ドスン・・(尻もちをついた姿勢の視点の主に悪魔のような赤い飛竜種の顔が接近してくる)


ムーア「リオ・・レウス・・・・」ヌゥ・・・・(訝しげな表情を浮かべた火竜が長い首を伸ばし、視点の主(人間)を観察するように覗いてくる)


クンクン・・(火竜はその黒い重厚な嘴のような質感を持つ大きな鼻をもって嗅覚による考察をしてくる)


ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(一点の曇りもない火竜の青い瞳に、サングラスを乗せたニット帽を被ったウィンドボブなティーンの少女の「まあるい顔」が映っている)

キンババ「ひいいいいいいいアセアセ」(火竜を見上げる視線の隣からは、同じく腰を抜かしているのであろう彼が当然の悲鳴をあげている)

ムーア「静かに・・・・動いちゃダメ・・・・そっと・・・・」スッ・・(手をゆっくりと伸ばし、目の前の大きな鼻に触れようとする)


ハァ~~ブショ~~~~~ン!!
(突然、火竜が豪快なくしゃみをかまし、その豪快なよだれを浴びると同時にその豪快な風圧により再び豪快に後転してしまう)


ムーア「ほえ・・・・・」ネチョり・・(頭の上から透明な粘着質のスライムが垂れてくる)

ヴィルヘルム「今のうちだ!!」ひいいいいいいアセアセ(振り向くと同じくよだれで全身がペチョペチョになった彼と悲鳴をあげるキンババが手を取り合って近くの木陰に身を伏せる)

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ちら


ズン・・(樹海の倒木など一切気にもとめず、それを鋭利な爪を持つ足で粉砕しながら一歩前進してくるリオレウスのでかい顔)


ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ごくり・・

ヴィルヘルム「ムーア、こっちだ」(迫りくるリオレウスの顔を見上げる後方から彼の静かな誘導の声が)

リオレウス「逃げても無駄だぞ」フシューーーーー(と鼻息吐くリオレウスの大きな口の奥から、牙をたくさん持つ口内を反響しながら再び人類と同じ言語が、澄んだよく通る声音と共に発せられる)

キンババ「やっぱり喋った・・!!」(後方から思わず口にしてしまった彼の感想が。目の前のリオレウスは引き続き鼻で大きく呼吸をしながら、じっとこちらを青い瞳で捉えている)

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(そのレウスな瞳に映るティーンネイジャーは不思議そうな顔をしながら首をかしげている)

リオレウス「なんだよ?」(睨みをきかせたまま問いかけてくる)

ムーア「あんた、同い年くらいでしょ?」(瞳に映る少女はまるで同級生に話しかけるように平然と喋りかけている)

リオレウス「・・・なんでそう思うんだ?」フシューーーーー

ムーア「声で分かる」(瞳に映る少女が平然とした表情でそう告げると、火竜は少し気まずそうに眉をひそめる)

リオレウス「怖くないのか?俺が?」

ムーア「だって、はじめましてじゃないでしょ?」(こちらを覗き込む火竜の瞳に投影する少女が優しく微笑む)

リオレウス「・・・・う~~~~~ん・・・」ブワッサ・・(ばつが悪そうに顔を背け、威嚇の為に広げた大きな両翼をおもむろに収納し、その場に留まる)

ヴィルヘルム「おい、ムーア」(そのすきを見て、後ろからどうするつもりなのか疑問の催促が)

ムーア「大丈夫だよ。この子は襲ってきたりしないよ。ね?」(目の前の火竜は二本の脚で上体を起こしたまま、こちらを見下ろしている)

リオレウス「知ってたのか?俺のこと」ポリポリ(視線を反らし、右の翼の上部に連なる「ギザギザした翼爪」で顔を照れくさそうにかきながら聞いてくる)

ムーア「うん。ちいちゃい頃から」

リオレウス「・・・・・・・・・・・・・・・・」じーーーー(引き続きそのレウスな瞳に映る、目をキラキラさせたティーンネイジャーをじっと見つめている)

ムーア「やっと会えたね。あたちキャロルムーア。お名前は?」

リオレウス「・・・・アポロン」ぼそっ(そっぽ向きながら)

ムーア「あはっ。よろしくね、アポロン」スッ(右手を差し伸べる)

アポロン「・・・・・・・・・・・・・・・」バサッ・・(長い首を上向けたまま顔を反らした姿勢で、視線はこちらとは別の方向を見たまま、そっと右の翼を下ろし、その尖端にある黒く鋭い翼爪のさきっぽをそれとなく向けてくる)

ムーア「どうぼどうぼ♪」ぎゅむっ(その尖爪を握手するように握ると、視界の上に見える「首を背けたリオレウス」もまた、チラ見でこちらを見下ろしている)






Recollection No.5_64






キンババ「本当だ・・・大腿骨と脛骨の長さがだいたい同じことから、陸上での走行はあまり得意じゃないっていう書士隊の考察は正しかったんだ・・可動域の制限は・・・鳥類と同じで「かかと」の役割を果たしているのかなぁ・・」ぺたりぺたり・・(大人しく立っている火竜の(ひざの関節が人間とは逆の方向に曲がっている)ぶっとい二本脚に両手で触れながら念入りに調べている)

