♪~~~~~~~~~~~~・・・・・・・
(泥酔しているかのような虚ろな視界に映り込む大広間では、引き続き壮麗な音色に合わせて優雅な舞踏会が行われており、視点の主はそれをボーッと見つめながら頭をクラクラさせている)


ちら・・(うつらうつらしながら、こちらには構わずディベートを繰り広げている様子のお男爵&貴婦人二人をなんとなく見つめる)


お男爵「これ以上、無駄な増築に金を提供する気はない」ふん

貴婦人A「まぁ・・今のお言葉、王妃様にそのままお伝えしますわよ!」ふん

貴婦人B「もっとやりなさいよ。大臣達もサロンから引っ張り出してきてあげようか」(こちらもまた視点主同様、虚ろな目をしたまま、ワインが注がれたグラス片手に野次を飛ばしている)

お男爵「頭の凝りが固まった懐古主義の御老体は早々に隠居するべきだ」クッ(こちらも飲みかけのグラスを一気に飲み干す)

貴婦人A「顧問団とは聞こえの良い・・・軍事顧問だと素直におっしゃればよいのに」

お男爵「兵権が欲しいのはそちらもそうでしょう」フッ・・

ムーア「兵権・・・・」ピクッ

貴婦人B「だいたいが抵当に兵権をあてる方が悪いわ」

お男爵「まったくもって。最も、そういった宮廷内のスキャンダルを必死に隠しそうと努力しているのもまた、大臣らのおかげだがな」ぶはぁ~~~

貴婦人A「致し方ないことですわ。ご安心を。かの者もまた、容態がよろしくないともっぱらの噂・・・・直に王宮に権限が返却されますわ」

貴婦人B「それってジェイソン・ウーに跡継ぎがいないから?じゃあ、あたしが立候補して今から子作りでもはじめようからしら。ちょっと!早く新しいお酒持ってきて!!」(遠くでせかせか働いている健気なウエィターアイルーに怒号を飛ばす)

ムーア「ジェイソン・ウー・・・・・・・」うつらつらつら・・

お男爵「問題は、その兵権を次に誰が手にするかだが・・・・」


ごすっハッ(背中から聞き覚えのある「鋭めなエルボー」の鈍い音が)


はっハッ


バッDASH!(慌てて後ろを振り返ると、何事もなかったかのように背を向けて歩いていくシオンの後ろ姿が)


ムーア「クエスト!」


♪~~~~~~~~~~~~・・・・・・・
(こちらを見つめているお男爵ら)


ムーア「おほほほほほ。ちょっとおぶどうのジュースが強すぎたかしら」コポコポコポコポ・・(ウェイターアイルーが視界の右下から視点主が右手に持っているグラスに新しいおぶどうのそれを「背伸び」しながら注いでくれる)

貴婦人B「面白い子。(男爵を見ながら)もっとあげれば?」

お男爵「気分が優れないようなら休憩室にご案内しますが?」コポコポコポ・・(こちらは本物のワインを注いでもらっている)

ムーア「大丈夫ですわ。それよりお話の続きをどうぞ」スッ・・(話しながらアイルーにチップを渡す)

ウェイターアイルー「え・・こんニャに・・・」(肉球の上の銀貨を見つめながら)

ムーア「見つからないようにしまっておきな」こそっ(アイルーの猫耳にそっと助言する)


ぺこり
したたたたたたたたDASH!(ウェイターアイルーはこちらに向かって一礼すると足早にキッチンの方へ消えていく)


貴婦人B「ミナガルデでは、みんなそうなの?」(座った目で聞いてくる)

ムーア「皆というわけではないと思いますが、彼らにもまた夢や目標があるはず。彼らにもまた教育を与えるべきだとあたち・・私個人は思います」


ちら・・(それとなくシオンの方に目をやると、パンチラーノのしつこいアプローチを受けながらも耳はこちらに傾けているのであろう、おぶどうのジュースが入ったグラス片手にご満悦の表情を浮かべている)


