ギィ~~~~~~~~・・・・(二人の門兵が背を向けながら豪壮な大扉をそれぞれ左右に開いていく先には...)


ムーア「むっ!?」(仮面越しに開眼する)



キラキョポリぃ~~~~~~~~~んキラキラ
(優雅な空間を誇る吹き抜けの間の至る所に設置された綺羅びやかな装飾(照明には無数の白い筒状のガラス細工(中には雷光虫が入っている)がぶら下がったシャンデリアで眩い白色光を再現、そこから発せられるルーメンを白ピカ大理石の床が反射させ、広間全体に眩いばかりのルクスを提供、まるで光霧に包まれたかのような神話世界的幻想空間を演出、更には広間を囲う二階の回廊各所に配置された音楽隊が奏でる美麗な弦楽器の心地よく叙情的な旋律が四方から重なり、洗練されたサラウンドとなって音場の雰囲気をより神々しく際立てる中、そのすべてに陶酔したお貴族たちが華麗な舞踏会を楽しんでいる)


ニッキー「ご感想は?」(隣から声だけが)

ムーア「・・・・・・・・・」すぅ・・・(口をすぼめて例のあれを吐こうとした瞬間)

キンババ「ダメ~!」ガバッハッブッアセアセ(横から視点主の口を塞いでくるもんだから、同時にツバをそこに吐きつける)

ムーア「まるで天界に来たかのようですわ。死にぞこないの(小声で)。お~ほほほ!!」ふきっ(よだれがついた口元をフワフワ扇で拭う。視界の端では「あ~あ・・」とぺちょぺちょになったお手を見つめている可愛そうなキンババの姿も)






Recollection No.5_98






♪~~~~~~~~~~~~
(実に「ちょうどよい」音響効果の中、それとなく吹き抜けの間を見渡す)


トットットットットットットッ・・
(奇抜な面を装着した男爵や婦人らが陽気に雑談をする間から、ウェイターの格好を「させられた」アイルーがグラスをたくさん乗せたお盆を運んでくる)


ムーア「王都にも彼らが?」♪~~~~~(獣人を目で追いながら隣のシオンに小声で問いかける)

シオン「従者・・といえば聞こえが良いけど、実際の扱いは奴隷に等しいわ。ここにいる人間たちは彼らの一生をゼニーで支配しているのよ」♪~~~~~(そう説明する彼女もまた鋭い目つきで獣人を見つめている)


カシャーーーーーーン・・・
(貴族にぶつかったウェイターアイルーがお盆をひっくり返してしまう)


ムーア「あ・・・」(床の上で粉々になったグラスをカルチャーショックの表情で見つめているウェイターアイルー。その様をまるで手伝おうとすらせず、淡々とダンスや会話を続ける貴族たち)


何をやっている!!大切なゲストが怪我をする前にさっさと片付けろ!!
(遠くからタキシードを身に纏った男が怒号をあげる)


ヴィルヘルム「気に入らねぇ野郎だな・・」

シオン「表向きは教育係。実際には暴力による調教よ」


カチャリカチャリ・・・・アニャ・・アセアセ
(ウェイターアイルーは慌ててガラス片を拾い上げるも肉球を傷つけてしまったようだ)


タッ・・・ガシッハッ
(視点主がアイルーに向かおうとした瞬間、右手首を掴まれる)


ニッキー「抑えるんだ。彼らへの気遣いはここでは目を引きすぎる」(耳元で忠告してくる)

ムーア「構わない」グッ(腕を振り払おうとするも力強く制御される)

ニッキー「ここまで順調にきたのを無駄にする気か?」


ふぅ~~~~~・・・・(視線の先ではウェイターアイルーがなんとか破片をお盆にすくいあげ、ホット一息ついている)


早くこっちへ来い!!このノロマめ!!
(たまらず飛び出してきたタキシードの男がウェイターアイルーの猫首を乱暴に持ち上げながら退出していく)


ムーア「チッ・・・!!」グッ(再びいきり立つもニッキーに止められる)

