ダッダッダッダッダッダッダッダッ!!
(颯爽と柱から飛び出し、低姿勢のまま闇に隠れながら一直線に馬車へ向かって疾走していく)


ダッダッダッダッダッダッダッダッ!!
(駆け抜けながら左方向を一瞬確認すると、同じく馬車めがけて並走してくるニッキーの姿が)


御者「・・・・・・・・・・・ふむ・・」(再び前を向くと屋敷側に首を傾けながら花火の余光を見上げている御者は、全くこちらの気配には気づいていない様子だ)


ギィ~~~~~~~・・・・・
(錬鉄の門の前に停まっている馬車によってその姿は見えないが、敷地側のガーディアンがおそらく安否を確認したのだろう、中より門を開き、馬車に入ってくるよう促している様子だ。またラッキーなことにその門を開ける鉄製の重厚な長音により、視点の主らの足元もまたその気配と共に上書きされていく)


ダッダッダッダッダッダッダッダッ!!
(疾走しながら共に顔を見合わせるニッキーと視点の主)



ズザァアアアアアアアアアアア!!
(御者の「首の角度」が変わらぬうちに、ニッキーと共に一思いに馬車横まで接近するやいなや、その速度を利用して一気に馬車下へスライディングで忍び込む)



ズザァアアアアア・・ガシッハッ
(仰向けで滑り込みながら、目の前に見えてきた荷車の底面中央に設置されている荷重を支える為の木柱(視点の主らは馬車の側面から侵入してきた為、その向きは横に)を確認すると同時にそれを咄嗟に両手で掴み、また滑走の速度を制御させる)



ムーア「ふぅ~~~~~~~~~・・・タラー


ちら(思い出したかのように左に首を傾けるとニッキーもまた同じ姿勢のまま、「ここまではOKだ」と言わんばかりの一時的な安堵の表情を浮かべながらこちらを見て頷いている)


ぎゅっ・・ゴソゴソ・・・ギッギッ・・
(柱をしっかと両手で掴み、首をすぼめて自身の下側を見ながら、両足の「引っ掛ける場所」を模索している)


どんどん(隣のニッキーが肩をぶつけてくる)


ムーア「??」(ニッキーがいる左に少し首を傾けると..)


ふんふん(と、ニッキーが自分の足元を見るよう「しかめっ面」しながら促してくる)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(再び首をすぼめながら左下に見えるニッキーの「足の配置」は、少しガニ股気味に両足(革製ブーツのソール)を「外開きの角度」で横向きにさせて、器用に荷車底面端の少し出っ張った縁に引っ掛かっており、両手で掴む木柱と共に上手に体を浮かせながら体重を支えている)


ニッキー「・・・・・・・・・・・・・」ふんふん(鼻息荒く「真似しろ」と催促してくる彼の必死な顔)

ムーア「ププッ・・・」ゴソゴソ・・(それに耐え切れずちょっと笑いながら同じ姿勢をとる)


御者「ん・・・・・・・」


ムーア「!!」


すぅ~~~~~~~・・・(動作を止め、気配を消すようにゆっくりと慎重に息を吸い上げる。なぜか白目を剥きながら)


ガーディアン「どうした?」(自分たちがいる馬車の外側、門の中にいると思われる男が御者に向かって話しかける)

御者「・・・いや、なんでも・・」


ふぅ~~~~~~~~~~~~タラー
(共にため息の視点の主とニッキー)


パァ~~~~~ンハッ
(手綱で馬を叩く音が聞こえる)


ニッキー「・・・・・・・・・・・・・・・」うむ(と頷き合う)


ぎゅむっ(木柱を掴む両手により力を込める)


ポカラッポカラッポカラッ・・・(馬車が門の方へゆっくりと角度を変えながら進んでいくのを「天井を見つめながら」なんとなく感じている)


ズルズルズルズルズルズル・・
(おそらく自身が腰に付けている巻スカートが引きずられているのであろう)


ムーア「ちっ・・・・」(それが汚れるのが心底気に食わないようだ)


