ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・・・・・
(石柱の陰から次第に淀んでくる空模様を見上げている。また視界上に映る建物の構造から、現在地がいつもの礼拝堂に繋がる回廊であることも窺える)


シオン「さっきまであんなに晴れてたのに・・・」(視線を下げると石柱の前で腕を組みながら空を見上げている彼女の姿(いつもの王都ver.)が)

ムーア「最悪。あたち雷だいきらい。・・・て、アポロンも好きな方じゃないけど・・大丈夫かな・・」(と曇空の向こう側を気にかける)

シオン「ちょっと。乗って帰ってきたってわけ!?昨日の今日なのよ!?」


ガヤガヤガヤガヤガヤ・・・・(回廊の奥に目を向けると王都の市民数名がおそらく昨晩の出来事に関する各々が持っている情報を交換しあっているのだろう騒然とした光景が見える)


ムーア「大丈夫。今頃はヒンメルンに戻ってる頃。もし「置いて来ちゃった」ヴィルヘルムとキンババを見つけたら、こっちの近くまで運んできてとは言ってあるけど」ザッザッザッザッ・・(目の前をガーディアンシリーズに身を包んだ警備兵達が通り過ぎていくことから、現在の王都が物々しい雰囲気であることも見て取れる)

シオン「それがダメなの!」キィ~~~っムカムカ

ムーア「あんただってアポロンが話しているのを見たでしょ?少なくとも彼はここにいる連中よりずっと賢いし、道義心もある。大変だったのよ?自分もウー家に「殴り込み」に行くって。説得するのに苦労したんだから」ほら(と、両手のひらを広げてみせると、おそらくは昂ぶる火竜の刺々しい頭をおさえて説得したのだろう、ブスブスと棘が刺さった痕が多数残っている)

シオン「もういい・・・・」はぁ・・(石柱を背もたれにぐったり俯く彼女の顔は疲れ切って見える)

ムーア「あんた悔しくないわけ!?それじゃあゴルゾンだって・・」

シオン「私を庇って死んだの!!目の前で!!あなたにこの気持が分かる!?」

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ザッザッザッザッ(何も答えられず俯く横をガーディアン達が通り過ぎていく)

シオン「飛竜に頼らなくたって私達だけでうまくやれてた!計画を台無しにしたのはあなたよ!?」(涙目でこちらを睨んでくる)

ムーア「・・あたちは・・・・みんなのことを思って・・・」

シオン「その後先考えない感情的で稚拙な行動が悲劇を齎すって、どうして分からないわけ!?」

ムーア「うるせぇ!!ゴルゾンが死んだのをあたちのせいにしようって言うわけ!?あんたがもっとしっかりしてれば、ゴルゾンだって一緒に生きて帰って来れたのよ!?」


フオン!!
ガシッハッ

(反射的にシオンが振りかざしてきた右手の平手打ちを瞬時に左腕でガードする)


ムーア「感情的なのはどっちさ!?あんたも悔しかったら敵討ちのことだけを考えなさいよ!!」ブン!!(力強くシオンの手を払いのける)

シオン「はぁ!?誰に!?全員に報復しろってわけ!?」(背後に見えるガーディアン達を指差しながら)

ムーア「とぼけないで!!ゴルゾンを助けられなかった自分自身の不甲斐なさによ!!そしてこの一連の騒動を引き起こしても尚、塀の中でぬくぬくと傍観し続けているあいつに一矢報いるのよ!!」(視界の右端に映るウー邸を指差す)


ポツ・・・ポツポツポツ・・・・ポツポツポツポツポツ
(互いに息切れしながら睨み合う二人の間に雨が降り注いでくる。同時に周囲の目がこちらに向けられていることにも気づく)


ムーア「バカバカしい」ドサッ・・(石柱を背もたれに呆れながら目線をアーチ型回廊の芸術的な天井に向ける)

シオン「こっちの台詞。自分だけが背負っていると思わないことね。それが自意識過剰だっていうの」ドサッ・・(隣にもたれかかってくる)