ニッキー「よせ。可愛そうだが、ここでは当たり前の光景なんだ。シオンを見習え」


ちら・・


シオン「・・・・・・・・・・・・・」♪~~~~~~(こちらで起きたことをまるで関心なさげに装いながら背を向け、風雅な音響に集中することで気を紛らわしているのであろう彼女の両手は力強く握られ、そして小刻みに震えている)

ムーア「離して」バッDASH!(ニッキーの手を振りほどきながら、彼女のもとへ歩み寄る)


♪~~~~~~~~~~~~
(シオンは背を向けたままこちらの存在を察し、顔を見上げる)


シオン「見て」


ホワホワホワホワホワ~~~~~(目線を上げると豪奢な金細工が施されたシャンデリアから吊るされた白い筒状のガラス細工の中で無数の雷光虫が神秘的な青白い発光を魅せながら舞っている姿が見えるのだが、同時に筒底で息絶えてしまった死骸の影もいくつか確認できる)


ムーア「放置してるだけなの・・?なんて馬鹿なことを・・・」ガッ(その場でジャンプして筒を開放しようとしたのだろう視点主の肩を慌てて抑えつけながら顔を近づけてくるシオン)

シオン「これもまた宮廷の現状。あなたの気持ちは痛いほど分かる。けど今は、この大陸の生命をまるで支配したかのような強欲の世界があるということを知り、どうすればこんな馬鹿げたことをやめさせることが出来るのか、私たちは改めて考える必要がある。そうでしょ?」♪~~~~~~~(旋律の性質がその音量と共にクレシェンドを魅せていく)

ムーア「大剣があればいい」♪♪~~~~~~~

シオン「力任せなやり方では旧王国と同じ運命を辿るわよ?」♪♪~~~~~~~

ムーア「黒い龍が殺しに来るというのなら、「あたし」は立ち向かうだけ」♪♪~~~~~~~

シオン「・・・キャロル・・ムーア・・・・・」♪♪~~~~~~~!!


??「これはこれは。美しい御方がいると思えば、プラウズ家の御令嬢ではありませんか」


ちら・・(首を向けると二十代前半ほどであろうか、細身でスタイリッシュな見るからに名家のご子息(髪は黒毛エロパーマ、装着している羽付きのベネチアンマスクの色もまたエロ紫)が不敵な「エロそのもの」の笑みを浮かべながら、こちらを物色するように見ている)


シオン「ごきげんよう。・・・どこかでお会いしましたかしら?」(礼節を守りながらもこちらが警戒心を抱いていることもまたしっかり伝えている)

??「シモネタンヌ・パンチラーノ。うち(パンチラーノ家のこと)は昔からロイヤルスクールでジョストのコーチをしているんだ。僕も卒業生。君のことは教え子の後輩から」

ムーア「なんだ・・クソエロロリータパイセンか・・」ゴスッ(食い気味にシオンの鋭い肘鉄が)

シオン「これは失礼致しました。改めまして。シオン・プラウズです」へこり(もちろんドレスのスカートを両手でちんまりつまみ上げながらの)

パンチラーノ「初めてだよね?ここに来るのは」♪~~~~~~~・・・(気づけば曲もまた緩やかなフレーズに移行している)

シオン「ええ。こちらのあんまんスキー婦人のエスコートを。ニッキー・・・ヴァイデンフェラー家の同級生と一緒に」(敢えて距離を置くために遠くでこちらの様子を見ているニッキーの名前(あだ名)を呼んでみせたのだろう)

パンチラーノ「ヴァイデンフェラー家・・・製鉄所のボーイフレンドと社会科見学も含めて?」フフ

シオン「ニッキーとはそういう仲ではありませんし、恋人もいません」ぷいっ(真面目なのだろう、まんまとクソエロロリータパイセンの知りたかった返答をしてしまう)

パンチラーノ「へぇ・・そうなんだ・・・っと、はじめまして、あんまんスキー婦人」へこり(エロ男爵風エレガント挨拶かましてくる)