ポカラッポカラッポカラッ・・・(天井の下で「コトコト」揺れながら右側に少し首を傾けると、錬鉄の門を閉めているガーディアンの後ろ姿が遠くに見え、次第にその距離が開いていくと同時に来た道の両側に左右対称のレイアウトで「よく手入れされた」低い垣根や植木が等間隔で配置されているのも確認できる)



ポカラッポカラッポカラッ・・・




待てぇ~~コラァ~~~~~~・・・・・
(塀の外側、遠くからおそらく悪ガキ(ヴィルヘルム)を追いかけるガーディアンの声が)




ククッ・・(馬車に運ばれながらほくそ笑む視点の主)



ポカラッポカラッポカラッ・・・



ポカラッポカラッ・・・・・・ブルルルルル
(ブルルと共に馬車がゆっくり停止していく)



ブルルルルル・・・・・・・(首を右に傾け、ニッキー越しに屋敷側を確認すると、馬の四肢の間からガーディアンと思われる両足(鉄製のグルーヴ(すね当て)とその下にはサバトン(鉄靴)を装着した)が垣間見える)



ガーディアン「ご苦労さん。またいたずらがあったみたいだな」

御者「またということは、前にも?」

ガーディアン「ああ。先週あんたが来てからここのところ毎晩さ」

御者「てっきり、私を歓迎してのことだと」バッ(御者が飛び降りたのであろう軽やかな着地音が聞こえてくる)

ガーディアン「馬鹿言え。誰が奴隷商人を歓迎なんかするもんか」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(一瞬、ニッキーの顔を窺うと、やはりそのワードに反応を示すかのように外の話に聴覚を集中させている)


御者「少なくともここの主様は。先程の花火を見て、今日ばかりは会えるものかと思いましたが・・・残念です」カツカツカツ・・・(こちらの「頭側」に足音が向かってくると同時に天井を見上げる視界にも緊張感が走る)

ガーディアン「パーティーじゃないんだ。仮にそうだとしても「雇われ組」の俺達は参加することすら出来ないよ」

御者「お屋敷内の警備はすべて「あれ」が?」

ガーディアン「ああ。顔見知りのコックに聞いた話では、飯を運ぶのもあいつの仕事らしい。今となってはウー様と接触できる唯一のボディガードにまで成長したってわけさ」

御者「へぇ・・・・あのゴルゾンがねぇ・・・・奴は舌を引っこ抜かれた状態で連れてきたんですぜ?それなのに?」

ガーディアン「きっと寡黙の方がウー様は落ち着くんだろうよ。ペチャクチャとお喋りとゴシップ好きなメイドを雇わなくなったのはそのせいさ」

御者「ってことは、前に務めていたメイド達は・・」

ガーディアン「聞くだけ野暮だろ。(以下小声で)その昔、外街で行方不明になった少女がいたらしいんだが、どうもその子は運悪く、ウー様と接触しちまった経緯があるって噂だ。その証拠に何故かそのスラムの子はウー家のサインが入った王都への招待状を持っていたらしい」

御者「そっちの趣味もお持ちで?ツテはありますが」

ガーディアン「さぁな・・・確かなのは、その噂を広めた当時の王都の門兵もまた、姿をくらましちまったってことだけだ」

御者「ジェイソン・ウーに関わる者に待つのは不遇の死、のみ・・・・秘密を隠すには独りに越したことはないってことですかねぇ・・」

ガーディアン「だからあんたも一人で商売してるんだろ?さ、世間話はここまで。ゴルゾンが来ちまうぞ。早く開けろ」

御者「はいはい・・」カツカツ・・ガチャガチャ・・(足音が「頭上側」で立ち止まり、何やら錠前を鍵で開けているような音が聞こえる)

ニッキー「??」(彼の様子を窺うと眉間にシワを寄せながら、同じく馬車のドアに「外側から」錠前によりドアが施錠されていることに対する違和感をその表情で伝えてくる)


ガチャガチャ・・・・ゴッ・・(錠前を外す金属音が聞こえ、それを確認しようと視点の主が視線を上向けながら首もまた反らしていく)


御者「今日のは活きが良いですぜ・・」(馬車下の隙間から「逆さに見える」御者の足元)

ガーディアン「魚じゃねぇんだぞ。眠ってるんだろ?」ガッシャガッシャ・・(と鉄鉄しい鎧音をたてながら御者の横に並んでくるグリーヴ&サバトンもまた逆さに見える)

