をしてきたわけだ」スッ・・(小銃型注射針をこちらに向けながらおもむろに歩み寄ってくる)

ムーア「すんなりそれを受け入れるわけ?」じりっ・・

ベックフォード「彼女にとって僕はもう用済みだ。そして薬はもう届かない。それは僕の死を意味する」ザッ・・(針を向けながら一歩近づいてくる)

ムーア「治療できないの?」じりっ・・

ベックフォード「あらゆる手を尽くした。分かったことは、一度この薬を使用したら最後、薬がなくなるまでこの朽ち果てた姿で生き続けるということだけだ。だから慈悲深い彼女は、この最後の薬と共に偽りの人生に終止符を打ち、永遠の魂を開放しろと導いてくれたのさ」ザッ・・

ムーア「なぜあたちを選んだの?」じりっ・・

ベックフォード「君がアースラに似ているからだ」

ムーア「??」

ベックフォード「かつてジェイソン・ウーが、君のご両親と出逢い、善意に目覚めたていったように・・・・僕もまた過去の自分を取り戻せるんじゃないかと思ったのさ」

ムーア「勝手にあたちに希望を見出すのはやめてよね。一番最初にカーン様の言付けをあんたに伝えた時、ニッキーがあんたに向かって、収穫があったのか聞いたわよね?その時、あんたは一応とだけ答えていた。それって、カーン様の予言に彼女の言葉を見出していたから?だとすればあんたは最初から・・・」


ショッ!!(ベックフォードが左手に持つ注射針を突き出してくる)


ガシッハッ(その骸骨のように細い手首を右手でしっかりと掴んで制御する)


ベックフォード「ジェイソン・ウーはフランク・ヴューラーとして生まれ変わり、神殿のいち修練者として君の父上や母上と交流を深め、本当の自分を見出していった・・!!」ググググググ・・!!

ムーア「おトキさんは、フランク・ヴューラーのことをお父さんの親友だと言っていた・・!みんなはジェイソン・ウーだと知っていたの・・!?」グググググググ・・!!

ベックフォード「君のご両親、それにルチアはな・・!おトキさんもまた、私とジェイソンの云わば交代儀式の場にも居合わせたが、賢い彼女のことだ・・空気を読んで、見てみぬフリをしてくれていたのだろう・・!だから君にもそれを言う必要はないと判断しただけさ・・!」ググググググググ!!

ムーア「違う・・悪名があろうともジェイソン・ウーは今のあんたよりは誠実な人だったのよ!!」グンッ!!(両手で注射針を持つベックフォードの左手を持ち上げる)

ベックフォード「邪推だ!!ルチアはフランク・・・ジェイソンに惹かれていた!!彼女はジェイソンを恨んでいる!!」

ムーア「それはあんたの方でしょう!?ルチアはジェイソン・ウーに近づくなってあたちに忠告した!!それは本当のジェイソン・ウーじゃなくて、あんたの事だったのよ!!」


ズザザザザザザザザザ!!
ブオーーーーーーーーン!!

(両手で左手首を掴んでいる視点主を引きずり回すように旋回して薙ぎ払うベックフォード)


ムーア「クッ・・!!」ドシャーーーーーンハッ(背中から壁に激突して尻もちをつく)


カタカタカタカタ・・・・(背にしている壁を見上げると、例の先代の肖像画が微かに揺れ動いている)


ムーア「・・・・・・??」カタカタカタ・・・

ベックフォード「そうだ。彼女は間違っていなかっただろ?なぜなら、今の僕はモンスター以上の力を持っているからだぁああああああああ!!!!!!」ボギャアアアアアアア!!!!(飛竜さながらの咆哮をあげると応接間全体が振動で揺れ動き、視点主もまた音の衝撃により後頭部を壁に打つ)

ムーア「クソッ・・・!!」ブンブン(壁を背もたれに尻もちをつきながら意識をはっきりさせるように首を左右に振る)