ムーア「そうやって人のことばっかり言う奴こそエゴイスト。自分こそ、もっと周りに順応できるように訓練すれば?」

シオン「へらず口」

ムーア「わからず屋」


はぁ・・・・・(視界の隣に見えるシオンと同時にがっくし肩を落とす)


シオン「ゴルゾンさんはもう帰ってこない・・・・」

ムーア「だから生き残ったあたち達がしっかりしなきゃダメなのよ」


はぁ・・・・・・・こちんハッ
(互いに俯いたまま、同時に拳を差し出し、それを突き合わせる)






Recollection No.5_111







ザーーーーーーーーーーー
(回廊から見上げる王都の空はすっかり雨雲に覆われてしまっている)


ムーア「おっそいわね・・ニッキーのやつ」スゥ~~~・・(と例のシガレットを吸いながら)

シオン「噂をすれば・・・見て」


ザーーーーーーーーーーー(彼女が見ている視線の先に首を傾けると、いつもの見慣れたロイヤルスクールのフード付きロングコートを着ているニッキーの後ろ姿が見え、同時に傘を持たない彼がそのフードを被らず雨に打たれていることに一瞬、違和感を覚えるのであったが、彼の目の前に立つ、黒い重厚な傘を差している黒茶のローブを纏った見るからに名家の紳士と何やら口論をしているその様子から、彼が置かれている状況をすぐに察することができる)


ムーア「誰?」

シオン「現ヴァイデンフェラー家の当主。つまりニッキーのお父様」


ザーーーーーーーーーーー(何やら説明しているニッキーに向かって叱責する父親)


ムーア「聞いてた通り、良い関係・・とは言えないようね」


ザーーーーーーーーーーー(口論する父子の間にニッキーと同じくロイヤルスクールの制服を着た少年が仲裁するように割って入ってくる)


ムーア「あの坊っちゃんは?」

シオン「義理の弟」

ムーア「ああ・・愛人の・・・一緒に暮らしてるわけ?」

シオン「母親は病気で亡くなったみたい。孤児ってことにして養子に迎えたみたいだけど、奥さんにはとっくにバレているみたい」

ムーア「辛いね・・その暗黙の重圧が・・」


ザーーーーーーーーーーー(義弟の説得が効いたのか、彼の肩を抱きながら共に引き返していく父親。ニッキーはその光景をまざまざと見せつけられている)


ムーア「酷いね。わざと愛情を弟に傾けて見せてる」

シオン「彼の立場を理解できたでしょ?少しは優しくしてあげる気になった?」

ムーア「あんだってあたちが。あんたの仕事でしょ」

シオン「嘘でしょ?あなた、彼の気持ちに気づいてないわけ?」

ムーア「ブ~~~~~~~~」プルルルるるるるアセアセ(はぐらかすようにリップロールしてみせる。もちろんすんごい唾のエアロゾルを噴射させながら)


ザーーーーーーーーーーー(すごすごとニッキーがこちらに向かって歩いてくる)


シオン「ほら。声かけてあげなさいよ」

ムーア「だぁ~ってろっての!」ブ~~~~~~アセアセ(それを瞬時に避けるシオンの悲しき条件反射)

ニッキー「遅くなってすまない」ザーーーーーー(前髪に雨を滴らせながらようやく屋根のある回廊へ入ってくる)

ムーア「なに揉めてたの?」はぁ・・そんなストレートに・・(と、頭を抱えるシオン)

ニッキー「少々厄介な事になった」ほら・・(と、シオンがハンカチを貸してあげる)

ムーア「あんだって?」

ニッキー「パンチラーノだ。あいつが今朝、突然、俺の家に来て、昨晩の舞踏会で騒ぎを起こしたことを親父に密告されたくなければ金を支払えと要求してきたんだ」やれやれ・・(と意気消沈のまま、ハンカチで顔を拭う)

