$あたちのモンハン日記
ドガアアアアアアアアアアン!!



ムーア「ゴルゾォオオオオオオオオオオオン!!!!!!」


フオン!!フオン!!フオン!!
(無情にも垂直浮上していく火竜の首に跨りながら、モクモクと白煙が上がる庭園エリアを見下ろしている)


キンババ「シオンは!?シオンはどうなっちゃったの!?」(視点主の背後にライドしている彼が身を乗り出してくる)

ムーア「止まって!!アポロン!!」


フオッ!!フオッ!!
(相棒の指示通りその場でホバリングを開始する火竜の首上から見下ろす庭園エリアはすっかり白煙に覆わてしまっている)


ムーア「ゴルゾン・・・・!」



モワモワモワモワモワ・・・・・
(霧のような煙が次第に晴れていくと、中から気絶しているのだろうシオンに肩を貸しながら必死に逃げてくるニッキーの姿が見えてくる)



キンババ「良かった・・・・」

ムーア「ゴルゾンがいない・・・・ねぇ!!ゴルゾンは!?」(届かないであろう遠方のニッキーに向かって叫ぶ)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(右腕でシオンを支えているニッキーは空いている左手を掲げ、こちらに向かって「行け」と指示を促してくる)


ムーア「ダメ!!ゴルゾンは!?」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(その悲痛の叫びは届いていないまでも彼女が何を一番に知りたいのかは察しているのだろう、俯きながら首を左右に振って答えるニッキー)



ムーア「嘘・・・・・ゴルゾンが死ぬわけない!!」

ヴィルヘルム「・・あれを見ろ!!」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(並木通りの向こう側から都の衛兵達が応援に駆けつけてくるのが見える)



ヴィルヘルム「まずいな・・・」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(ニッキーはシオンに肩を貸しながら、半ば彼女の両足を引きずるように並木通りの木陰を利用しつつ都側へ逃げていき、対象的に応援に駆けつけてきた衛兵達は並木道のメインストリートより、彼らに気づくこともなく一直線にこちらに向かって走ってくる)



キンババ「なんとかやり過ごせそうだね」

ヴィルヘルム「タイムリミットだ。行くぞ」フオッ!!フオッ!!(ホバリングしている火竜に声を掛ける)

ムーア「待って!!ゴルゾンは!?」

ヴィルヘルム「あきらめろ。今は逃げる方が・・」

ムーア「ゴルゾンがあれくらいで死ぬわけない!!」

ヴィルヘルム「見ろ!!」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(白煙が上がっていた地点に目を向けると、ぽつんと残された大砲の横で仰向けに気絶しながら倒れている衛兵一人の姿が確認でき、砲口先には黒焦げになった「人型の異物」がほのかに黒煙を放ちながら芝生の上に転がっているのが見える)



ムーア「あああああああああああああああああ!!!!!!






Recollection No.5_108






ヴィルヘルム「離脱するぞ」あああああああああああああああ!!!!!!

ムーア「殺してやる!!!!殺してやるぅあああああああああ!!!!!」ガシッハッ(背後からキンババが必死に取り押さえてくる)



アポロン「どうするんだ?お前が命じれば俺はいつでも攻撃を開始するぞ」フオッ!!フオッ!!


ヴィルヘルム「煽るな!!ゴルゾンさんの死を無駄にするつもりか!?」フオッ!!フオッ!!

ムーア「アポロン!!あいつらを皆殺しにして!!」

キンババ「シオン達はどうなるの!?ここで報復すれば、みんなが不幸になる!!」

アポロン「そしたら幸福が訪れるまで戦い続ければいい」

ヴィルヘルム「黙ってろって言ってるんだ!!いいか!?ムーア!!今は生きて逃げることが最優先だ!!それがゴルゾンさんの望みだってことはお前が一番分かってるだろう!?」

ムーア「・・・・・・ゴルゾン・・・・・」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(喪失感と共に俯くと、視界の左下に映る庭園エリアに駆けつけてきた衛兵達に事情説明をしながら、こちらを指差しているパンチラーノの姿が確認できる)



キンババ「僕らが乗っているってことがバレちゃったのかな!?」

ヴィルヘルム「この暗さだ。よほど目がよくなければ目視は不可能だが・・双眼鏡で確認されないうちに逃げるぞ。あのクソ貴族の対処は後だ」

アポロン「いいのか?ムーア」フオッ・・フオッ・・

ムーア「・・・・・行って・・」

アポロン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


フオンフオン!!
(力強い羽ばたきをみせる火竜と共に浮上していく)


ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(俯く背後からキンババが彼女の両肩を優しく擦っている)

ヴィルヘルム「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(顔を少し上げると、前にいる彼が振り返りながら後方をじっと見つめている)

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ちら・・(その方向に首を傾ける)



フオッ・・・フオッ・・・(ゆっくり上昇していく火竜の背中越しに見える輝竜宮殿のバルコニーから、プリム皇太子妃が中庭で起きた一連の騒動をすべて見ていたのかのような物悲しい表情を浮かべながら、その実直な澄んだ瞳でこちらを見送ってくれている)



ヴィルヘルム「またな・・・プリム・・」

アポロン「しっかり掴まってろ!!」



ビュオオオオオオオオオオ!!
(飛行開始と同時に軽めのソニックブームが轟き、全身に激しい空気抵抗と風圧の衝撃が走る)


ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ビュオオオオオオオオ!!

キンババ「見て!!」ビュオオオオオオオオ!!



ゴオオオオオオオオオオオ!
(俯きながら下に目をやると、シオンに肩を貸したニッキーが並木道の入り口付近の木陰に身を伏せながら逃走する機会を窺っているのが一瞬確認できる)



キンババ「シオン・・・・・」

ムーア「だいじょぶ・・・・ニッキーがついている・・・」スッ・・(背後から自身の両肩に両手を添えているキンババの左手の上にそっと右手を重ねる)

キンババ「うん・・・・そうだね・・・」



フオオオオオオオオオン!!
(ニッキー達の無事な姿を確認させたかったのか、アポロンは右の翼を掲げると左旋回をみせながら一気に羽ばたいていく)



キンババ「何処に向かうの?」

ムーア「ひとまずヒンメルンに・・・」



ゴオオオオオオオオオオオ
(高速で飛んでいく下に広がる夜の王都の灯りが所々で煌めいている)



キンババ「僕、決めたよ。宮殿に口を出せるくらい偉い学者になって、必ずこの街を変えてみせる」ゴオオオオオオオオ

ムーア「うん・・」ゴオオオオオオオオ



ゴオオオオオオオオオオオ
(右目の上から滴る流血に目を細めながら街を顧みると、一際大きな敷地を誇るお屋敷が目に映る)



ムーア「今宵起きた出来事の代償は、ゼニーじゃ補えないわよ・・・・・ジェイソン・クソ・ウー・・!!」



ビュオオオオオオオオオオオン!!
(薄れゆく意識の中、急上昇の突風に揺られながら記憶と共にブラックアウトしていく...)


To Be Continued





★次回ストーリーモードは10/19(月)0時更新予定です★