貴婦人A「ロイヤルスクールに獣人を?それはまた面白い御冗談を。うおもほほほほほほ!!」(その馬鹿笑いの音量に頭がクラっとする視点の主)


ぎぃっ・・・ムカムカ
(シオンの方を見ると当然、「ぎぃ」の鬼の形相)


貴婦人B「誰?」(シオンのことを言っているようだ)

お男爵「プラウズ家のご令嬢だよ」クッ(グラスに口をあてる)

貴婦人B「ふぅーん・・・って、あんまんスキー婦人への態度といい、まさか、そっちの趣味も?」

貴婦人A「顧問団のメンバーなのですわよね、プラウズ家も」


ちら(即座にシオンの顔を窺うも、彼女もまたそれが初耳であるかのように眉間にシワを寄せながらこちらの会話に集中している様子だ)


お男爵「当ギルドの他にも王都内の名家はたくさん参加している。ヴァイデンフェラー家もまた・・・息子さんがいたようだが・・・彼らとはどういったご関係で?」

ムーア「ああ・・・両家とは昔から交流がありまして。今宵の舞踏会のエスコートを彼らがしてくださったのです」

貴婦人B「ほら、やっぱり仮面で顔を隠していても若さは隠せないものね。このおじさんに気をつけなさい」(とお男爵を見ながら)

お男爵「むわもふへへへへへへ。それはそうと、その仮面・・・東方のものとお見受けするが・・・・確か葬儀用のものだったはず・・・」う~~~ん・・


ちらっ(とシオンの指示を仰ぐように彼女を見つめると「巻きの合図」をしている)


ムーア「おほほほほほ!!アンティークショップで見つけて即買いでしたもので。うおっと!!やはりちょっと気分が悪いようですわアセアセすみませんがお席をはずさせていただきます!あ、皆様方はこのまま宴を楽しんでください!でわでわ、あんまんジュテームな夜を♪」(以上、すんごい早口で)


すてててててててててDASH!
ふみっ
ずでぇ~~~~~~~んハッごろぉ~~~~~~~んうずまき
すてててててててててDASH!
(逃げるように立ち去り、自分のドレスの裾を踏んでしまい一度は転倒するも、勢いそのままに回避距離LV2クラスのでんぐり返しと受け身をもってシオンのもとまで一気に到着(同席しているパンチラーノはもちろん驚愕している)、合流した後、その場を逃げるように足早に立ち去る二人)






Recollection No.5_100






シオン「あなたにはしては上出来よ」ツカツカツカツカ(足早に貴族的な人混みを抜けながら)

ムーア「あんたの方はいいの?」ツカツカツカツカ(背後の視線を気にしながら)

シオン「ふざけないで。こんなつまらない社交界に参加する人間なんて相手にするわけないでしょ」ツカツカツカツカ


近々ドンドルマでWWNが開催されるらしいぞ!
嘘だろ!?ってことは現チャンピオンのBBBとハートブレイクニャンコことHBN、ビーン・マイケイルズとのタッグコンビ「B・ジェネレーションズ」も来るってことだろ!?
なぁ頼む!あんたらのコネでチケットを入手してくれないか!?


シオン「さっきあなたが話していた男といい、この王宮に良からぬ闇商人が出入りしているのは確かなようね」ツカツカツカツカ

ムーア「抜け目ないおっさんだった。今もきっとあたちらを監視してるはずよ」ツカツカツカツカ(広間の隅にアーチ状の通路が見えてくる)

シオン「あそこを抜けて行きましょう」ツカツカツカツカ


スッ・・・(豪奢な広間に比べ、少し薄暗くさえ感じる石造りの通路に入っていく)


ムーア「このへんは改築してないみたいだね」ツカツカツカ・・(歴史を感じる作りになっているアーチを平行に押し出した「かまぼこ型」の通路を見つめながら)