シオン「嘘でしょ?脅迫してきたわけ?」ありがとう(と、シオンにハンカチを返すニッキーの顔はいつもの表情に戻っている)

ニッキー「だから力づくで追い返してやった」(少し腫れた右拳を見せてくる)

ムーア「ププッ・・世話ないね。それをお父様に見られたんでしょ?」

ニッキー「2階の窓から覗いていた弟の告げ口さ。だから急いで出てきたんだが、しつこく親父が追っかけてきたってわけ」ふぅ~~~~~~

ムーア「どこの親も一緒ね。で、なんて答えたの?」

ニッキー「あいつは薬のやり過ぎでイカれているから信用するなってね」フフ(とシオン)

ムーア「それで納得したわけ?」

ニッキー「しないさ。仮にもあいつはロイヤルスクールと縁の深いパンチラーノ家の坊っちゃんだろ?親父としてはこれ以上、俺に粗相をしでかされたらたまらないってわけ。その蓄積が爆発したのさ。なぁ~~に。今に始まったことじゃない。とっくの昔にあいつの説教は俺の心にはもう届かない」

ムーア「そんな悲しいこと・・」

ニッキー「そういう関係なのさ。それより問題なのはパンチラーノだ」

シオン「あの現場にいたのを目撃されているしね・・」

ムーア「昨日、あんたがしっかり討伐しておけばよかったんだよ。たかが相手は普通のランスだったわけでしょうに」

ニッキー「それに関しては俺も猛省している。事故にかこつけて、口封じをするべきだった・・ってね」

ムーア「え・・?」

ニッキー「昨晩でどれだけここにいる連中の性根が腐っているのかは君等も見ただろ?ここにいるのはうんざりだ。ロイヤルスクールを卒業するまで俺はもう待てない。だから後片付けをするのさ。ゴルゾンに対するけじめも含めてね。心残りは・・・・」ちら・・(とこちらを見つめてくる)

シオン「ちょっと。何を考えているの?」

ニッキー「区切りをつけるにはちょうどいい機会だ。悪いが今日の報告会には顔を出せない。君だって、いつまでも王都にいるつもりはないだろ?」

シオン「そうだけど・・・」

ニッキー「キャロルムーア。君に出逢えて本当に良かった。また何処かで・・・再会できることを・・・」


スッ・・・・(その場に片膝をつき、視点主の手を取り、その甲にキスをする)


ムーア「ニッキー・・・・あんた・・・・街を出るつもり!?」

ニッキー「またな。キャロルムーア」にこっ


ダッ!!(颯爽と雨の王都に駆け出していくニッキー)


ムーア「嘘でしょ!?」バッ(追いかけようとした瞬間、シオンが割って入ってくる)

シオン「ここは私に。あなたはウー家に。いいわね?」ザーーーーーーー

ムーア「待って待って!!突然過ぎてわかんないよ!?」ザーーーーーーー


ギュッ(シオンが強く抱きしめてくる)


シオン「どんなに離れても、どんなに辛い状況でも、いつも心は一緒・・。またね・・・キャロルムーア」


バシャッ!!(回廊から雨の王都へ飛び出していく)


ムーア「シオン!!」



ザーーーーーーーーーーーーーー
(降りしきる雨の向こう側に消えていく親友の後ろ姿)



ムーア「シオーーーーーーン!!!!」




ザーーーーーーーーーーーーーー




ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・」ザーーーーーーーー



キッ(鋭い眼光で雨のカーテンに遮られたウー邸を睨みつける)



ムーア「今、分かったわ・・・・あんたは、この結末をそのお城のてっぺんから覗きたくて、あたちにクエストを依頼したんだってね・・・・」


バシャッ!!(雨に濡れた地面を踏みつけるように一歩踏み出す)


ムーア「決着をつけようじゃないの!!ジェイソン・クソ・ウー!!!!」


To Be Continued






★次回ストーリーモードは10/29(木)0時更新予定です★