ムーア「ごきげん麗しゅうあんまんじゅう」へこり

パンチラーノ「??」

シオン「あ、ああタラーご婦人はミナガルデであんまん工房を営んでおりますの。今日はその「営業」もかねて・・」あははははタラー

パンチラーノ「あんまん・・・これはまた」(どうも食べたことも興味もない様子だ)

ムーア「是非、このヴェルドにも私の「まん」を置いて頂きたくて参上致しましたの。どなたかご存知ありませんこと?」おほほほほほほほ!!(貴族は突然でかい声で笑うのだろうという偏見)

パンチラーノ「ああ・・そういう話でしたら・・・・」ちら(目配せでその方向を知らせてくる)


ほ~~~ほほほほほほほ(チラりとその方向を見ると、高笑いかました「婦人一派」がクソエロ男爵たちとどうせ下世話な会話でもしているのだろう光景が)


パンチラーノ「彼女たちは王妃様と近い存在にある、舞踏会の常連です。宮廷に来る者は拒まず。博愛主義者を謳う王妃様らしいご友人というべきか・・商談の話でしたら、彼女たちに聞いてみるのが早いかと」

ムーア「ありがとうございます。今宵の舞踏会に王妃様は?」

パンチラーノ「ご安心を。それが王妃様の手なんです。来賓に自分の存在を植え付けてから、満を持してのご登場・・・もちろん、豪華なドレスと共に・・って、ご婦人のドレスを見たら王妃様も嫉妬するかもしれませんね。とても高価な生地をお使いのようで」

ムーア「とんでもないですわ。おにょ~~ほっほっほっほっほっ!!」借り物のくせに(と小声でシオン)

パンチラーノ「しかしご婦人・・・にしてはまだお若いようですが・・・」

ムーア「わ、若さミナガルデ!!これもミナガルデナイトをバリボリ食べてるおかげかしら。不老長寿になったりなんて!!おにょ~~ほっほっほっほっほっ!!あーそうだわさ!!ジョストのコーチをなさっているってことは、ランスの扱いにも慣れていらして!?是非、見せてほしいだわさ!!ねぇシオンちゃま!?」

シオン「え・・ま、まぁ・・」

パンチラーノ「お見せしたいのは山々ですが、槍がないからなぁ・・・」

ムーア「槍は狩猟用のものをお使いで?」

パンチラーノ「あんな粗暴で野蛮なもの。洗練されたデザインにこそ歴史を感じます。我家(パンチラーノ家のこと)の家訓です」えっへん

ムーア「んなほそっこいもんでレウスに突っ込んだら、すぐポキンだぞ、馬鹿野郎」ぼそっ

パンチラーノ「へ?」

ムーア「なんでも。それでは素敵な夜をあんまんジュテーム」へこり

シオン「ちょっと!私とこいつを二人きりにする気!?」コソコソガミガミ

ムーア「ボーイフレンドを呼べばいいじゃない。ほら・・」


♪~~~~~~~~~~~~~~~~~
(さっきまでいた場所にニッキーの姿はなく、また、ヘボンヌ、ヘボッチョの姿も見えない)


ムーア「あいつら・・ムカムカ

シオン「きっと独自の調査を開始したのよ」

パンチラーノ「良かったら、自分が宮廷内をご案内しましょうか?」

ムーア「この子が是非そうして欲しいって。私はご婦人方にご挨拶をしてきますわ♪」はいっ(とシオンという生贄を差し出す)

シオン「え・・」

ムーア「それでわ、あんまんジュテームな夜よぉ~♪」


おにょ~~~ほほほほほほほほほ!!
(と、足早にその場を立ち去る背後からは「裏切り者」の罵倒が。それを顧みず、優美な広場を実に見事なあんまんスキップをもって観衆の目をまさしくあんまんの如くまあるくさせながら釘付けにしていくあんまんスキー婦人の舞踏会な夜であった)


To Be Continued







★次回ストーリーモードは9/14(月)0時更新予定です★