シオン「私はこの方が好き。あなたもでしょ?」フフッ(と笑いながら肯定する視点の主)


フゥーーーーーー・・・・(広間からの明かりが途絶えたあたりで通路の壁を背に一息つく二人)


シオン「王妃の取り巻き、摂政を務める大臣達・・それに顧問団を名乗る謎のギルド・・・」

ムーア「えっと・・・暗黒商会。そう言ってた」

シオン「三つ巴による利権争い・・・共通目的はウー家から兵権を取り戻すこと・・・・だけど・・」

ムーア「ほんとにあんたやニッキーのうちも顧問団に手を貸してるわけ?」

シオン「あたしだって初めて知ったのよ・・・まさか自分の家がウー家同様、諸悪の根源に成り下がっていたなんて・・・」

ムーア「あんたのせいじゃないよ。ここで働くアイルー達のことだって・・・」スッ・・(そっとシオンの肩を抱き寄せる)

シオン「王都の腐敗は見逃せない・・・けど・・・・・・ねぇムーア・・」

ムーア「ん・・・」

シオン「実はね、ニッキーとロイヤルスクールを卒業したら、王都を出ていこうって話をしているんだけど・・・あなたも一緒に・・・」

ムーア「・・・・・・ごめん。今はそれしか答えることができない」

シオン「そうよね・・・・あなたには胸を張って帰れる場所と、誇らしい家族がいるんだもんね・・・」

ムーア「あ、じゃあさ、ニッキーと二人でうちに来るっていうのは!?それなら話が早いじゃん!!」

シオン「それもね、二人で考えたの・・・でも、誰かの世話になるんじゃなくて、自分たちの力だけで生きてみたいの。だからシュレイドからも離れて、遠くへ行ってみようって・・・」

ムーア「東方とかアヤとか?」

シオン「もっと知らない所。あなたが修学旅行で行って、散々あたし達に自慢していたロックラックもいいかも。聞いた話だと、そっちの大陸には温泉で有名な秘境の村もあるんだって。心ときめかない?」

ムーア「モンスターハンターになれれば、きっと自由に何処へでも行ける。そうするべきだよ」

シオン「うん・・・ありがとう・・・・・・」




ワァアアアアアア・・・・・・
♪~~~~~~~~~~~
(大広間の方より歓声が沸き起こり、楽隊の演奏のボリュームも壮大になる)



シオン「王妃のご登場みたいね」

ムーア「ただの問題児でしょ」フッ・・(対し同調を示す笑みを漏らすシオン)


シオン・・・・王妃様が来られたぞ・・・・
(大広間の方からパンチラーノの小さい影が見える)


シオン「ほんとしつこい男って嫌い」

ムーア「王都は頭痛の種ばかり転がっているようね。逃げよう」

シオン「でも奥に行ったら、大臣達に見つかってしまうわ。警備を呼ばれたら厄介よ?」


お~~~い・・・気分でも悪いのかぁ~~~・・・


シオン「あんたを見たら余計に、って今にでも叫んでやりたい。どうしよう?」何をしてるんだ~~~・・(しつこいパンチラーノ)

ムーア「できればあっちにはもう戻りたくないな・・・」♪~~~~~~(大合奏のボリュームが王妃への歓声を更に盛り上げる)


??「おい、こっちだ」(聞き覚えのある「だみ声」が背後より反響してくる)


ムーア「!?」バッ

ヴィルヘルム「早く来い」(通路奥のT字路右角より、宮廷道化師の格好をしたヘボッチョ(仮面は外している)がひょっこり顔を出しながら手招きしている)

ムーア「行こう!」


ダッダッダッダッダッダッダッダッ
(シオンの手を取り、通路を駆けていく二人の背後から、大歓声に彩られた演奏隊の旋律が次第に遠のいていく...)


To Be Continued







★次回ストーリーモードは9/21(月)0時更新予定です★