御者「ええ。毎度のようにたっぷりとアルコリス産の眠鳥から頂戴した睡眠袋の成分をたっぷりとね・・」クククク・・


ガチャ・・(御者がドアを開けたようだ)



ドーーーーーーーーーーーン!!
(その瞬間を見計らったかのように馬車の中から、後ろ縛りの両手と足元を鎖で拘束された男(服装は黒い簡素なチュニック&パンツ)が飛び出し来て、御者とガーディアンを退かせる光景が「逆さの視界」に飛び込んでくる)


ムーア「!!」ガバッ(慌てて顔を天井に引っ付かせるように身を伏せる)

御者「この野郎!!目を覚ましてやがったか!!」むぅ~~むぅ~~!!(おそらく布でも口に放り込まれているのであろう、飛び出して来た男が腹這いに逃げていく「お腹と地面が擦れる摩擦音」もまた聞こえてくる)

ガーディアン「手を煩わせやがって・・・・」ゴスッ!!(鋭いキックの音が男の脇腹にでもヒットしたのだろう)

ムーア「ハァ・・ハァ・・・・」ゴスッ!!ゴスッ!!バキッ!!(視点の主の少女は、外から聞こえてくる生々しい殴打の音をただただ暗がりの天井をひたすらに見つめながら、目の前で起きている非道な行為を受け入れないよう努めているのだろう)

御者「すいやせんね・・・次からはもっと薬の量を増やしまさぁ・・」はぁ・・はぁ・・

ガーディアン「このくらいのサプライズなら構わないさ。それにモンスター性の睡眠薬はハンターでもない限りオーバードーズしやすいからな・・今まで通りで平気さ」(この発言からこの男もまた「元狩人」の用心棒であることが推測できる)


そぉ・・・・・(静かになったのを確認すると再び首を反り返し、外の状況を確認する)


ニッキー「・・・・・・・・・・・・・・・・・」(左隣のニッキーは一連の光景を見ていたのだろう、首を左側に傾けている)


んんん・・・・・んんん・・・・・・・
(その視線の先、ニッキー越しの馬車下の隙間から、一方的な暴行を受けた男が腹這いに屋敷の方へと「瀕死状態」の如く逃げていく哀れな姿が垣間見える)


ガーディアン「タフな奴だな。これだけ動けるなら、ちゃんと働いて金も返せるだろうに」

御者「その逆ですよ。だから借金しては盗みを繰り返す根っからのクズなんですよ、こいつは。おい、待ちな」ずるずる・・・(と、「這いつくばる男」が屋敷の大きな両開きのドアまで辿りついたその瞬間...)



ガバーーーーーーーーーーン!!
(ドアを「豪快両開き」に「全身コンガシリーズのガンナー装備(真っ赤な鉄仮面でお馴染みの)」をフル装備した見るからにアナーキーな太っちょレスラー体型の男がまるでゴングでも鳴ったかのようにその勢いたるや「悪魔の生贄」の如く、迷いなく外に飛び出してくる)



ズカズカズカズカズカズカDASH!
フモ~~~~~~~~~~~!!

(謎の赤鉄仮面男は一直線に這いつくばる男のもとへ駆け寄るやいなや謎の雄叫びを発すると、軽々と男を両手で持ち上げてしまう)



ブオーーーーーーーーーンDASH!
ズカズカズカズカズカズカ・・
パタン・・・
(恐怖の赤鉄仮面男は、肩に担ぎ上げた男を屋敷の中へぶん投げると、それを追うように自身もまた屋敷の中へ「小走り」でインしていくと、何事も無かったかのようにだらしなく両開いたドアを内側より今度は「やけに丁寧に」閉め切る)






Recollection No.5_74






ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ひゅうううううう・・・(おそらく口を開けたまま、目をパチクリしている視点の主をはじめ、その向こう側でも首を傾けたまま同じ光景を目の当たりにしたニッキー、そして外にいるガーディアンと御者もまたおそらくは面食らった表情をしているのは容易に想像できる...)



To Be Continued








★次回ストーリーモードは6/22(月)0時更新予定です★