アポロン「お前らを捕まるくらい簡単なことさ」フン

ムーア「ルチアが言ってた。レウスはすごい勢いで走ってくるけど、すぐにバランスを崩して前倒れに「顎から」地面に崩れ落ちるって。そこがチャンスなんだって♪」クスクス(体育座りしながら顎を両手で支え、その光景を眺めている)

アポロン「ケッ。普通の火竜ならそうだろうよ。俺はそうなる前に飛んじまうのさ」フフ

キンババ「それは君に理知があって、本能的な衝動を制御することが出来るから?」

アポロン「フッ・・まぁな」(自慢げに棘が生えた顎を上げてみせる)

ムーア「賢いんだね。尊敬する。本当に」

アポロン「だろうな、翼のない人間どもよ」ククッ

ヴィルヘルム「お~~い!全部埋めたぞぉ~~!」ひいひいアセアセ(ボーンハンマーを逆手に杖の要領で寄りかかっているその地面は、ハンマーで叩いたのであろう、きっちり整備されている)

アポロン「おう、ご苦労。休んでいいぞ」なんだよ偉そうに(と、ハンマーを背中に納刀しながらこちらに向かって歩いてくるヴィルヘルム)

ムーア「悪かったね。お墓を荒らしちゃって・・」

アポロン「小型生物の仕業なら分かるが、まさか人間がここまで来るとはな・・・しかもお前がな」ちら(首の角度は横に向けたまま、白々しくこちらを見下ろしている)

ムーア「あんたのお父さんとお母さんは知ってる。カールとドリスでしょ?」

アポロン「はぁ?親父とおふくろに名前なんてなかったよ。お前らが勝手につけただけだろ」フシュ~~~

ムーア「どういうこと?」

アポロン「俺が特別なのさ。その証拠に俺がいくら話しかけても、両親はお前らのように言語で反応することはなかった・・・・」

ムーア「・・・そっか・・・・・だからアポロンは自分と同じ言葉を喋っている、あたち達人間に興味を抱いて・・・・」

アポロン「親父とおふくろには感謝している。俺を普通の子供として育ててくれたんだからな」(視点の主はおもむろに立ち上がり、思いを語る火竜にそっと近寄る)

ムーア「寂しかったんだね・・」スッ・・(身の丈以上にある長く逞しい脚に静かにハグする)

アポロン「・・・・・・・・・・・・・・・・」

ヴィルヘルム「名前は誰がつけたんだ?」

アポロン「生まれたときから俺はアポロンだ。誰につけられたものでもない」

キンババ「・・自我の芽生えを名前と共に感じたってことかい?」

アポロン「ま、そういうことかな。俺には火竜の哲学がある。想像するだけで火傷しそうなくらい情熱的で燃えるような人生観がな・・」フッ・・

キンババ「君、すごいよ、アポロン。君には生来の優れた理性と豊かな感性がある。そして偉大なる火竜の血統が、君に自尊心という誇りを与えているんだ」まぁな・・(とまんざらでもない火竜アポロンのあの顔)

ムーア「昔、初めて修学旅行に向かう時、ビリー達からあたちを守ってくれたよね。ずっと、お礼が言いたかったんだ。ありがとう」

アポロン「弱い者いじめが嫌いなだけだ。最も・・・お前は見た目ほど弱くはないけどな」ぽりぽり(そっぽ向きながら翼爪で頬を掻いている)

ムーア「ねぇ聞いた!?火竜に褒められた!!」ひょっひょ~~♪

キンババ「良かったね。君が人類初じゃない?ねぇ、それより口を開けてもらえないかい?発声器官と君等が火球を吐き出すメカニズムを知りたいんだ」

ムーア「ちょっと。お願いし過ぎじゃない?チャンスは今日だけじゃないのよ?」

アポロン「って待て。また俺に会いにくるつもりか?」じろーー

ムーア「お願い♪あたちに本場の狩猟の稽古をつけて欲しいの!そしたら、あたち、ぼっと強くなれる!!」むんっ

アポロン「はぁ?なんだって俺がお前に」

ムーア「亡くなったあたちのお父さんが言ってたんだって・・・カールとドリスは狩猟の師匠だって・・・・・これも何かの縁だよ。だからあたちにもアポロンのことをたくさん教えてほしいの」

アポロン「・・・・・・・・・・・・・・・・」フシュ~~~~~・・

ムーア「絶対に誰にも喋らないし、誰にも尾行させないって誓うから」このとぉ~~りお願い(と土下座する)

ヴィルヘルム「おい、嘘だろ。ムーアのやつが土下座したぞ。俺なんか小さい頃から散々怪我をさせられてきたのに、未だにちゃんとした謝罪を受けていないんだぞ」

キンババ「彼女に恥ずかしい思いをさせるつもりかい?アポロン」

アポロン「・・・・・・・・・・・・・・・・」ちら

ムーア「大火竜神アポロン様。このとお~~り。それに、あんただって人間相手に暴れてみたいでしょ?」クスッ

アポロン「おもしれぇ。その挑戦、受けてやるよ」フン

ムーア「やった!!火竜の説得クエスト達成~♪」ガバッDASH!(と抱きつく脚の上からは「なんだそりゃ」とアポロンの困り声が)


To Be Continued







★次回ストーリーモードは5/18(木)0時更新予定です★