そのまま奴をひきつけろ


ムーア「!?」(壁の向こう側から聞こえてきた聞き覚えのある女性の声に反応する)

ベックフォード「さぁ、君も僕と同じ苦しみを味わえ・・・そして共にこんな絶望しかない世界から旅立とう」ザッ・・

ムーア「・・・最後に聞かせて。ヒンメルンで起きた災厄について知ってることは?」

ベックフォード「当時、僕は神殿にはいなかった。ルチアからは雪崩に襲われたと・・・それからおトキさんと吾郎さんは彼女に、雪崩の後、黒い龍が空を逃げていくのを目撃したと言ったそうだ」

ムーア「・・・・・・・マモーナス・・・」(小さい声で呟く)

ベックフォード「その証言が真実ならば、ヒンメルンの災厄もまた、大いなる竜の災厄と同じ結末となる。つまり、アーロン・ロザリーも憎しデーモン・ロザリーと同じ末路を辿ったことになるが・・・果たしてそれがロザリー家の因果なのか・・・だが、そんなお家問題も君にはもう関係ない」ザッ・・(小銃型注射針を向けながら近づいてくる)

ムーア「あんたもね。最後にウー家のご先祖様にさよならしたら?」(自身の頭上にある肖像画の方向に目配せして知らせる)

ベックフォード「歴代のウー家当主達は僕のことを大歓迎するだろう。だが、僕は彼らのことを何も知らないし、興味もない。なぜなら僕を選んだのは彼らではなく、彼女だからだ」ん~~~~~(と視点主の上から壁掛けの肖像画をからかうように覗き込む)


それはあたしのことかい?執事のぼっちゃん


ベックフォード「?!」




ズシャアアアアアアアアアン!!
(視点主が振り返りながら頭上を見上げると同時に壁の向こう側より、一対のデュアルトマホークが肖像画を切り裂きながらそれを覗き込んでいたベックフォードの喉元をそれぞれの刃で交差しながら掻っ切っていく)




ベックフォード「カハッ・・・・・・・・・・」じりっ・・じりっ・・・・(乾ききった喉元からはもはや鮮血すら吹き出てはいないが、ダメージは効いている様子で千鳥足のまま後退していく)


バガン!!(後ろを振り返ると肖像画の枠を叩き壊しながら、「例の個室」より、翠光眩しいレイアシリーズに身を包んだルチアが飛び出してくる)


ルチア「クソベックフォード。あたし「ら」の愛娘に手を出した代償は高くつくぜ」グシャッハッ(レイアグリーヴのサバトンで床に落ちている「切り刻まれた先代の肖像画」を顧みることなくその顔面を踏みつけながら着地してくる)

ベックフォード「ルチ・・・・ア・・・・・・・・・」ぷらぷら・・(今にももげそうな首をふらつかせながら彼女であることを確認すると、すがりつくようにこちらへ近づいてくる)

ルチア「もう何年も見ないうちに見違えたな。安心しな。昔の誼みだ。あたしがひと思いに・・」


バッDASH!(言葉が終わらぬうちに彼女が右手に握っているハンドアックスを奪う視点の主)


ベックフォード「そうか・・・君の心に潜む残虐性・・・それこそ彼女が抱いていた・・・混沌の闇であったか」ぷらぷら・・(真っ黒に染まった両眼にハンドアックスを右手に振りかざした悪鬼羅刹の少女が投影されている)

ムーア「死ね。ゴミ」






Recollection No.5_117






スコォーーーーーーーーン!!
(躊躇なく斜めに振り下ろした片手斧により、仮面をつけたままの頭部が胴体より切り離され、無残にも遠くへ吹っ飛んでいく)



ゴッハッ
ゴロゴロゴロ・・
(飛んでいった首は壁に鈍い音と共にぶつかると、だらしなく床の上を転がっていく)



ムーア「F××K!!」ブッアセアセ(その首に向かって。視界の端に映るルチアは「やれやれ」モーション)


To Be Continued






★次回ストーリーモードは11/19(木)0時更新予定です★